「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「姫蔓蕎麦 ・ ひめつるそば」

2006-11-10 18:53:10 | 和歌


 不思議な花もあるものだ。少し離れて見ると、大きさも姿も色合いさえもが、昔あった砂糖菓子「金平糖」に見紛うほどだ。

 この「金平糖」の花は近くでよく見ると、小さなトゲとげが集まったもので、それらの幾つかはごく小さな口を開けて、花が咲き始めていた。トゲとげは小さな蕾で、いずれ何日かの内には、一斉に花開くことだろう。 

「金平糖」に纏わる、虚庵居士の四・五才の頃の記憶がある。母方のオジイチャンの家へ遊びに行くと、オジイチャンは決まって仏壇の下の引き出しから、両手に余るほどの「金平糖」を無造作につかみ出して呉れたっけ。幼い子供の記憶は前後が繋がらずに、その場面だけが鮮明に思い出される。今から振り返れば、当時は戦争中で甘いものなど口に入らない時代だった筈だ。信州・諏訪は生糸の産地だったので、繭問屋を営み財を成していたオジイチャンの、数少ない楽しみの一つだったに違いあるまい。

 半世紀以上の月日が経って、すでに虚庵居士自身が「オジイチャン」の立場であるが、孫達のキャメロン君やリカちゃんに、果たしてどの様な夢を残してやれるであろうか。






             げにもまあ「金平糖」の花ならめ
 
             姫蔓蕎麦はこぼれて咲くかも 



             コンペイトウを両手に山盛り呉れたっけ
 
             記憶に生きてるオジイチャンかな 



             りかちゃんとキャメロンくんとはじじとばば 

             ともにあそばむおててをつないで