税理士 倉垣豊明 ブログ

東京武蔵野市(三鷹)の税理士 相続税、贈与税等資産税対策、法人・個人向け税務・会計・会社法のブログ

株式交付費用の額

2007-10-31 08:10:35 | 新会社法
おはようございます。税理士の倉垣です。

設立時や成立後の株式発行時の株式交付費用の額については、次のように会社計算規則に規定されていますので、株式交付費用の額を資本金や資本準備金から控除することも可能なのではないかという考え方もありました。
しかし、附則11条で、当分の間控除しないこととされました。したがって、株式交付費用は、支出時の費用か又は繰延資産として処理することとなります。

募集株式の発行等における資本金等増加限度額=払込金額-株式交付費用の額(会社計算規則37条)

倉垣税理士事務所の公式WEB http://kuragaki.jp

100%子会社を現物出資で設立

2007-10-30 08:16:16 | 新会社法
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、100%子会社を現物出資で設立する場合の、会計処理を取り上げてみました。

例えば、A社が、資産(簿価7,000千円、時価15,000千円)、負債(簿価8,000千円、時価8,000千円)を現物出資して子会社Bを設立すると、各社の仕訳は次のようになります。
A社
借方 貸方
科目 金額 科目 金額
負債 8,000千円 資産 7,000千円
組織再編行為により生ずる株式の特別勘定 1,000千円

B社
借方 貸方
科目 金額 科目 金額
資産 7,000千円 負債 8,000千円
その他利益剰余金 1,000千円

A社とB社は、共通支配下関係(会社計算規則2条3項31号)にあるため、この出資取引は適正な簿価で処理することとなります(事業分離等に関する会計基準10(2)、企業結合基準三4(1))。
B社は、設立時からいきなりマイナスの利益剰余金を持ってスタートということになります(会社計算規則74条)。
A社は子会社株式の評価額がマイナス1,000千円となりますが、これは負債に計上することとなります。(会社計算規則35条)

倉垣税理士事務所の公式WEB http://kuragaki.jp

少額交際費の別表15への記載

2007-10-29 08:12:47 | 法人税
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、少額交際費の別表への記載方法を取り上げてみました。
少額交際費は、一人一回当たり5000円以下の飲食の費用で、一定の書類の保存要件を満たしているものです。
この少額交際費は、交際費等に該当しますが、所得計算上、損金不算入の交際費等から除外されます。

もし、交際費の中にこの少額交際費が含まれているときは、損益計算書上の交際費の額と税務計算上の損金不算入の計算の基礎になる交際費の額との間に、少額交際費の額相当額の差が生じます。

そこで、別表15(交際費等の損金算入に関する明細書)は次のように記載するのがよいのでしょう。

[支出額(5)]には、損益計算書上の交際費の額(少額交際費を含む)
[交際費等の額から控除される費用の額(6)]には、少額交際費の額を記入
[差引交際費等の額(7)]には、税務上の損金不算入の計算基礎となる交際費の額を記入


倉垣税理士事務所の公式WEB http://kuragaki.jp

取締役・監査役の選任権付種類株式

2007-10-26 08:15:55 | 新会社法
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、9つの種類株式の最後の種類、取締役・監査役の選任権付種類株式についてです。

取締役と監査役の選任は本来は、全体の株主総会で選任されますが、特定の種類の株式を有する株主にその選任権を与えることができます。

1.取締役・監査役の選任権付種類株式の発行
株式会社は、その種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役又は監査役を選任することを内容とする株式を発行することができます。(会社法108条1項9号)

2.定款で定める事項
株式会社は、次に掲げる事項及び発行可能種類株式総数を定款で定めなければならない。
イ、その種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役又は監査役を選任すること及び選任する取締役又は監査役の数
ロ、イの定めにより選任することができる取締役又は監査役の全部または一部を他の種類株主と共同して選任することができることとするときは、その他の種類株主の有する株式の種類及び共同して選任する取締役又は監査役の数
ハ、イ又はロに掲げる事項を変更する条件があるときは、その条件及びその条件が成就した場合における変更後のイ又はロに掲げる条件
ニ、そのほか法務省令で定める事項

3.取締役・監査役の解任
1の種類株式を発行している場合には、取締役・監査役の選任だけでなく解任についても種類株主総会の決議で行います。(会社法347条)

