税理士 倉垣豊明 ブログ

東京武蔵野市(三鷹)の税理士 相続税、贈与税等資産税対策、法人・個人向け税務・会計・会社法のブログ

相続税の小規模宅地等の特例

2008-10-31 08:16:59 | 相続税・贈与税
おはようございます。税理士の倉垣です。

相続税の額は、相続等で取得した財産の評価額に対して税率を乗じて計算されます。
税率は累進税率(10%から50%まで)です。
基礎控除額(=50,000千円+10,000千円×法定相続人の数)が相続財産の額から控除されますが、それでも相続財産の評価額は不動産や預金など被相続人の財産全てですのでかなりの額になる可能性もあり、相続税を心配される方も結構います。

相続税の納付額を大きく減らすものとして、配偶者の相続税額の軽減と小規模宅地等の特例があります。
前者の配偶者の相続税額の減額は配偶者に限り認められますが、後者の小規模宅地等の特例は、被相続人の居住の用などに供していた土地等の評価を減額(減額割合は50%又は80%)するものです。これは適用面積に制限があります。面積の限度は土地の使用方法等により200平方メートルから400平方メートルまでです。

小規模宅地等の特例は大きく相続財産の評価減(したがって相続税額の減額)に貢献しますが、その規定されている条文が複雑です。それをこれから整理していこうと思っています。

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組織再編税制(兄弟会社の合併)

2008-10-30 08:41:50 | 法人税
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は組織再編税制(兄弟会社の合併)についてです。
法人税法においては、合併などの企業組織再編を支配が継続するかそれともそこで継続が立たれるかによって異
なる取扱いをしています。
すなわち、企業組織再編行為によって移転する資産および負債に対して支配が絶たれる場合にはそこでこれらの 資産および負債の時価による譲渡があったものとして課税が行われ、支配が継続すると認められる場合にはこれ らは簿価での引継をし、課税の繰延を行います。
支配が継続しない企業組織再編を非適格組織再編と、支配が継続するものを適格組織再編と言います。

1.適格組織再編と非適格組織再編
法人税法では、原則として、合併などの組織再編があった場合には、被合併法人から合併法人へ資産および負債
を時価で譲渡したものとして課税します。
しかし、その組織再編行為により経済的実態が変わらないとして一定の要件に該当する場合には、適格組織再編
として資産及び負債の譲渡に対する課税を見合わせ、帳簿価額により引き継ぐこととされています。
適格組織再編の要件は、グループ内の組織再編と、共同事業を行うためのそれとに分けて要件が規定されていま す。

前回の兄弟会社のケースを見ていきますと、同一の甲が被合併会社と合併会社の株式をそれぞれ70%と80%
所有しています。これで同一の者により組織再編の当事会社の株式を50%以上所有しているという要件を満たし ています。さらに、次の5つの要件を満たすと適格合併とされます。
(1)金銭等の交付がないこと
(2)支配関係の継続が見込まれること
(3)被合併法人の主要な資産および負債が移転していること
(4)被合併法人の従業者の80%が合併後に合併法人に引き継がれること
(5)被合併法人の従前の主要事業が合併法人に引き継がれること

2.適格組織再編の取扱い
(1)移転資産及び負債
被合併法人の資産および負債は合併直前の帳簿価額により、合併法人に引き継がれます。
(2)利益積立金
被合併法人の合併直前の利益積立金は合併法人に引き継がれます。
なお、合併法人の増加資本金は会社法により増加した資本金額です。
そして、資本金等の額のうち資本金以外の額=受入純資産の帳簿価額-受入利益積立金額-増加資本金額となり ます。
(3)株主の課税
金銭等の交付がなければ、被合併法人の株主に対し旧株の譲渡所得の課税は行われません。
また、みなし配当課税も、被合併法人の利益積立金が合併法人に引き継がれるため、行われません。

このように同一の合併について、会計では取得(税法における非適格合併)、法人税法では適格合併となる場合があります。資産価額の処理の違いは申告調整をすることになります。

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企業結合に係る会計基準(兄弟会社の合併)

2008-10-29 08:18:58 | 会計
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は企業結合に係る会計基準(兄弟会社の合併)を具体的なケースで検討してみました。

[ケース]
B社がA社を吸収合併することになった。
事業内容は両社ともに食料品の卸売を行っており、個人である甲がB社とA社の株式をそれぞれ70%と80%所有 している。発行済株式総数と資本金額はB社が600株で30,000,000円、A社が200株で10,000,000円であるとしま す。B社はA社の事業(設備及び従業員)をすべて引き継ぎ、A社の株主に旧株5株につきB社の株式を1株交付 する。

