税理士 倉垣豊明 ブログ

東京武蔵野市(三鷹)の税理士 相続税、贈与税等資産税対策、法人・個人向け税務・会計・会社法のブログ

権利救済制度(租税)

2011-06-30 06:25:00 | 税金一般
おはようございます。税理士の倉垣です。

権利救済制度(租税)

税務署長等の更正処分などに対して、不服がある場合には、どのような救済制度があるのだろうか。

1、行政不服審査制度
行政機関の処分に対する不服申立ては、その処分をした行政機関に対するものと、司法機関に対するものとがある。
行政機関に対するものには、その処分庁に対する異議申立てと、その上級庁に対する審査請求がある。
行政不服審査法によると、審査請求が基本的なもものとして考えられている。

2、租税の権利救済制度
租税に関しては、税務署等に対するものとして、行政不服審査法と同様、異議申立てと審査請求が設けらてているが、基本的なものは異議申立てである。
また、裁判所への訴えは、原則として、税務署等への不服申て後でなければできないこととされている。

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更正の期間制限(法人税)

2011-06-29 06:37:39 | 法人税
おはようございます。税理士の倉垣です。

更正の期間制限(法人税)

更正については、次のような期間制限が設けられています。

1、5年
法人税に係る更正は、原則として、その更正に係る法人税の法定申告期限から5年を経過した日以後においては、することができない(国税通則法70条1項)。

2、7年
(1)更正で次に掲げるものは、法定申告期限から7年間行うことができる(国税通則法70条2項)。
イ、純損失等の金額でその課税期間において生じたもの若しくは還付金の額を増加させる更正又はこれらの金額があるものとする更正
ロ、純損失等の金額でその課税期間において生じたものを減少させる更正

(2)偽りその他不正の行為によりその全部若しくは一部の税額を逃れ、若しくはその全部若しくは一部の税額の還付を受けた国税についての更正又は偽りその他不正の行為によりその課税期間において生じた純損失等の金額が過大にあるものとする納税申告書を提出していた場合におけるその申告書に記載されたその純損失等の金額についての更正は、法定申告期限から7年間行うことができる(国税通則法70条5項)。

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更正

2011-06-28 06:32:50 | 税金一般
おはようございます。税理士の倉垣です。

更正

法人税の租税債務は事業年度の終了により成立し、確定申告書の提出により確定することとなります。
しかし、一旦確定した租税債務も税務署の調査により更正されることもあります。

1、更正
(1)税務署長は、納税申告書の提出があった場合において、その納税申告書に記載された課税標準等又は税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったとき、その他その課税標準等又は税額等がその調査したところと異なるときは、その調査により、その申告書に係る課税標準等又は税額等を更正する(国税通則法24条)。
(2)再更正
税務署長は、更正又は決定をした後、その更正又は決定をした課税標準等又は税額等が過大又は過少であることを知ったときは、その調査により、その更正又は決定に係る税額等を更正する(国税通則法26条)。
(3)青色申告等に係る更正
青色申告者に係る更正は、帳簿書類の調査に基づく必要があり、また、更正通知書に更正の理由を付記しなければならない(法人税法130条)。

2、手続
(1)更正通知書の送達
更正は税務署長が更正通知書を送達して行うこととされている(国税通則法28条1項)。
(2)更正通知書の記載事項
更正通知書の記載事項つ次のとおりである(国税通則法28条2項)。
イ、更正前の課税標準等及び税額等
ロ、更正後の課税標準等及び税額等
ハ、更正に係る増加(減少)税額

3、更正の効力(国税通則法29条)
(1)税額を増加させる更正
既に確定した納付すべき税額を増加させるものは、既に確定した納付すべき税額に係る部分の国税についての納付義務に影響を及ぼさない。
(2)税額を減少させる更正
既に確定した納付すべき税額を減少させる更正は、その更正により減少した税額に係る部分以外の国税についての納税義務に影響を及ぼさない。

税務署長の更正に納得がいかなければ、不服申立てをすることとなります。

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少額減価償却資産の損金算入制度の変遷

2011-06-27 06:35:34 | 法人税
おはようございます。税理士の倉垣です。

少額減価償却資産の損金算入制度の変遷

少額減価償却資産の一時損金算入制度について、その質的内容の変遷について概観してみました。

1、内容の変遷
(1)昭和22年
少額減価償却資産の一時損金算入制度導入(無条件)
(2)昭和26年
適用対象資産から、事業の開始又は拡張のための取得資産が除外された。
(3)昭和36年
適用対象資産から、?少額重要資産と?少額多量資産も除外された。
(4)昭和42年
適用対象資産からの除外は、少額重要資産のみとなった。
(5)昭和49年
少額重要資産の制度は廃止された。
※1、少額重要資産とは、業務の性質上基本的に重要なもの(貸衣装屋の貸衣装やパチンコ店のパチンコ機等)
※2、少額多量資産とは、業務の固有の要請に基づき多量に保有されるもの(運送業者のロープ、シート、旅館の浴衣、スリッパ等)

2、税務実務において
少額減価償却資産については、税務執行においてトラブルが多かったものと推測されます。そのため、税務処理の簡素化の面からも少額減価償却資産の適用対象資産につけられていた制限が上記1のように削除されてきたものと思われます。
少額減価償却資産における税務行政において、この法改正の趣旨を尊重して適用対象資産を過度に制限することなく行っていただきたいと思います。

