「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「出自はいずこ」

2006-02-08 00:09:48 | 和歌

 道路の脇に、ひっそりと咲く「姫つるそば」に出会った。

 立春とは名ばかりの凍てつく寒さに、葉の色は、霜焼けに凍えた乙女の手の色と見れば、哀れを誘う。はたまた、花のかんばせに合わせた衣装と見れば、この上なく気品に満ちている。道端にも拘らず穢れなき姿に、エールを送る虚庵氏であった。

  

 




             葉の色を浅蘇芳にぞ染めたるは

             姫つるそばの雅のこころか



             ぼんぼりに花咲く姫のつるそばの

             出自はいずこ卑しからずも



             穢れなく身を整えて控えしは

             やがてなる日を夢に見ゆらむ



             凍てつける舗装の道に耐えて咲く
   
             姫つるそばの小花をな踏みそ