税理士 倉垣豊明 ブログ

東京武蔵野市(三鷹)の税理士 相続税、贈与税等資産税対策、法人・個人向け税務・会計・会社法のブログ

自己株式の処分の会計処理

2007-11-30 08:19:50 | 新会社法
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は昨日の続きで、自己株式の処分の会計処理を取り上げてみました。

1.自己株式の処分
会社が保有する自己株式を他に譲渡することを自己株式の処分と言います。
もし、その処分価額が自己株式の帳簿価額と異なるときは、自己株式の処分差損益が発生します。
自己株式処分差益=自己株式処分対価>自己株式帳簿価額
自己株式処分差損=自己株式処分対価<自己株式帳簿価額

2.会計処理
イ、原則
自己株式処分差損益は「その他資本剰余金」の増減として処理します。
ロ、例外
新株発行と同時に自己株式の処分が行われる場合で、自己株式処分差損が生じるときは、その損失は「資本金等増加限度額」より控除します。

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自己株式の会計処理1(取得)

2007-11-29 08:16:12 | 会計
おはようございます。税理士の倉垣です。

自己株式の会計処理の第1回として、自己株式の取得の会計処理をまとめてみました。

1.取得の認識時点
自己株式の取得を有価証券の取得ではなく、資本の払戻しと考えるため、取得の認識時点は次のように取り扱われます。(自己株式適用指針5)
対価の種類 認識時点
金銭 対価を支払うべき日
金銭以外 対価が引き渡された日
募集株式の発行等による手続きの場合は、対価の払込期日(払込期間を定めた場合には出資の履行日)

2.取得原価の算定
自己株式の取得原価の算定は、次のようになります。(自己株式適用指針7,8,9,14,15)
対価 自己株式の取得原価
金銭以外 企業集団内の企業から取得 移転された資産及び負債の適正な帳簿価額により算定
他の種類の株式を交付 イ、他の種類の新株を発行する場合 零
ロ、他の種類の自己株式を処分する場合 処分した自己株式の帳簿価額
その他の場合 取得の対価となる財の時価と、取得した自己株式の時価のうちより高い信頼性をもって測定可能な時価で算定する。
なお、自己株式に市場価格がある場合には、一般的にその価格を用いて自己株式の取得原価を算定する。
また、取得の対価となる財及び取得した自己株式に市場価格がないこと等により公正な評価額を合理的に算定することが困難と認められる場合には、移転された資産及び負債の適正な帳簿価額により自己株式の取得原価を算定する。
無償取得 自己株式の数のみの増加として処理する。
無償で取得した自己株式の数に重要性がある場合には、その旨及び株式数を連結財務諸表及び個別財務諸表に注記します。

3.自己株式の表示
期末に保有する自己株式は、純資産の部の株主資本の末尾に自己株式として一括して控除する形式で表示します。(自己株式会計基準8)

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会計の処理の基準について

2007-11-28 08:18:49 | 会計

おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は会計の処理の基準について書いてみました。

会計に携わる人は当然、一般に認められた会計基準に基づいて会計処理とその報告を行わなければいけません。
わが国における会計基準は,取引の多様化・国際化等の影響を受けて多くの問題を個別に取り上げるようになりました。
企業会計基準委員会により発表された会計基準の例。
イ、棚卸資産の評価に関する会計基準(平成18年7月5日)
ロ、貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準(平成17年12月9日)

また、それらの具体的な解釈指針として日本公認会計士協会から実務指針が,また企業会計基準委員会から会計基準の適用指針が、それぞれ多数公表されています。

これらの個別の会計基準や実務指針等の発表のスピードとそのボリュームには驚かされ続けています。会計法規集は改訂版が年2回ずつ発行されています。

その他の会計処理に関係する法規として、会社法(会社計算規則を含む)や、法人税などにも多くの規定が存します。

これからの会計に携わる者として、会計基準(実務指針等を含む)と、会社法(会社計算規則を含む)や税法(特に法人税法)をすべて関連させながら理解をしておかないと、さまざまな問題に対して正しい処理ができなくなったという感じを抱いています。

これからも、会計に関する問題を中心にブログを投稿していきます

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自己株式の取得(株主との合意による)