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同音異義について

2011-06-26 08:50:18 | OFF
おはようございます。税理士の倉垣です。

同音異義について

私はハングル語をひとりで勉強していますが、同音異義語がたくさんあって、単語を覚えるのに苦労しています。
例として、次のようなものがあります。(ハングル文字を表示できないので、カタカナで書きます。)
1、雪、目 ヌン
2、腹、船 ペ
3、車、茶 チャ
4、通り、距離 コリ
これらは、音も文字も同じなので、単語からは意味を決定できません。文脈の中で推測するしかありません。

日本語にも、同音異義の言葉はあります。
1、かみ 神、紙、守、紙、髪など
2、いし 医師、意志、石、意思など
しかし、音は同じでも、綴りが異なるので、書かれたものをみると意味は確定します。

英語は、これらの心配はないようですね。
単語は綴りと発音で意味が特定できそうです。
例えば、次のように綴りが全く同じでも、アクセントの位置によって異なるものを表そうとしています。

desert
アクセント 前 砂漠(名詞)、後 見捨てる(動詞)
present
アクセント 前 出席している(形容詞)、後 贈る(動詞)

欧米の人が日本語を勉強するときに苦労するのは、尊敬語だけでなく、同音異義語の数の多さにあるのではないでしょうか。

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転用資産の償却費の計算

2011-06-25 16:54:06 | 法人税
おはようございます。税理士の倉垣です。

転用資産の償却費の計算

法人が事業年度の中途で、その減価償却資産の用途を変更した場合の償却限度額の計算を確認しました。

1、原則(定率法)
償却限度額=転用前の償却限度額+転用後の償却限度額
転用前の償却限度額=期首簿価×旧償却率×(転用日までの月数/12)
転用後の償却限度額=期首簿価×新償却率×(転用後の月数/12)

2、簡便法
法人が転用した資産の全部について転用した事業年度開始の日から転用後の耐用年数により償却限度額の計算をすることも認められる(法人税法基本通達7-4-2)。

3、設例
3月決算法人が2月1日に器具備品の用途を変更したことにより、耐用年数が15年(償却率:0.167)から8年(償却率:0.313)となった。なお、この資産の期首簿価は3,000千円であり、償却方法は定率法を採用している。

(1)原則的な計算
転用前の償却限度額=3,000千円×0.167×10/12=417,500円
転用後の償却限度額=3,000千円×0.313×2/12=156,500円
償却限度額=417,500円+156,500円=574,000円

(2)簡便計算
償却限度額=3,000千円×0.313×12/12=939千円

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監査役の報酬の決定

2011-06-24 06:52:22 | 新会社法
おはようございます。税理士の倉垣です。

監査役の報酬の決定

監査役の報酬の決定方法について会社法の取扱いを確認しておきます。

1、監査役の報酬
監査役の報酬は、定款でその額を定めるか、株主総会の決議によって定める(会社法387条1項)。
取締役の関与は排除されています。監査役の独立性を確保するためです。

2、監査役が複数の場合
監査役が複数ある場合で、各監査役の報酬等について定款の定め又は株主総会の決議がないときは、その報酬等については、上記1の報酬等の範囲内において、監査役の協議によって定めることとなっている(会社法387条2項)。
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事前確定届出給与(株主総会等の決議)

2011-06-23 06:29:54 | 法人税
おはようございます。税理士の倉垣です。

事前確定届出給与(株主総会等の決議)

役員賞与で、事前確定届出給与の要件を満たしたものは、損金に算入されることとなっています。その損金算入の要件を確認します。

1、事前確定届出給与の損金算入
その役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与(定期同額給与を除く)は損金の額に算入される。

2、税務署長への届出
上記1の取扱いを受ける給与に関しては、納税地の所轄税務署長にその定めの内容に関する届出を提出していなければならない。
その届け出書の提出期限は原則として株主総会等から1月以内です。

3、届出書の記載事項
上記2の届出書には、次に掲げる事項などを記載しなければなりません。
(1)事前確定届出給与対象者の氏名及び住所
(2)事前確定届出給与の支給時期及び各支給時期における支給金額
(3)その決議をした日及びその決議をした機関等

この取扱いは、事前確定給与を支給する旨の定めがあることが前提になりますので、株主総会等の議決が必要となります。そして、税務署へ届出書を期限までに提出しなければなりません。

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遺留分の算定

2011-06-22 06:50:55 | 相続税・贈与税
おはようございます。税理士の倉垣です。

遺留分の算定

1、遺留分の算定(民法1029条)
遺留分の基礎価額=相続開始時の財産額+贈与財産額-債務合計

2、設例
被相続人甲の死亡による相続財産等と相続人は次の通り。遺留分はいくらか
相続財産:200,000千円、贈与財産:30,000千円、債務合計:50,000千円
相続人:妻A、子B、子C

遺留分基礎価額=200,000千円+30,000千円-50,000千円=180,000千円
遺留分
配偶者 180,000千円×1/2×1/2=45,000千円
子B、C 180,000千円×1/2×1/2×1/2=22,500千円
 
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遺留分(遺留分権利者と割合)

2011-06-21 06:34:38 | 相続税・贈与税
おはようございます。税理士の倉垣です。

遺留分(遺留分権利者と割合)

兄弟姉妹以外の相続人は遺留分として、次の区分に応じそれぞれの割合に相当する額を受ける(民法1028条)。

1、直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の3分の1

2、上記1以外の場合 被相続人の財産の2分の1
具体的には、相続人が子と配偶者、配偶者のみ、子のみなどの場合がこれに該当します。

※遺留分権利者が複数の場合には、遺留分は法定相続分の割合で配分されます。

民法の相続分の割合の定めは、相続財産の分割基準になりますが、遺留分の規定は、遺言書がある場合の近接相続人の最低限の取得基準のような役割を果たします。

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