「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「白楽天を思う」 

2006-11-12 00:26:22 | 和歌

 唐の元和十年、今から凡そ千二百年前。詩人元稹(げんじん)は親友の白楽天の左遷を病床で聞き、瀕死の我が身を忘れて床に起き上がり、この詩を賦しました。彼もまた左遷されていて、地方暮らしで体をこわしていました。

 殊更に、親友の不幸が身に堪えたことだろうと想像されます。

 その後、白楽天は元稹へ書信を送りました。
親友を気遣う手紙として、後世に名高い「与微之書」です。此の手紙を受け取った元稹は、感涙に咽びつつ七言絶句「得楽天書」」(10月19日掲載)を賦しました。 



 


             聞白楽天左降江州司馬   元稹(げんじん)詩
 
             残燈無焔影憧憧  此夕聞君謫九江
             垂死病中驚起坐  暗風吹雨入寒窓



                 残り灯の

             消えなん焔の ゆらめきて 

             今宵聞くかも ああ君は

                 かの九江へ 

                 左降さるると



             我もまた

             垂死の病に 臥せにしが

             驚き起きて 床に座せば

                 身を責めるかも

                 夜の風雨は