2007-11-27 08:17:28 | 新会社法
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は自己株式の2回目として、自己株式の取得できる場合のうち、株主との合意により有償で取得する場合を取り上げてみました。

1.自己株式の取得(株主との合意)の手続き
手続き 条文 説明
授権決議 会社法156条 株主総会の決議によりあらかじめ次の事項を定める必要がある。
イ、取得株式数
ロ、交付金銭等の内容及びその総額
ハ、取得期間(1年以内)
個別具体的な取得手続き 会社法157条 買取の都度、次の事項を定める必要がある。取締役会設置会社は、取締役会の決議によらなければならない。
イ、取得株式数
ロ、取得株式1株当たりの交付金銭等の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法
ハ、取得対価の総額
ニ、株式の譲渡しの申込期日
株主への通知 会社法158条 株式会社は各株主に対し、自己株買取りの内容を通知しなければならない。
公開会社は、公告をもってこの通知に代えることができる。
譲渡申込の手続き 会社法159条 上記の通知を受けた株主で、その有する株式の譲渡しの申込をしようとするときは、株式会社に対し申込株式数を明らかにする。
そして、申込期日において株式会社はその株主の申込の承認をしたものとみなされる。
もし、申込総数が取得総数を超える場合には、按分計算する。

2.特定の株主からの取得

株式会社は、自己株式の授権決議において、特定の株主に株式の買取の通知を行う旨を定めることができます。
この場合、他の株主は、その特定の株主に自己をも加えたものを株主総会の議案とすることを請求することが認められています。(会社法160条)
ただし、次の場合にはその議案請求ができません。
イ、市場価額のある株式の取得(取得価額が市場価額を超えない場合)(会社法161条)
ロ、相続人等からの取得(会社法162条)

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自己株式の取得ができる場合

2007-11-26 08:26:43 | 新会社法
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は会社が自己株式を取得できる場合を会社法の条文上どのように規定されているかみてみます。

会社法155条で、株式会社は次に掲げる場合に限り、自己株式を取得することができるとして、次の13の場合を列挙しています。
内容 摘要
1 第107条2項第3号イの事由 取得条項付種類株式の取得
2 第138条第1号ハ又は第2号ハの請求があった場合 譲渡制限株式の譲渡承認をしない場合の買取
3 次条第1項の決議があった場合 株主との合意による取得
4 第166条第1項の請求があった場合 取得請求権付株式の取得
5 第171条第1項の決議があった場合 全部取得条項付種類株式の取得
6 第176条第1項の請求をした場合 相続人等に対する売り渡し請求による取得
7 第192条第1項の請求があった場合 単元未満株式の取得
8 第197条第3項の事項を定めた場合 所在不明株主の株式の買取
9 第234条第4項の事項を定めた場合 端株の買取
10 他の会社の事業の全部を譲り受ける場合においてその他の会社が有するその株式会社の株式を取得する場合
11 合併後消滅する会社からその株式会社の株式を取得する場合
12 吸収分割をする会社からその株式会社の株式を取得する場合
13 そのほか、法務省令で定める場合 会社法施行規則27条

自己株式の買取の手続きや会計処理などこれから投稿を予定しています。

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受託者の忠実義務

2007-11-22 08:10:17 | 税金一般
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は信託の受託者の忠実義務をみていきます。

1.忠実義務
受託者は、受益者のため忠実に信託事務の処理その他の行為をしなければならない。(信託法30条)

2.利益相反行為の制限(信託法31条1項)
受託者は、次に掲げる行為をしてはならない。
イ、信託財産に属する財産(その財産に係る権利を含む)を固有財産に帰属させ、又は固有財産に属する財産(その財産に係る権利を含む)を信託財産に帰属させること。
ロ、信託財産に属する財産(その財産に係る権利を含む)を他の信託の信託財産に帰属させること。
ハ、第三者との間において信託財産のためにする行為であって、自己がその第三者の代理人となって行うもの。
ニ、信託財産に属する財産につき固有財産に属する財産のみをもって履行する責任を負う債務に係る債権を被担保債権とする担保権を設定することその他第三者との間において信託財産のためにする行為であって受託者又はその利害関係人と受益者との利益が相反することとなるもの。

