「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「紫蘭」

2006-05-07 11:25:07 | 和歌
 
 「うつろ庵」の紫蘭が咲いたので、ご紹介するつもりでいたが、何時の間にか十日ほど過ぎてしまった。

 清楚でいて色気があって、手弱女の風情が何ともいえない。このような花時をやり過ごすと、上の莟も次つぎと開いて豪華にはなるが、虚庵居士は一輪だけが咲いた今の姿に、限りない愛着がある。今にも咲かむとする次の莟、古代紫の外套をまだまだ固く閉じて、じっとその日を待ち続けるトップの莟。それぞれの表情を見ていると何やら娘達の育ち行く姿を彷彿させる。
 
 庭の虫達にも好みがあるらしい。姿を見せないが紫蘭の花びらを好んで食べる不敵の輩もいて、油断がならない。自然の世界は想像以上に過酷なようだが、考えてみれば人間世界もご同様か・・・。






             年頃の娘を持つ身に相似るや

             そぞろ気を揉む紫蘭の虫食い


 
             お隣の娘御そっと並び立ち
 
             あら まだ背の丈 勝てないのネ !
  


             頬見ればニキビのひとつ吹きいでて
 
             恋そむ年ごろ明るく笑いぬ