「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「柿の蔕」

2006-05-28 10:38:27 | 和歌

 柿がひっそりと花を付けている。

 柿は蔕が予め大きく成長して、その中に蕾と未生の果実を大切に守り、花が咲いたときには、中に果実が顔をのぞかせている。花よりは蔕が大きいのと、蔕も若葉色ゆえに目立たず、花を咲かせてもごくひっそりと、控えめだ。





 今年の五月の天気は、雨が降り続いて、例年に無く日照時間が短いと言う。天気図を眺めると、南には最早、梅雨前線が発達し始めているので、このまま北上すれば梅雨入りも早めになるのかも知れない。

 梅雨を迎えれば、やがて多めに付けた実を振り落として、柿の数を自ら加減する知恵者ぶりを見せてくれよう。ジューンドロップも、季節の愉しみの一つである。






             輪のままに散り敷く花にそれと知る

             柿の花かもひそかに咲きいて  



             花つぼみと未生の柿を懐に
  
             いだける蔕も若葉色かな



             たらちねの母を見るかも柿の蔕に

             未生の吾子をしかと抱きて