3.競合行為の禁止(信託法32条1項)
受託者は、受託者として有する権限に基づいて信託事務の処理としてすることができる行為であってこれをしないことが受益者の行為に反するものについては、これを固有財産又は受託者の利害関係人の計算でしてはならない。

4.違反行為の効果
イ、利益相反行為(信託法31条4,5,6,7項)
2のイ及びロの違反 無効。ただし、受益者の追認により効力を生ずる。
受託者が、その財産を第三者に処分したときは、その第三者が悪意又は重過失がある場合に限り受益者が取消可能
2のハ及びニの違反 その第三者が悪意又は重過失がある場合に限り受益者が取消可能
上記の取消権は、受益者が取消の原因があることを知った時から3か月間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から1年を経過したときも同様です。(信託法27条4項)

ロ、競合違反行為(信託法32条4,5項)
受益者は、その行為を信託財産のためにされたものとみなすことができる。ただし、第三者の権利を害することができない。
この権利は、この行為の時から1年を経過したときは、消滅する。

その他、受託者の忠実義務違反による受託者の損失てん補責任等が定められていますが、後日投稿します。

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受託者の費用償還請求等

2007-11-21 08:19:18 | 税金一般
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は信託の受託者の費用償還請求等をまとめてみました。

1.信託財産からの費用等の償還等
受託者は、信託事務を処理するのに必要と認められる費用を固有財産から支出した場合には、信託財産からその費用及び支出の日以後の利息(以下「費用等」という。)の償還を受けることができます。また、その前払いを受けることも認められています。
そして、受託者と受益者の合意があれば、費用等の償還又は費用の前払いを受益者から受けることもできます。(信託法48条)

2.費用等の償還等の方法
信託財産に属する金銭を固有財産に帰属させる方法で行う。
もし、必要があれば信託財産に属する財産(その財産を処分するとこにより信託の目的を達成することができなくなるものを除く)を処分することができます。(信託法49条)

3.信託財産が費用等の償還等に不足している場合の措置
信託財産(処分することにより信託の目的を達することができなくなるものを除く。次のイに同じ。)の額が費用等の償還等の額に不足している場合において、受託者が委託者及び受益者に対し次の事項を通知し、もしロの相当の期間内に委託者又は受益者から費用等の償還等を受けられなかったときは、受託者は信託を終了することができることとなっています。
イ、信託財産が不足しているため費用等の償還等を受けることができない旨
ロ、受託者の定める相当の期間内に委託者又は受益者から費用等の償還等を受けないときは、信託を終了させる旨
(信託法51条)

4.信託財産からの損害の賠償
受託者は、次の各号に掲げる場合には、それぞれに掲げる損害の額について、信託財産からその賠償を受けることができます。
イ、受託者が信託事務を処理するため自己に過失なく損害を受けた場合 その損害額
ロ、受託者が信託事務を処理するため第三者の故意又は過失によって損害を受けた場合(上記イを除く) その第三者に対し賠償を請求することができる額(信託法53条)

5.受託者の信託報酬
受託者は、商法に基づく報酬請求の適用がある場合のほか、信託行為に信託財産から受託者に信託報酬を支払う旨の定めがある場合に限り、信託財産から信託報酬を受けることができます。(信託法54条)

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限定責任信託

2007-11-20 08:17:57 | 税金一般
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は限定責任信託についてまとめてみました。
信託には法人格がありませんので、信託財産についてした取引の債務者は受託者ということになります。そして、その債権者は信託財産に関してなされた取引であるので、信託財産から債権の回収を図ることはもちろん、受託者が債務者ですので債務者たる受託者の固有財産からも債権の回収を図ることができます。もちろん、固有財産から債務の弁済をした受託者はそれを信託財産から償還してもらえます。しかし、信託財産そのものが不足している場合には、受託者の負担となります。
そうすると、安心して信託の受託者となれませんね。
その場合、信託財産の負担すべき債務(信託財産責任負担債務)は、信託財産のみに負担させ、受託者の固有財産が負担しなくてもよい制度が設けられています。
これが、限定責任信託です。