倉垣税理士事務所の公式WEB http://kuragaki.jp

黄金株(拒否権付株式)

2007-10-25 08:19:39 | 新会社法
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は種類株式の黄金株(拒否権付株式)を取り上げてみました。

1.拒否権付種類株式の発行
株式会社は、株主総会(取締役会設置会社にあっては株主総会又は取締役会)において、決議すべき事項のうち、その決議のほか、その種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議があることを必要とする内容の株式を発行することができます。(会社法108条1項8号)

2.定款で定める事項
株式会社は、次の事項及び発行可能種類株式総数を定款で定めなければならない。
イ、その種類株主総会の決議があることを必要とする事項
ロ、その種類株主総会の決議を必要とする条件を定めるときは、その条件(会社法108条2項8号)

3.種類株主総会
特別決議は要求されていません。

合併など会社の重要事項の決議をある種類の株式を所有する株主の判断に任せる場合などに利用されるのでしょうか。

倉垣税理士事務所の公式WEB http://kuragaki.jp

種類株式(全部取得条項付株式)

2007-10-24 08:21:23 | 新会社法
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は引き続き種類株式で、全部取得条項付株式について取り上げました。これで、名前の似た3種類の種類株式が登場したことになります。
取得請求権付株式、取得条項付株式及び全部取得条項付株式の3種類です。
取得請求権付株式は、株主の側から会社に買い取りの請求をするのに対し、取得条項付株式は一定の事実の発生により会社が株主から株式の買取を行い、今回の全部取得条項付株式は、株主総会の決議により株式の買取を行うものです。

1.全部取得条項付株式の発行
株式会社は、その種類の株式について、その株式会社が株主総会の決議によってその全部を取得することができる株式を発行することができます。(会社法108条1項7号)

2.定款で定める事項
株式会社は、次に掲げる事項及び発行可能種類株式総数を定款で定めなければならない。

イ、取得対価の額の決定方法
(イ)その取得対価がその株式会社の株式であるときは、その株式の種類及び種類ごとの数又はその数の算定方法
(ロ)その取得対価がその株式会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く)であるときは、その社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法
(ハ)その取得対価がその株式会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く)であるときは、その新株予約権の内容及び数又はその算定方法
(ニ)その取得対価がその株式会社の新株予約権付社債であるときは、その新株予約権付社債についてのロに規定する事項及びその新株予約権付社債に付された新株予約権についてのハに規定する事項
(ホ)その取得対価の額がその株式会社の株式等以外の財産であるときは、その財産の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法

ロ、その株主総会の決議をすることができるか否かについての条件を定めるときは、その条件(会社法108条2項7号、171条1項)

3.株主総会
全部取得条項付株式の取得の決議は株主総会の特別決議によります。(会社法309条2項3号)

倉垣税理士事務所の公式WEB http://kuragaki.jp

種類株式(取得条項付株式)

2007-10-23 08:15:39 | 新会社法
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は種類株式の取得条項付株式について取り上げてみました。もう何回か、他の種類株式についてフブログ゛の投稿が終わりましたが、本当に新会社法では様々な種類の株式の発行が認められていると思いますね。

取得条項付株式とは、株式会社が一定の事由が発生したことを条件に、株主の同意なしにその株式を買い取ることができる株式のことです。(会社法2条)

1.取得条項付株式の発行
株式会社は、その種類の株式について、その株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができる旨を定めた株式を発行することができる。(会社法108条1項6号)

2.定款で定める事項
株式会社は、次に掲げる事項及び発行可能種類株式総数を定款で定めなければならない。
イ、一定の事由が生じた日にその株式会社がその株式を取得する旨及びその事由
ロ、その株式会社が別に定める日が到来することをもってイの事由とするときは、その旨。
ハ、イの事由が生じた日にイの株式の一部を取得することとするときは、その旨及び取得する株式の一部の決定の方法
ニ、イの株式1株を取得するのと引換えにその株主に対してその株式会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く)を交付するときは、その社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法
ホ、イの株式1株を取得するのと引換えにその株主し対してその株式会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)を交付するときは、その新株予約権の内容及び数又はその算定方法
ヘ、イの株式1株を取得するのと引換にその株主に対してその株式会社の新株予約権付社債を交付するときは、その新株予約権付社債についてのニに規定する事項及びその新株予約権付社債に付された新株予約権についてのホに規定する事項
ト、イの株式1株を取得するのと引換にその株主に対してその株式会社の他の株式を交付するときは、その他の株式の種類及び種類ごとの数又はその算定方法
チ、イの株式1株を取得するのと引換にその株主に対してその株式会社の株式等以外の財産を交付するときは、その財産の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法

