税理士 倉垣豊明 ブログ

東京武蔵野市(三鷹)の税理士 相続税、贈与税等資産税対策、法人・個人向け税務・会計・会社法のブログ

特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度(業務主宰役員の意義)

2007-04-27 08:21:00 | 法人税
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度(業務主宰役員の意義)について新しい通達が出ましたのでご紹介しておきます。

特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度をもう一度簡単にまとめると次のようになります。

特殊支配同族会社(①業務主宰役員とその特殊関係者が90%以上の株を所有し、かつ、②それらの者が常務従事役員の過半数を占める会社)の適用事業年度(過去3年以内に開始した事業年度の平均所得金額(業務主宰役員給与を控除する前の金額)が800万円超の事業年度)の業務主宰役員に支払った役員給与のうち、その給与所得控除額部分が損金不算入とされています。

この給与が損金不算入とされる業務主宰役員の意義について次のように通達が新設されました。

業務主宰役員の意義(法人税法基本通達9-2-53)
「法人の業務を主宰している役員」とは、会社の経営に最も中心的に関わっている役員1人をいう。この場合、最も中心的に関わっているかは、事業計画の策定、多額の融資契約の実行、人事権の行使等に際しての意思決定の状況や役員給与の多寡等を総合的に勘案して判定する。

この通達で、業務主宰役員の人数は1人であることと、それを特定する基準が重要事項の意思決定の状況や給与の多寡などにより総合的に判定することが明らかになりました。

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同族会社2(留保金課税)

2007-04-26 08:36:26 | 法人税
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、法人税法の同族会社の留保金課税について平成18年改正法の内容についてまとめてみました。
平成19年度の税制改正で資本金1億円以下の中小企業がこの留保金課税の適用から外れました。

平成18年改正法の留保金課税は次のようになっています。
特定同族会社が留保控除額を超えて、所得を留保した場合には、その超過額に対して次のように通常の税額のほかに、特別な率により計算した法人税額が加算されます。
(1) 年3000万円以下の金額 10%
(2) 年3000万円超年1億円以下の金額 15%
(3) 年1億円超の金額 20%

留保控除額は次のうち最も多い金額(期末資本金が1億円超の法人は(1)から(3)までのうち最も多い金額)
(1) 所得金額の40%(資本金1億円以下の特定同族会社は50%)
(2) 年2000万円
(3) 期末資本の25%-期末利益積立金額
(4) 前期末総資産の30%-前期末自己資本

留保金課税の適用を受ける特定同族会社とは、1株主グループにより①50%超の持株割合若しくは②50%超の一定の議決権を有している場合又は1株主グループにより③持分会社(合名・合資・合同会社)の社員総数の半数を超える数を占めている場合のその会社をいいます。

以前の別表2上の「同族会社」と「非同族の同族会社」という概念は、それぞれ「特定同族会社」と「同族会社」に変わっていますので申告書作成時には戸惑わないでください。

同族会社の留保権課税は平成18年に改正したばかりなのに、平成19年に再改正し今度は資本金1億円以下の中小企業はこの適用から除外されます。なんと忙しいことでしょうか。
たった1年だけの短い期間でしたが、名残を惜しんで平成18年度の留保金課税の計算をしましょうか。

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同族会社1(同族会社の定義が変わった)

2007-04-25 08:16:34 | 法人税
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、法人税法の同族会社の定義が平成18年改正法で変わりましたが、その内容をもう一度確認します。

従来は、株主グループの上位3人以下にその会社の50%超の株式等を所有されている会社が同族会社とされていました。

平成18年改正法で同族会社は、従前の①持株判定に加え②議決権判定と③社員数判定が加わり、これら3つのいずれかの基準が50%超になれば同族会社に該当するようになりました。
続いて新しい判定基準を簡単にご説明します。

1. 議決権判定
株主グループの上位3人以下で、次の議決権のいずれかにつき、その総数の50%超の議決権を有すること
(1) 事業の全部若しくは重要な部分の譲渡、解散、継続、合併、分割、株式交換、株式移転又は現物出資に関する決議に係る議決権
(2) 役員の選任及び解任に関する決議に関する議決権
(3) 役員の報酬、賞与その他職務の執行の対価として会社が供与する財産上の利益に関する事項についての決議に係る議決権
(4) 剰余金の配当又は利益の配当に関する決議に係る議決権

2. 社員数判定
持分会社(合名会社、合資会社、合同会社)の場合には、社員グループの上位3人以下で総社員の頭数の50%超になるかどうかで判定します。

新会社法により、議決権制限株式の発行の制限がなくなったことや、合同会社などの新しい法人形態が認められたことなどから同族会社を定義し直したものと思われます。

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事前確定届出給与の届出等

2007-04-24 09:28:53 | 法人税
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、法人税法における事前確定届出給与の届出手続きと支給額がその届出額と異なった場合の取扱いについてまとめてみました。

皆様ご存知のように平成18年度税制改正により、役員給与は①定期同額給与や②事前確定届出給与などを除き損金不算入となりました。

役員賞与などでも「事前確定届出給与」の要件を満たしている場合には損金に算入されます。

「事前確定届出給与」の要件とは、「所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与」をあらかじめ所轄税務署長へ給与の支給時期と支給金額等を届け出ることです。