[会計処理の検討]
会計(企業結合に係る会計基準)上この合併を検討してみます。

1.取得と持分の結合の識別
次の要件のすべてを充たすものは持分の結合と判定し、持分の結合と判定されなかったものは取得と判定される 。
(1)対価のすべてが、議決権のある株式であること
(2)結合後企業に対して各結合当事企業の株主が総体として有することとになった議決権比率が等しいこと
(3)議決権比率以外の支配関係を示す一定の事実が存在しないこと

合併後の議決権比率は旧A社の株主が40株(=200株÷5)に対してB社の株主が600株であるので、上記の(2)の 要件を充たさないので、この合併は取得と判定されます。

2.取得の会計処理
(1)取得企業の決定方法
対価の種類が議決権のある株式で株式である企業結合が取得と判定された場合には、議決権比率が大きいと判定 された結合当事企業が取得企業とされます。したがって、B社が取得企業です。

(2)取得原価の算定
被取得企業の取得原価は、原則として、取得時点の取得の対価となった財の時価を算定し、それらを合算したも のとされます。支払対価が現金以外である場合には、支払対価となる財の時価と取得した純資産の時価のうち、 より高い信頼性をもって測定可能な時価で算定します。

A社の純資産の時価は15,000千円でこれは簿価と同額であり、支払対価であるB社の株式の時価よりも信頼性が あるとすると、A社の取得原価は15,000千円となります。

(3)取得原価の配分方法
取得原価は、被取得企業から取得した資産及び引受けた負債のうち企業結合日時点において識別可能なものの企
業結合日時点の時価を基礎として、その資産および負債に対して企業結合日以後1年以内に配分します。

取得原価15,000千円を、被取得企業から受け入れた資産および負債に対し時価を基礎として配分します。このケ ースでは時価と簿価が同じなので、被取得企業の簿価をそのまま受け入れることになります。

取得原価が、取得した資産及び引受けた負債に配分された純額を上回る場合には、その超過額はのれんとして資 産に計上し、下回る場合には、その不足額は負ののれんとして負債に計上します。

(4)のれんの会計処理
のれんは、20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法その他の合理的な方法により規則的に償却する。ただし、のれんの金額に重要性が乏しい場合には、そののれんが生じた事業年度の費用として処理することがで きる。

(5)負ののれんの会計処理
負ののれんは、20年以内の取得の実態に基づいた適切な期間で規則的に償却する。ただし、負ののれんの金額に 重要性が乏しい場合には、その負ののれんが生じた事業年度の利益として処理することができる。

今回は企業結合の会計処理を見てきましたが、次回は法人税法の取り扱いを検討してみます。

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棚卸資産に関する会計基準2

2008-10-28 08:27:09 | 会計
おはようございます。税理士の倉垣です。

棚卸資産の評価の会計処理をもう少し詳しく見ていきます。

通常の販売目的で保有する棚卸資産の評価は、取得価額を原則としつつ、期末の正味売却価額が取得価額よりも 下落している場合には、その正味売却価額をもって貸借対照表価額をすることとされています。

1、売却市場において市場価額が観察できないとき
この場合には、合理的に算定された価額を売却価額とします。これには、期末前後での販売実績に基づく価額を 用いる場合や、契約により決められた一定の売価を用いる場合を含みます。

2、営業循環過程から外れた滞留又は処分見込等の棚卸資産
このような合理的に算定された価額によることが困難な場合には、正味売却価額まで切り下げる方法にかえて、 その状況に応じ、次のような方法により収益性の低下の事実を適切に反映するよう処理をします。
(1)帳簿価額を処分見込価額(ゼロ又は備忘価額を含む。)まで切り下げる方法
(2)一定の回転期間を超える場合、規則的に帳簿価額を切り下げる方法

3、再調達原価によることができる場合
製造業における原材料等のように再調達原価のほうが把握しやすく、正味売却価額がその再調達原価に歩調を合
わせて動くと想定される場合には、継続適用を条件として、再調達原価(最終仕入原価を含む。)によることが できます。

4、複数の売却市場に参加し得る場合
企業が複数の売却市場に参加し得る場合には、実際に販売できると見込まれる売価を用います。また、複数の売 却市場が存在し売価が異なる場合であっても、棚卸資産をそれぞれの市場向けに区分できないときは、それぞれ の市場の販売比率に基づいた加重平均売価等によります。

