クール宅急便で、京都から「たけのこ」が届いた。
筍の毛皮は、まだ朝露が残って濡れている。朝露を踏んで掘り出して、その侭送り届けて下さったものであろう。筍と一緒に米糠も一袋添えられていた。
虚庵夫人の「お琴」の旧友が、ご主人の転職に合わせて京都の田舎にお帰りになって久しい。京呉服の反物を車に積んで、ご夫妻で「うつろ庵」を訪ねて下さったことが、二・三回ある。サラリーマンの然るべきポジションを擲って転職されたというが、呉服を商う天性のセンスをお持ちであった。それ以来、気の置けない友人同士の気安さもあって、呉服は専らその友人夫妻のお世話になって来た。
伺えば、ご先祖の土地を受け継いで居られるとか。呉服商の合い間に、竹林に分け入って堀り出して下さったものであろう、慣れぬ手つきが切り口からも偲ばれる。
ずっしりと重たき筍手にとれば
香りたつかも朝露にぬれ
ずんぐりと太く短き筍に
友の夫妻の声を聴くかな
わぎもこのさらいのことのねたけのこを
たくかとともにしょさいにとどきぬ