「菖蒲・あやめ」 「花菖蒲・はなしょうぶ」 「杜若・かきつばた」
不勉強な虚庵居士にとっては、誠に紛らわしい花達である。何故「菖蒲」と書いて「あやめ」と読ませるのであろうか? 端午の節句に飾るのは正真正銘の「菖蒲・しょうぶ」だ。「菖蒲・あやめ」の花を、「花菖蒲」と書くのかと思えば、これは「はなしょうぶ」で別物だという。学校の先生方は、子供達にどの様に教えておられるのだろうか? これでは「正しく読みましょう」などと、真面目な顔をして教えられない!
「杜若」は「かきつばた」と読めという。常識的に読めば「とじゃく」だ。どう転んでも「かきつばた」とは読めない。手元にある漢和辞典で「杜若」を調べたら、『ツユクサ科の多年草、「やぶみょうが」の名前。俗に誤って「かきつばた」のことをいう』と書かれていた。「俗に誤って」とは申せ、言い換えれば漢和辞典に記載される程度に、一般的だということだろう。
更にややこしいのは、花そのものの区別である。この花は、どうやら「あやめ」らしいが、ご先祖様は誠に罪作りな遺産を残されたものである。
道行けばあやめの花咲く時節かな
わたつみ越えて燕飛び来よ
傘さして琴の音聴きつつ花菖蒲を
去年(こぞ)は観しかな はやひととせを経て
花菖蒲あやめかはたまた杜若
区別はさておき花を召しませ