5、棚卸資産評価の単位
収益性の低下の有無に係る判断及び簿価切下げは、原則として、個別品目ごとに行います。ただし、複数の棚卸
資産を一括りとした単位で行うことが適切であると判断されるときには、継続適用を条件に、その方法によるこ
とができます。

6、売価還元法による場合
売価還元法を採用している場合においても、期末における正味売却価額が帳簿価額よりも下落している場合には 、その正味売却価額をもって貸借対照表価額をします。
ただし、値下額等が売価合計額に適切に反映されている場合には、値下額及び値下取消額を除外した売価還元低 価法によることができます。

7、洗替え法と切放し法
前期に計上した簿価切下額の戻入れに関しては、棚卸資産の種類ごとに洗替え法と切放し法を選択適用できま
す。
また、売価の下落要因を区分把握できる場合には、物理的劣化や経済的劣化、若しくは市場の需給変化の要因ご とに選択適用できます。この場合、いったん採用した方法は、原則として、継続して適用しなければなりません


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棚卸資産の評価に関する会計基準

2008-10-27 08:30:07 | 会計
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は棚卸資産の評価に関する会計基準について書いてみました。

1、範囲
本会計基準は、すべての企業における棚卸資産の評価基準及び開示に関して適用される。
棚卸資産は、企業がその営業目的を達成するために所有し、かつ、売却を予定する資産(商品、製品等)のほか 、売却を予定しない資産であっても、販売活動及び一般管理活動において短期間に消費されるもの(事務用消耗 品等)も含まれます。
なお、売却には、通常の販売のほか、活発な市場が存在することを前提として、棚卸資産の保有者が単に市場価 格の変動により利益を得ることを目的とするトレーディングを含みます。

2、会計処理
(1)通常の販売目的で保有する棚卸資産の評価基準
取得価額をもって貸借対照表価額とし、期末における正味売却価額が取得価額よりも下落している場合には、その正味売却価額をもって貸借対照表価額とします。この場合において、取得価額とその正味売却価額との差額は当期の費用として処理します。
正味売却価額とは、売価から見積追加製造原価及び見積販売直接経費を控除したものをいいます。

(2)トレーディング目的で保有する棚卸資産の評価基準
市場価格に基づく価額をもって貸借対照表価額とし、評価差額は、当期の費用として処理します。

3、開示
(1)通常の販売目的で保有する棚卸資産に係る損益の開示
通常の販売目的で保有する棚卸資産について、収益性の低下による簿価切下額は、売上原価とするが、棚卸資産 の製造に関連し不可避的に発生すると認められるときには製造原価として処理する。また、収益性の低下に基づ く簿価切下額が、臨時の事象に起因し、かつ、多額であるときには、特別損失に計上する。

(2)トレーディング目的で保有する棚卸資産に係る損益の開示
トレーディング目的で保有する棚卸資産に係る損益は、原則として、純額で売上高に表示する。

4、適用時期
本会計基準は、平成20年4月1日以後開始する事業年度から適用する。ただし、早期適用も認められています。

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教育訓練費の額が増加した場合の法人税額の特別控除

2008-10-24 08:22:22 | 法人税
おはようございます。税理士の倉垣です。

法人の教育訓練費について税額控除制度がありますが、この法律は租税措置法で適用期限が平成17年4月1日から平成20年3月31日までに開始する事業年度となっていました。この制度は適用期限の到来をもって廃止となりますが、中小企業に対しては、平成20年4月1日から平成21年3月31日までの間に開始する事業年度について事業基盤強化設備を取得した場合の税額控除制度として適用されます。
廃止される教育訓練費の税額控除規定を整理してみました。事業基盤強化設備の税額控除については後日ご説明をします。

1.教育訓練費の額が増加した場合の法人税額の特別控除
(1)制度の概要
青色申告書を提出する法人の平成17年4月1日から平成20年3月31日までに開始する各事業年度における損金算入教育訓練費の額が比較教育訓練費の額を超える場合には、その超過額の25%相当額の税額控除(ただし、法人税額の10%を限度とする。)が認められます。

(2)適用対象法人と適用期間
青色申告書を提出する法人(業種や規模は問いません)の平成17年4月1日から平成20年3月31日までに開始する各事業年度について適用されます。

