報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

あの男、ネタ切れにつき

2013-08-07 22:02:30 | 日記
 “新人魔王の奮闘記”より。前回の続き。

 魔王軍の全部隊で、点呼時に各隊長より隊員達に命令が飛んだ。
「本日は、我らが崇高にして至高なる魔王陛下の信任厚き安倍春明首相閣下より、特別の命令がある。ここに掲げる人間の少年を直ちに捜索せよとのことだ。但し、罪人ではないので発見時は丁重に扱うようにとの御命令だ!いいか!この少年に危害を加えることは一切認められていない!」
「ははっ!」

 魔界高速電鉄1号線の終点駅、デビル・ピーターズバーグ駅……。
「1番線の電車は折り返し、セントラル・ストリート行きです」
 ホームの壁新聞にも、デカデカと貼られた。
「はい、ごめんなすって」
 それだけじゃなく、電車の中吊り広告まで……。
「なになに?『この顔にピンと来たら魔王城まで』?」
「人間の子供か?」
 利用者の多くは魔族である地下鉄。
「チッ、何でぇ、野郎か。人間の肉は女の方が美味いんだよなぁ……」
「バカ、声がでけぇ」

 地上を走る路面電車でも、高架線を走る環状線や中央線でも……。
「総理。随分と大胆なことをしますなぁ……」
「ちょっとやり過ぎたかな?よし。報奨金3万ゴルから、5万ゴルにアップしよう。首相の俺が言うのも何だが、この国、物価安いし」
 無論、政府専用特別電車内での会話である。
「日本の物価が高過ぎるのですよ」
「それは言えてる」
 因みに魔界高速電鉄の均一運賃、路面電車が2ゴルで高架線と地下鉄線が3ゴルである。辻馬車は王宮から党本部まで、10ゴルくらいで行ける。
 一応、目安として1ゴルを50円くらいに考えている。
「どれ……」
 春明は人間界から持ち込んだトラメガを手に、路面電車の窓を開けた。
〔「皆様、大変お騒がせ致しております。私、共和党の安倍春明でございます。国民の皆様の温かい御支持並びに御声援ありがとうございます。我が党と致しましては、人間族、亜人、魔族の“三族共和”を掲げ、全ての種族が諍い無く平和に暮らして行ける生活の実現を目指しております。……」〕
 街頭演説を始めた。
〔「……尚、最近街中で見かける“尋ね人”の人間の少年につきましては、皆様の片手間を取らせて頂き、真に恐縮ではございますが、有力な情報を提供して頂いた方には、共和党より報奨金5万ゴルを提供させて頂く所存です。どうか皆様のご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げるものでございます」〕
「さすが総理、演説慣れてますな」
「この為に、わざわざ人間界に戻って、参議院選挙の街頭演説を見学しに行ったらしい」
「マジっすか?」
 そんな噂話をする同行の党員達であった。無論、外でビラ配りをしているわけである。

「あー、今日もよく喋ったなぁ……」
 王宮裏手にある総理官邸に戻る。
「お疲れさまです、総理。それより、例の件なんですが……」
 出迎えた秘書官が言う。
「ん?」
「一応、陛下のお耳にもお入れになった方がよろしいのでは?」
「いやー、いいだろ。レナには悪いけど、たかだか人間の少年1人の捜索だ。ルーシーもヒマじゃなくなってるし、事後報告でいいだろ」
「さようで……」
 春明。この判断を後に後悔することになる。
「確か、今夜だったよな?ほら、新館の方で……」
「あ、さようでございます。陛下主催の“王宮見学会”」
「“王宮見学会”ね。日本じゃ、国会議事堂が修学旅行で見学できるって話をしたら、『じゃ、こっちもやるわよ』だって」
「しかし陛下の場合、別の目的があるんですよね?」
「そうなんだよなぁ……。異世界通信社にバレて、ネタにされなきゃいいけど……」
「陛下はヴァンパイアの一族ゆえ、ある程度は致し方ならぬところでございますが……」
「俺の血だけじゃ、満足できなくなってきたみたいだな」
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あんまりgooニュースって面白くないな。

2013-08-07 00:41:25 | 日記
20代男性の44%が「交際経験ナシ」“恋人がいなくても恥ずかしくない”気持ちの行方(ダイヤモンド・オンライン) - goo ニュース

 “ボカロマスター”より。

[時刻不明 場所不明 南里志郎]

