花も綿毛も、「たんぽぽ」によく似ているのだが、全く別の種類の「野芥子・ノゲシ」には、道端や野原でもよく出会う。
虚庵居士が眼を奪われるのは、花より「綿毛」の美しさだ。遠目には、白い毛皮で作った小さな手毬に見える。
たんぽぽの綿毛は、芯が透けて見えるが、「ノゲシ」は綿毛が密で、殆ど芯が判らない程だ。
「芥子」という名前が使われているが、芥子の花とは似ても似つかない。
「野芥子・ノゲシ」という名前が付けられているのには、何かゆえ有ってのことであろう・・・。
たんぽぽは野原に咲く雑草ではあるが、殆どの人が愛着すら抱いて、毛嫌いすることはないようだ。大地に張り付いて育つ「たんぽぽ」だが、「ノゲシ」は、草丈が五・六十センチほどにも成長する。気の毒にも全くの邪魔者扱いの「ノゲシ」だ。
草丈が大きいことが、忌み嫌われる所以なのであろうか。
人間社会でも「嵩だかい」者は、煙たがられるが・・・。
よく似たる花と綿毛の二つなれど
たんぽぽノゲシの 違いや如何に?
たんぽぽの綿毛はひいでて透ける哉
ノゲシの綿毛は密にて麗し