(3)教育訓練費の範囲
教育訓練費とは、法人がその使用人の職務に必要な技術又は知識を習得させ又は向上させるために支出する費用で、次の教育訓練等の形態に応じ次のイからニまでの費用いいます。
イ、法人がその使用人に自ら教育訓練等を行う場合
講師等に支払う報酬等、施設やコンテンツ使用料など。
ロ、法人が他の者に教育訓練等の委託をする場合
その教育訓練等のために他の者に支払う費用。
ハ、法人がその使用人を他の者が行う教育訓練等に参加させる場合
他の者に支払う授業料等。
ニ、法人が教育訓練等の用に供する教科書等の購入又は制作(他の者に製作を委託した場合に限る)をした場合。
その購入又は制作に要する費用。

(4)措置の内容
イ、税額控除額の計算
税額控除額=(教育訓練費の額-比較教育研究費の額)×25%
ただし、法人税額の10%を限度とします。
ロ、比較教育研究費の額
適用事業年度の開始前2年以内に開始した各事業年度の教育訓練費の平均額です。
ハ、申告要件
この適用を受けるためには、一定の申告要件を満たさなければなりません。

2.中小企業者等の教育研究費の額が増加した場合の法人税額の特別控除
(1)制度の概要
青色申告書を提出する中小企業者等は、上記1の税額控除にかえ、教育訓練費の額の20%(教育訓練費増加割合が40%未満の場合は、教育訓練費増加割合に0.5を乗じた割合)相当額の税額控除を適用できます。ただし、法人税額の10%を限度とします。

(2)措置の内容
イ、税額控除額
税額控除額=教育訓練費の額×税額控除割合
ただし、法人税額の10%を限度とします。
ロ、税額控除割合
(イ)教育訓練費増加割合が40%以上の場合 20%
(ロ)教育訓練費増加割合が40%未満の場合
税額控除割合=教育訓練費増加割合×0.5
教育訓練費増加割合=(当期の教育訓練費の額-比較教育訓練費の額)÷比較教育研究費の額

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工事契約に関する会計基準1

2008-10-23 08:19:28 | 会計
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は工事契約に関する会計基準についてまとめてみました。
長期工事の収益の認識基準は、これまで工事完成基準と工事進行基準の選択適用が認められてきましたが、工事
完成基準は工事進行基準の適用要件を満たさない場合に限り適用することとされました。

1.範囲
工事契約に関する会計基準は、工事契約に関して、施工者における工事収益及び工事原価の会計処理並びに開示 に適用されます。
本会計基準において「工事契約」とは、仕事の完成に対して対価が支払われる請負契約のうち、基本的な仕様や作業内容を顧客の指図に基づいて行うものをいいます。
請負契約の例として、土木、建築、造船や一定の機械装置の製造等がありますが、受注制作のソフトウェアにつ いても、本会計基準の適用があります。

2.会計処理

(1)工事契約に係る認識の単位
工事契約に係る認識の単位は、工事契約において当事者間で合意された実質的な取引の単位に基づきます。

(2)工事契約に係る認識基準
工事契約に関して、工事の進行途上においても、その進行部分について成果の確実性が認められる場合には工事 進行基準を適用し、この要件を満たさない場合には工事完成基準を適用します。
成果の確実性が認められるためには、次の各要素について、信頼性を持って見積もることができなければならない。
イ、工事収益総額
ロ、工事原価総額
ハ、決算日における工事進捗度

(3)工事進行基準の会計処理
イ、工事進行基準の適用による工事収益及び工事原価の計上
工事進行基準を適用する場合には、工事収益総額、工事原価総額及び決算日における工事進捗度を合理的に見積 もり、これに応じて当期の工事収益及び工事原価を損益計算書に計上します。
工事進行基準を適用する場合、発生した工事原価のうち、未だ損益計算書に計上されていない部分は、「未成工事支出金」等の適切な科目をもって貸借対照表に計上します。
ロ、決算日における工事進捗度の見積方法
決算日おける工事進捗度は、原価比例法等の、工事契約における施工者の履行義務全体との対比において、決算 日におけるその義務の遂行の割合を合理的に反映する方法を用いて見積もります。

(4)適用時期
本会計基準は、平成21年4月1日以後開始する事業年度から適用する。早期適用も可能です。

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外国税額控除4(間接税額控除)

2008-10-22 08:32:31 | 法人税
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は外国税額控除の第4回目で、間接税額控除について書いてみました。

