邙 山 沈佺期(しんぜんき)詩
北邙山上列墳塋
万古千秋対洛城
城中日夕歌鐘起
山上惟聞松柏声
北邙山は洛陽の北、黄河の南に連なるなだらかな丘陵の名前だと言う。ものの本によれば、後漢の光武帝をはじめ・西晋・北魏の帝の陵が連なり、杜甫・王之渙・顔真卿らの詩人もここに葬られているという。将に墳塋(墓)が連なり、二千年の遥かな昔から、洛陽の街中の「さんざめき」と相対してきた。
洛陽の繁栄、人生の栄華、歓楽の歌声と対極にあるのが、邙山の世界だと沈先生は詠った。全てが沈黙の世界にあって、松籟のみが耳に残り、人生の無常を感じさせる。
邙山の墳墓の松柏さんざめく
洛陽の夜をいかに聴くらむ
大振りの誇れる華を偲ぶれば
芙蓉のなきがら揺るるも侘しき