「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「目白と競う」

2006-02-21 05:33:43 | 和歌

 「うつろ庵」の狭い庭にも数本の椿を植えてあるが、この時節では目白の好物の蜜が吸えるとあって、朝な夕なに飛び来て、可愛い訪問者が絶えない。

 目白の来訪は大歓迎だが、椿の花は残念ながら、嘴と足の爪痕が残って、お世辞にも綺麗とはいい難い。しかしながら、考えようによっては、目白達との交流の証だと思えば、むしろ立派な勲章を目白から授かったことになる。悔し紛れに聞こえるかもしれないが、可愛い目白とのお付き合いには、それなりの代償も必要だ。

 そんな訳で余程の幸運に恵まれないと、無垢の椿の花にはめったに出合えない。
 今朝はその幸運に巡り会えた。



             うつろ庵の椿の綻び待ちかねて

             目白と競うすみ人なるかな


  

 



             花びらに身を支えては蜜を吸う

             仕草いとしき目白に見惚れぬ



             うつろ庵の椿の誇る勲章は

             目白の残せる爪痕なるかな


  

 



             朝にけに目白飛び来て蜜吸えば

             一つだになし名残のなき花




 



             咲き初むる無垢の椿のただ一輪

             観まくほしけど 今朝はかないぬ