唐の元和十年、今から凡そ千二百年前。詩人元稹(げんじん)は親友の白楽天の左遷を病床で聞き、瀕死の我が身を忘れて床に起き上がり、この詩を賦しました。彼もまた左遷されていて、地方暮らしで体をこわしていました。
殊更に、親友の不幸が身に堪えたことだろうと想像されます。
その後、白楽天は元稹へ書信を送りました。
親友を気遣う手紙として、後世に名高い「与微之書」です。此の手紙を受け取った元稹は、感涙に咽びつつ七言絶句「得楽天書」」(10月19日掲載)を賦しました。
聞白楽天左降江州司馬 元稹(げんじん)詩
残燈無焔影憧憧 此夕聞君謫九江
垂死病中驚起坐 暗風吹雨入寒窓
残り灯の
消えなん焔の ゆらめきて
今宵聞くかも ああ君は
かの九江へ
左降さるると
我もまた
垂死の病に 臥せにしが
驚き起きて 床に座せば
身を責めるかも
夜の風雨は