 うぅ……む……。こ、ここはどこだ?な、何が起きたというのだ?
 落ち着いて思い出してみよう。わしは確か、東京都内で行われたロボット工学の未来について考えるシンポジウムに参加した。
 それは無事に終わり、敷島君達と共に東京の研究者仲間達と会食に行こうという話になったはずだ。で、その前に小用で少々……ああっ!
「ようやくお目覚めね?ドクター南里」
 暗闇の中、ボウッと鈍く光る2つの緑の光。それは、ロボットが暗視機能を使用中の時に目が光る現象だ。多少不気味なので、改善が望まれている。
「お、お前は……!」
 その光の主はシンディであった。確かトイレから出ようとした時、突然こやつが現れて……。
「姉さんの堅いガードを振り切るの、大変だったんだから」
「エミリーはどうした?」
「心配無いわ。本当に振り切っただけだからね。ここはGPSも入らない地下だから、見つけられないはずよ」
「わ、わしをどうするつもりじゃ?」
「うちのドクターがね、『殺せ』ってさ。それも、意識のある状態でね!」
 シンディの奴、快楽殺人者のような笑みを浮かべると、右手をマシンガンに変形させおった!
「うおっ!?」
 幸い、どういうわけだか手足が縛られているようなことは無かったので、わしはすぐに奴の機銃掃射を避けた。先程までわしがいた所は、無数の穴が空いていた。これぞ正に“蜂の巣”!だが当然、美味い蜂蜜など取れようはずがない。
「へぇ。ジジィのくせに、随分と身のこなしがよろしいのね」
「ふん!わしをウィリー如き、下賤の者と一緒にするでない!」
「その言葉、そっくり返してやるよ!」 
 シンディの奴、右手を元に戻すと今度は藍色の服のポケットから、大きなナイフを取り出した。
「決めたわ!アンタはすぐには殺さない!全身を切り刻んで、それから殺してやる!」
「持ち主に似て、随分と陰湿じゃの!」
 そう言いつつ、わしは少し焦りを感じていた。いつもならこの辺りで、エミリーやら敷島君達が助けに来る展開じゃと思うが、今回は全くその気配が無い。
 ならば仕方無い。奥の手を使う他あるまい。こんなこともあろうかと、わしは秘密兵器を忍ばせておるのだ。
 シンディは目をハイビームにし、邪悪な笑みを浮かべてわしに近づいてくる。
 十分間合いを詰めたところで、
「食らえ!」
 わしは右腕にはめているブレスレッドを“放った”。言わば、人間版ロケット・パンチじゃ。案の定、それはシンディの顔に当たった。
「今じゃ!」
 シンディは仰向けに倒れた。わしはその隙に、すぐに出口に通じているであろう、鉄のドアを開けた。鍵が掛っていたが、幸いこちら側からはシリンダー錠になっていて、手で開錠することができた。
 だが!
「あ?どこじゃ、ここ?」
 ドアの向こうも闇が広がっていた。厳密に言えば所々に若干の明かりが灯っていて、どうやら何かの坑道であるようじゃった。左右に道が伸びていたが、取りあえず右の方に向かって行くことにした。
 ところがだ!その前方から眩い白い光と共に、強風と轟音が近づいてきた。
「おわっ!」
 それは電車だった。わしはすぐさま、壁に張り付いて電車をやり過ごした。
「ち、地下鉄のトンネルなんぞに連れ込みおって!」
 鉄道に詳しい敷島君なら、即座にさっきの電車で、このトンネルが何線のものなのか察しをつけることができたじゃろう。
 しかし、わしにはそれができなかった。
「待たんか、コラーッ!!」
 怒り狂ったシンディが、わしを追いかけて来たからじゃ。
「女の顔を狙うなんてっ……!殺してやる!!」
 それはまあ、確かに悪い事をしてしまったような気がしないでもない今日この頃じゃが、はっきり言って不可抗力じゃ!
 とにかく、早いとこ地上に出て敷島君やエミリーに助けてもらわねば!
「うっ!?」
 そこへまた、前から電車が来おった!さすが、東京の地下鉄は仙台のそれより本数が多い。わしはまた壁際に張り付いた。
 だが!
「邪魔だぁぁぁぁっ!!」
「な、何いっ!?」
 シンディの奴、電車に体当たりしおった!大轟音を上げて、急停車する電車。無論わしは知っていた。これがエミリーであれば、大破したのは電車の方で、本人は傷1つ無いことを。だから乗員・乗客には申し訳無いが、今のうちに電車の脇をすり抜けて逃げる他無かったのだ。
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