日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

海保保安官の逮捕見送りで思うこと

2010-11-15 20:57:12 | Weblog
海保保安官の逮捕見送り、任意で捜査継続 警視庁と地検

 沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突をめぐる映像流出事件で、警視庁と東京地検は15日、「自分が流出させた」と名乗り出た神戸海上保安部の男性海上保安官(43)について、国家公務員法の守秘義務違反での逮捕を見送り、任意で捜査を続けることを決めた。

 保安官の説明に基づいて流出の経緯について裏付け捜査が進み、証拠隠滅や逃亡の恐れが少ないことが主な理由とみられる。
(asahi.com 2010年11月15日17時13分)

ということで、尖閣ビデオ映像を流出させた海上保安官が刑事罰を受ける可能性は低くなったと言える。衆目が一致するところであろう。今日もメリケン波止場の近くに出向いたので、ついでに神戸海上保安部の入っている建物を見物したところ、テレビ中継車は依然として多数駐まっていたが、地下の駐車場からの出口を塞いでいたカメラマンたちは後ろに下がり所在ない様子であった。その代わりに右翼の街宣車が何か大声でアピールしていたが、中身が聞き取れなかった。午後1時半頃である。


この海上保安官、確信的な動機があって映像を流出させたと報道されているが、もしそれが事実なら、もっと格好良くやって欲しかったと思う。YouTubeにはマンガ喫茶などを使わずに、職場のパソコンなり自宅のパソコンから直接投稿して、映像データの持ち出しに使ったUSBフラッシュメモリーなども破棄せずに証拠物件として残しておけば、検察そして警察に余計な手間を煩わせることもなかった。そして正々堂々と自らの行為を世間に宣言すればよかったのである。

この海上保安官は自分の行為がいずれ明らかにされることを覚悟していたことであろう。それなら海上保安大学の共有フォルダーから件の映像をダウンロードした同僚、さらにはその映像を一緒に見た同僚を巻き込むことになるのも十分承知していたはずである。それを覚悟で、さらには職を失う恐れのあることも承知の上で公開の挙に出る以上、格好良く居直って欲しかった。確信的に行動する人物の前には「秘密」なるものが存在し得ないことを、IT時代を生きるわれわれに知らせたことの意義は極めて大きい。そして私も「秘密」の拡散に尖閣沖の衝突ビデオをYouTubeで見る そして44分20秒に及ぶビデオ映像もで述べたように協力をしてしまった。一人の行動がかくも大きな広がりを社会にもたらすことを実証した今回の出来事は、われわれ一人ひとりに勇気と自信を与えたという意味で記憶に留められるであろう。

それにしても海上保安庁という所、海の男の集まりで実に大らかであることがよく分かった。日常の活動記録であるビデオ映像を厳密に秘匿するシステムがもともと存在しないのか、あっても機能しないことが今回の出来事で明らかになってしまった。私はそれでいいのだと思う。追っかけているはずの中国漁船に体当たりされる様子を具に記録した映像は教材としてまことに貴重なもので、それは海上保安官全員に共有されるべきものである。あのような不様な事態を二度とひき起きないよう、操船技術の錬磨にさっそく役立たせるべきものであろう。公務員が事実を記録した映像を隠すのは、それが公開されれば自分の不利になると思うからで、だからこそ国民の立場からは公開すべきものであり、また誰かの不利になることがなければ、最初から公開を原則とすればよいのである。その意味で尖閣ビデオ映像の公開を渋った政府首脳の判断自体が元来間違っていたのであり、それが流出事件を引き起こしたと言える。

この海上保安官に刑事罰は科せられないのかもしれないが、いずれ行政処分は下されることだろう。組織体の一員としては当然のことで、だからこそその犠牲的行為を国民は評価するのである。繰り返しになるが、だからこそもっと格好良くやって欲しかった。


伊丹市の荒牧バラ公園をぶらぶら

2010-11-15 16:00:32 | 旅行・ぶらぶら歩き
この週末、かねてから聞き及んでいた荒牧バラ公園に出かけた。前日の天気予報では土曜日は太陽が燦燦と輝き絶好の秋日和のはずだったが、朝からどんよりとして終日太陽が顔を見せることがなかった。横浜APECに出席する中国の胡錦濤主席とともにやって来た黄砂のせいであったようだ。阪急電鉄伊丹駅から市バス2番系統「荒牧バラ公園」行きに乗り、25分ほどで着いた。

ウィキペディア「荒牧バラ公園」の解説からその抜粋と公園風景を借用する。

荒牧バラ公園(あらまきばらこうえん)は、天津乙女やマダム・ヴィオレなど世界的に名高い薔薇の品種が生み出された兵庫県伊丹市にあるテラス式庭園で、南欧風にデザインされた園内に世界のバラ約250種1万本を栽培する。

伊丹市旧市街地の北4km、宝塚市との市境近くに位置する郊外型都市公園。植物園でのバラ展示を第一の目的として造成された公園で、西にある天神川の堤防の一部を取り込むことで高低差10mを得るという設計により、平坦地にダイナミックな景観を生みだすことに成功している。250種1万本のバラは芝生広場を囲むように階段状に植栽され通路は立体迷路状となっている。その色とりどりのバラの美しさを引き立たせるために、園内は白を基調とする南欧風にデザインされている。


まず特筆すべきことは入園料が無料なのである。それでいて園内はとても美しく整備されており、現に何人もの作業員が働いていた。もっけの幸いとばかりに問いかけて、整枝、剪定の仕方などを教えて貰った。ベンチがいたる所に配置されていて、しかも腰をかけると視野が区切られた空間に狭まるので、自分の為に作られた庭園にいるような錯覚を覚えた。どの区画も居心地が良いものだから、場所を移しながら、一日でもゆっくりと過ごすことが出来そうである。これも晩秋ならではのことで、バラが盛りの初夏では人出が多くこういうわけにはいかないだろう。ちょうど良い時期に訪れたものである。

バラ公園を出ても周辺の街路の両側にはバラがずらりと植えられていて、それぞれの品種を楽しむことが出来る。世知辛いニュースばかりが流れる一方で、いつの間にか日本もこのようなゆとりを楽しめる国になっているのだと思うと嬉しくなった。