「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「エニシダ・金雀枝」

2006-05-26 16:57:52 | 和歌

 エニシダの鮮やかな黄色の花が、満開になった。

 写真のこの株は鉢植えで、さして大きくはないが、露地植えのエニシダは、自由に枝を伸ばして身の丈ほどになる。どこのお宅のエニシダもそれぞれに、沢山の花を付けて眼を愉しませてくれる。 エニシダの細くスーッと伸びた枝こそが、物語や絵本に出てくる「空飛ぶ魔女のホウキ」に使われていることは、殆ど知られていない。日本の魔女は「竹ぼうき」に跨っているが、魔女物語の中世ヨーロッパに竹は無いので、竹ぼうきに跨れるはずはないのだが・・・。





 ものの本によれば中世の魔女は、ナスの一種から抽出した香油のベラドンナやヒヨスを、体や「ほうき」に塗って空を飛んだという。ベラドンナやヒヨスがどの様な香油か、毒薬かは知らないが、これにはかなりのトリップ効果があるらしいので、ヒョットすると空を飛んでいる幻覚を味わったのかもしれない。香油や香料に凝った当時の女性達は、婆さんになると気の毒にも「魔女」にさせられたのかしらむ? エニシダにとっては、魔女物語は迷惑なのだろうか、はたまた名誉な話なのであろうか?






             はしく咲く黄色の小花のさ枝手折り
  
             きみに捧げむ髪の飾りに



             名にし負う魔女の箒はエニシダの

             さ枝で作ると知り給ふや君



             暁にあらずもエニシダ咲きたてば

             五月雨空の朝日かと 思ほゆ