1.間接税額控除
内国法人が外国子会社から配当等を受けた場合には、その外国子会社の所得について課せられた外国法人税額の うちその配当等に対応する部分の金額は、その内国法人が納付した外国法人税額とみなして税額控除の適用を受 けることができます。

2.外国子会社の要件
上記1の適用を受けることができる外国子会社とは次の要件を満たすものをいいます。
(1)内国法人の持株比率が25%以上であること
(2)その25%以上の持株比率が、その配当等の支払い決定前から6月間継続していること
この持株比率は租税条約により変更されている場合があります。(例、米国10%、フランス15%など)

3.控除対象外国法人税額の計算
次のうちいずれか小さい額
(1)外国子会社の外国法人税額×{(内国法人が受けた外国子会社からの配当等の額)/(外国子会社の所得金額- 外国子会社の外国税額)}
(2)内国法人が受けた外国子会社からの配当等の額-その配当等の額に対する外国源泉税額×2

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平成20年度年末調整(社会保険料控除)

2008-10-21 08:21:24 | 所得税
おはようございます。税理士の倉垣です。

国税庁から年末調整における「険料控除申告書」の様式が発表されました。

1.長寿医療制度の保険料
内容は、社会保険料控除として控除される保険料に、「高齢者の医療の確保に関する法律の規定による保険料」(長寿医療制度の保険料)が加えられてい ます。長寿医療制度の保険料は原則として、本人の年金から源泉徴収されますが、市区町村へ届け出ることにより10月以降、振込を選択することも認めら れているそうです。もし、本人の保険料を生計を一にする親族が支払った場合には、その親族が支払った保険料の額はその親族の社会保険料控除の対象と することができますので、保険料控除申告書に必要な記載をして年末調整で給与所得から控除してもらうことができます。
この長寿医療制度の保険料については、国民年金のように証明書の添付は要求されていません。

2.控除対象額
社会保険料として控除される額は、その年に支払った社会保険料の額です。
前納保険料は、原則として支払保険料の額のうちその年に対応する部分だけが控除の対象になりますが、前納期間が1年未満の場合にはその全額を控除することもできます。

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外国税額控除3(税額控除額の計算)

2008-10-20 08:25:47 | 法人税
おはようございます。税理士の倉垣です。

内国法人が納付した外国法人税額は、控除限度額の範囲内で税額控除されます。

1、控除限度額
国税の控除限度額と地方税の控除限度額の合計額です。地方税の控除限度額は道府県民税の限度額(原則として国税の限度額の5%)と市町村民税の限度額(原則として国税の限度額の12.3%)からなります。

2、繰越控除限度額
その事業年度の控除対象外国法人税の額が控除限度額を超過する場合で、前3年以内開始事業年度の繰越控除限度額があるときは、その繰越控除限度額の範囲内でその超過額について外国税額控除の適用を受けることができます。

3、繰越控除対象外国法人税額
その事業年度の控除対象外国法人税の額が控除限度額に満たない場合で、前3年以内開始事業年度の繰越控除対象外国法人税額があるときは、その満たない額の範囲内で、繰越控除対象外国法人税額を税額控除することができます。

4.計算例
第1期 所得金額1,000,000千円(内外国所得20,000千円)、法人税額400,000千円、外国法人税額8,500千円
第2期 所得金額2,000,000千円(内外国所得30,000千円)、法人税額800,000千円、外国法人税額14,500千円

第1期 控除限度額の計算 国税 400,000千円×(20,000千円/1,000,000千円)=8,000千円
地方税 道府県民税 8,000千円×5.0%=400千円
市町村民税 8,000千円×12.3%=984千円
控除限度額の合計 8,000千円+400千円+984千円=9,384千円
控除余裕額 9,384千円-8,500千円=884千円(市町村民税の控除余裕額。外国税額控除は国税、地方税(道府県民税、市町村民税)の順に控除する。)

第2期 控除限度額の計算 国税 800,000千円×(30,000千円/2,000,000千円)=12,000千円
地方税 道府県民税 12,000千円×5.0%=600千円
市町村民税 12,000千円×12.3%=1,476千円
控除限度額の合計 12,000千円+600千円+1,476千円=14,076千円
控除限度超過額 14,500千円-14,076千円=424千円
当期の税額控除額は第1期の繰越控除額のうち424千円を使い、14,500千円全額控除できる。
(市町村民税の控除余裕額の繰越額は460千円(=884千円-424千円)となった。)

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