「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「薔薇の雫」

2006-05-14 18:57:01 | 和歌

 今年も紅の薔薇の季節になった。






 毎年のことであるが、香りたつ紅の花を律儀に咲かせてくれるが、ズボラな「うつろ庵」の主は愉しむばかりで、いっこうにお礼をしてこなかった。せめて今年は花時が終わったら、感謝の気持ちをこて、肥料をあげたり剪定をしてやらねばならぬと考えている。今のうちに、薔薇が気に入ってくれる労わり方を少しは勉強をしておかねばなるまい。

 何年か前に、「薔薇を娶らむ」という長歌と反歌をものしたが、その折はデジカメという文明の利器がなかったので、作品には写真を添えなかったが、今にして思えば、あの頃の薔薇はもっと滾るものがあって、虚庵居士に迫って来たように思われる。
今年は薔薇が咲き始めて以来、雨の日が多いためであろうか、この薔薇の自慢の香りが、何時もの年に比べて少なめのようだ。

 散り敷く花びらを篭に拾い集めて、生ポプリを今年も愉しみたいものだ。


   



           
           降る雨にうら悲しくも紅の
           薔薇は項垂れ香り立たずも


           芳しき香り凝るらむ薔薇の花の
           雫をグラスに受けて含めば


           薔薇の花に湛える雫を受けまほし
           滾る命の雫を呑みてむ





 



             『薔薇を娶らむ』  旧作

          あゝ せめて
          我が身の齢(よわい) いま少し
          若くしあれば 紅の
          かくも気高く 香りたつ
          薔薇の化身の 乙女をば
          魔法を解きて 現身(うつせみ)の
          滾り燃え立つ 美女となし
          手を取りあいて 
          娶らむものを


          狂おしく咲きたるばらは惜し気なく
          散りて尽くさむ残り香いとしき