「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「梅かさね」

2006-02-17 01:51:48 | 和歌
 
 「うつろ庵」の深紅の蘇芳梅(すおうばい)が、ちらほら咲き始めた。

 春日に輝く、燃える表情をご紹介するつもりでいたが、今日は朝から霧雨が煙り、濡れる夕暮れの表情が、何とも言えず潤いを湛えていたので、急遽ご紹介することにした。毎回のことながら、虚庵居士が感じ取った紅梅の表情を、写真に写し撮れないのが悔しい思いであるが、拙い歌と合せて読者の「心眼」に、その表情を描いて頂きたいものだ。



 




             南天の深緑の葉と古竹を

             襲ねる色目は「梅かさね」かな



             誂えし梅咲く振袖はじらひて

             身に付け初めにし吾娘を偲びぬ

 

             花びらに雫を湛えて咲く梅は

             嫁ぎし娘の残せる笑みかも

  

             濡れて咲く夕暮れの梅 紅に

             氷雨に堪えるは滾るこころか