法律は、信託法217条1項です。
「限定責任信託においては、信託財産責任負担債務に係る債権に基づいて固有財産に属する財産に対し強制執行、仮差押え、仮処分若しくは担保権の実行若しくは競売又は国税滞納処分をすることはできない。」

限定責任信託は、その登記と取引相手に対する明示や受益者に対する給付の制限などが規定されています。

[限定責任信託の登記]
限定責任信託の目的、名称、受託者の氏名等一定の事項を登記しなければならず、登記がなければその効力が発生しません。
その限定責任信託には、その名称中に限定責任信託という文字を用いなければなりません。(信託法216条、232条)

[取引の相手方に対する明示]
受託者は、限定責任信託の受託者として取引をするに当たっては、その旨を取引の相手方に示さなければ、これをその取引の相手方に対し主張することができません。(信託法2109条)

[受益者に対する信託財産に係る給付の制限]
限定責任信託においては、受益者に対する信託財産に係る給付は、その給付可能額(受益者に対し給付をすることができる額として純資産額の範囲内において法務省令で定める方法により算定される額)を超えてすることはできない。(信託法225条)

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信託財産には法人格がないということ

2007-11-19 08:13:55 | 税金一般
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は信託財産の法人格を取り上げてみました。

信託財産には、会社などと異なり、法人格がありません。
したがって、会社だと、代表取締役が会社のために行った取引により生じた債務の債務者は代表取締役ではなく会社となります。
しかし、信託財産には法人格がありませんから、受託者が信託財産のために行った取引より生じた債務の債務者は、受託者となります。
したがって、この債権者は、債務者である受託者の固有財産を差し押さえることができます。
ここで注意しなければいけないのは、この債権者は、債務者である受託者に対してのみ差し押さえができるだけではなくて、信託財産に対しても差し押さえができます(信託財産責任負担債務)。
もちろん、信託財産が負担すべき債務を受託者が弁済した場合には、信託財産から費用の償還を受けることができます。しかし、その償還をすべて受けられる程の信託財産がなければ受託者の負担となります。

信託の受託者は、常にリスクを負いますね。
しかし、限定責任信託という制度を利用すると、信託の債務の責任財産が、その信託財産に限定され、受託者の固有財産に及ばないようにすることができます。

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Factoring

2007-11-16 08:13:17 | 会計
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、英文会計の売掛金の売却(Factoring)の処理について書いてみました。

Accounts Receivable(売掛金)の譲渡は、譲渡人がその売掛金に対する支配を失ったときは、売却の処理を行い、そうでなければ、借入の処理を行います。また、売却には、譲渡人が債務者の支払いがなかった場合などに譲渡人が追う義務である遡及義務を負うか否かにより仕訳が異なります。

例 A社が売掛金$50,000をファクターに譲渡した。ファクターは、3%のサービス料及び5%の保留(売上戻り、値引き)を要求した。貸倒引当金は4%設定されていた。

1.Sale(売却)
イ、Sale without recouse
Dr. Cash 46,000
Due from Factor 2,500
Loss on Sale of Receivable 1,500
Allowance for Bad Debt 2,000
Cr. Bad Debt Expense 2,000
Accounts Receivable 50,000

その後、$1,500の売上値引きが発生
Dr. Sales 1,500
Cr. Due from Factor 1,500
その後の、ファクターからの返金
Dr. Cash 500
Cr. Due from Factor 500

ロ.Sale with recouse
Dr. Cash 46,000
Due from Factor 2,500
Loss on Sale of Receivable 1,500
Allowance for Bad Debt 2,000
Cr. Recouse Obligation 2,000
Accounts Receivable 50,000

2.Borrowing(借入)
Dr. Cash 46,000
Discount on Payable to Factor 1,500
Cr. Payable to Factor 47,500
勘定科目は、「国際会計検定 Subject2 公式テキスト」東京商工会議所発行による。

売掛金の譲渡は、その譲渡により譲渡人がその売掛金に対する支配を失ったかどうかにより判断し、支配を失った場合には売掛金の売却として処理します。そして、その後、譲渡人がまだその売掛金とのかかわりがある場合(訴求義務を負う場合)には、その訴求義務の時価(例えば貸倒引当額)を債務として認識する。

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