目にも鮮やかなピンクの小菊が咲いていた。
白いフェンスから、身を乗り出して咲くその姿は、可愛い女の子がニコニコ手を振っている様にもみえる。近寄って観れば、花弁は白い筒状で、先だけがスプーンのように開いて、其処だけピンクに色付いている。黄金色の花芯を取り巻く白い筒と、その先のピンクの花弁が素晴らしいハーモニーを保って、誠に見事な小菊だ。品種改良を重ねてこの花を作り出した人は、この小菊が咲いた時、興奮して眠れなかったのではなかろうか。造化の神様の力添えが無ければ創りだせない、稀に見る傑作だ。
このブログ「虚庵氏のお遊び」は、読んで字の通り私的な全くの遊び心の発露で、花の品評会をする積りは毛頭ないが、この様に見事な花を掲載すると、正直なところ後が続かなくなるのではないかと、心配になる。
庭に咲く花も、野の花も、折々に眼に触れる花を愛でつつ、お遊びを続けて参りたい。
道行けば稚けきおみな児籬より
笑みたる風情に小菊咲きいて
さじ弁の小菊に見惚れてときめきぬ
花の風姿にこころ奪われ
物言わぬ花にしあれども斯くあまた
想ひを伝ふる花と語りぬ