道路の脇に、ひっそりと咲く「姫つるそば」に出会った。
立春とは名ばかりの凍てつく寒さに、葉の色は、霜焼けに凍えた乙女の手の色と見れば、哀れを誘う。はたまた、花のかんばせに合わせた衣装と見れば、この上なく気品に満ちている。道端にも拘らず穢れなき姿に、エールを送る虚庵氏であった。
葉の色を浅蘇芳にぞ染めたるは
姫つるそばの雅のこころか
ぼんぼりに花咲く姫のつるそばの
出自はいずこ卑しからずも
穢れなく身を整えて控えしは
やがてなる日を夢に見ゆらむ
凍てつける舗装の道に耐えて咲く
姫つるそばの小花をな踏みそ