「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「箒草・コキア」 

2006-11-08 18:52:15 | 和歌

 大変懐かしい「箒草」に出会った。

 虚庵居士がまだ子供の頃は、田舎ではどこのお宅でもこれを庭に育て、枯れてから束ねて箒を作った。子供の頃の記憶が定かでないので、これ程鮮やかな紅に色付いたか否かは不明であるが。昨今の園芸種の改良は目覚しいものがあるので、観賞用に改良されたのかも知れない。「コキア」などとカタカナの名前が付けられていること自体が、その証かもしれない。





 手作りの箒は、大きな筆の姿をしていて、庭掃除にはしなやかで手応えが優しく使い易かった。秋の陽射しを浴びながら莚に腰を下ろして、箒作りを父に教えて貰ったのも懐かしく思い出される。

 それから三十年ほどして、仕事柄、足繁く仙台へ出張する機会が増えた。仙台の店先で「畑のキャビア」と称する「箒草」の種が購われていて、驚いた。「処変れば品変る」との言い伝えもあるが、「箒草」の種が食用として珍重されているとは。確かに調理した姿はキャビアと見紛うばかりで、食感も似たところがあるようだ。






             懐かしき箒草かもたおやかな
  
             箒で掃きたる感触おぼほゆ  



             道ゆけばはるか昔ぞ偲ばるる
  
             父と箒を手作りせし日を



             ふるさとの庭の陽だまり恋しけれ
  
             梢に柿の一つが残りて