倉垣税理士事務所の公式WEB http://kuragaki.jp

種類株式(取得請求権付株式)

2007-10-22 08:10:48 | 新会社法
おはようございます。 税理士の倉垣です。

今日は、種類株式の取得請求権付株式を取り上げてみました。

1.取得請求権付株式の発行

株式会社は、その種類の株式について、株主がその株式会社に対してその取得を請求することができる株式を発行することができます。(会社法108条1項5号)

2.定款で定める事項

取得請求権付株式を発行する場合には、次に掲げる事項及び発行株式総数を定款で定めなければならない。

イ、株主がその株式会社に対してその株主の有する株式を取得することを請求することができる旨

ロ、イの株式1株を取得するのと引換にその株主に対してその株式会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く)を交付するときは、その社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法

ハ、イの株式1株を取得するのと引換にその株主に対してその株式会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く)を交付するときは、その新株予約権の内容及び数又はその算定方法

ニ、イの株式1株を取得するのと引換にその株主に対してその株式会社の新株予約権付社債を交付するときは、その新株予約権付社債についてロに規定する事項及びその新株予約権付社債に付された新株予約権についてのハに規定する事項

ホ、イの株式1株を取得するのと引換にその株主に対してその株式会社の他の株式を交付するときは、その他の株式の種類及び種類ごとの数又はその算定方法

ヘ、イの株式1株を取得するのと引換にその株主に対してその株式会社の株式等(株式、社債及び新株予約権をいう。以下同じ)以外の財産を交付するときは、その財産の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法

ト、株主がその株式会社に対してその株式を取得することを請求することができる期間
(会社法108条2項5号、107条2項2号)

上記のように、取得対価は現金、他の株式、社債など多様化されました。

倉垣税理士事務所の公式WEB http://kuragaki.jp

種類株式(議決権制限株式)

2007-10-19 08:16:44 | 新会社法
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、種類株式の議決権制限株式をを取り上げてみました。

1.議決権制限株式の発行
株式会社は、株主総会において議決権を行使することができる事項につき、異なる定めをした内容の異なる種類の株式を発行することができます。(会社法108条1項4号)
すべての事項について議決権のない無議決権株式や、特定の事項につき議決権のない議決権制限株式などです。
この議決権の特別な内容は、単独の種類株式の内容として、つまり優先配当請求権があることを条件に無議決権を認めるというような制限は一切ついていません。

2.議決権制限株式の発行数
種類株式発行会社が公開会社である場合において、議決権制限株式の数が発行済株式の総数の2分の1を超えるに至ったときは、直ちに、議決権制限株式の数を発行済株式総数の総数の2分の1以下にするための必要な措置を取らなければなりません。(会社法115条)
これは、公開会社のみに対する措置です。

[公開会社]:その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡によるその株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社(会社法2条5号)

倉垣税理士事務所の公式WEB http://kuragaki.jp

種類株式(剰余金の配当と残余財産の分配)

2007-10-18 08:21:55 | 新会社法
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、種類株式で剰余金の配当や残余財産の分配について異なる定めをする場合を取り上げてみました。

1.種類株式の発行
 株式会社は、剰余金の配当や残余財産の分配について異なる定めをした内容の異なる株式を発行することができます。(会社法108条1項)

2.完全無配当株式
 剰余金の配当請求権や残余財産の分配請求権のない株式の発行も認められます。
しかし、剰余金と残余財産の分配請求権の両方ともない株式は認められません。(会社法105条2項)

3.種類株式の例

剰余金の配当に関する種類株式
配当優先株、劣後株など。
配当優先株については、参加・非参加型と累積的・非累積的の種別があります。
参加型とは、優先配当を受けた後、なお残余があれば普通株主とともに配当を受ける権利を有するものをいい、累積的とは、優先配当を受けられなかった場合に時期以降にそれを繰り越せるものをいいます。

残余財産分配に関する種類株式
残余財産分配優先株、劣後株など

倉垣税理士事務所の公式WEB http://kuragaki.jp