近くのお寺さんの庭に、蝋梅の古木があったのを思い出して、観にいった。
残念ながら時刻が午後だったので、蝋梅の花は、大木の木陰になって陽が遮られていた。
しかしながら幸いにも、ひとすじの木漏れ日が蝋梅の花びらにさし来て、スポットライトを当てたように浮き出させてくれた。わざわざ歩を運んで観に来た虚庵氏に、花びらを透かせて見せて呉れたかのような風情であった。
高ひかる日ざしを遮る大木々も
蝋梅思えば木漏れ日なすらむ
さしきたる木漏れ日ひとすじ蝋梅の
はしき花びら透かせて見せけり
蝋梅の莟はすでになくなれば
けごろもの冬足を速めむ
蝋梅の花時知りせば綻びを
めでに来つらむあやに悔しき