この届出は、その給与に係る職務の執行を開始する日とその事業年度開始日から3月を経過する日とのいずれか早い日までにしなければなりません。
この場合の職務の執行を開始する日とは、その役員がいつから就任するかなど個々の事情によりますが、例えば、定時株主総会において役員に選任されその日に就任した者及び定時株主総会の開催日に現に役員である者にあっては、その定時株主総会の開催日となります。

「事前確定届出給与」の届出と実際の支給額が異なるときはその支給額の全額が損金不算入となります。

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非常勤役員の年俸・期間俸

2007-04-23 08:12:26 | 法人税
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、法人税法における非常勤役員の年俸・期間俸の取扱いについてまとめてみました。

平成18年度税制改正により、役員給与は①定期同額給与や②事前確定届出給与などを除き損金不算入となりました。

したがって、非常勤役員に支給する年俸・期間俸で年1回又は所定の時期に支給するものは、月以下の期間を単位として規則的に反復継続して支給されるものではないので、定期同額給与に該当せず、原則として全額損金不算入です。
たとえ、その年俸・期間俸の計算が各月ごとの一定額に基づいて計算されていてもだめです。

ただし、この年俸・期間俸が「事前確定届出給与」の要件を満たしている場合には損金に算入されます。
「事前確定届出給与」の要件とは、「所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与」をあらかじめ所轄税務署長へ給与の支給時期と支給金額等を届け出ることです。

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住宅と消費税

2007-04-20 08:18:47 | 消費税
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、住宅に関する消費税についてまとめてみました。

住宅(人の居住のように供する家屋又は家屋のうち人の居住の用に供する部分)の貸付け(その貸付けに係る契約において人の居住の用に供することが明らかにされているものに限り、貸付期間が1ヶ月に満たない場合及び旅館業に係る施設の貸付けに該当する場合を除きます。)は消費税が非課税とされています。

1. 住宅の貸付けの範囲
「住宅の貸付け」には、庭、塀その他これら類するもので、通常、住宅に付随して貸付けられると認められるもの及び家具、じゅうたん、照明設備、冷暖房設備その他これらに類するもので住宅の附属設備として、住宅と一体となって貸し付けられると認められるものも含まれます。
なお、住宅の附属設備又は通常住宅に付随する施設等と認められるものであっても、当事者間において別の賃貸借の目的物として、住宅の貸付けの対価とは別に使用料等を収受している場合には、その設備又は施設の使用料等は非課税とはなりません。

2. プール、アスレチック施設等付き住宅の貸付け
プール、アスレチック施設等を備えた住宅の貸付けにおいて、例えば、その施設等を居住者以外の者も利用でき、かつ、その居住者以外の者が利用する場合に利用料(月決め又は年決めの会費を含む。)を徴収している場合には、居住者について家賃の一部としてその利用料に相当する額が収受されていても、その施設等の貸付けは住宅の貸付けには含まれないので、消費税の課税対象になります。

3. 駐車場付き住宅の貸付け
駐車場付住宅としてその全体が住宅の貸付けとされる駐車場には、一戸建て住宅に係る駐車場のほか、集合住宅に係る駐車場で入居者について一戸当たり一台分以上の駐車スペースが確保されており、かつ、自動車の保有の有無にかかわらず割り当てられる場合等で、住宅の貸付けの対価とは別に駐車場使用料等を収受していないものが該当します。

4. 旅館業に該当するものの範囲
住宅の貸付から除外される旅館業には、ホテル業、旅館営業、簡易宿泊所営業及び下宿営業が該当します。
したがって、ホテル、旅館のほかリゾートマンション、貸し別荘等は、たとえこれらの施設の利用期間が1月以上となる場合であっても非課税とはなりません。
なお、貸家業及び貸間業は、旅館業には該当しません。

5. 店舗等併用住宅の取扱い
住宅と店舗又は事務書等の事業施設が併設されている建物を一括して貸付ける場合には、住宅として貸付けた部分のみが非課税となります。

6. 住宅の貸付けと役務の提供が混合した契約の取扱い
一の契約で非課税となる住宅の貸付と課税となる役務の提供を約している場合には、この契約に係る対価の額を住宅の貸付に係る対価の額と役務の提供に係る対価の額に合理的に区分しなければならない。
この契約に該当するものの例として、有料老人ホーム、ケア付住宅、食事付の貸間、食事付の寄宿舎等があります。

7. 転貸する場合の取扱い
住宅用の建物を賃貸する場合において、賃借人が自ら使用しない場合であっても、その賃貸借に係る契約において、賃借人が住宅として転貸することが契約書その他において明らかな場合には、その住宅用の建物の貸付けは、住宅の貸付けに含まれます。

8. 用途変更の場合の取扱い
貸付けに係る契約において住宅として貸付けられた建物について、契約当事者間で住宅以外の用途に変更することについて契約変更した場合には、契約変更後のその建物の貸付けは、課税資産の譲渡等に該当します。

9. 家賃の範囲
家賃には、月決め等の家賃のほか、敷金、保証金、一時金等のうち返還しない部分及び共同住宅における共用部分に係る費用を入居者が応分に負担する共益費も含まれます。

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税務署の処分に納得がいかない場合

2007-04-19 08:14:00 | 税金一般
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、納税者の権利利益を守るための制度についてまとめてみました。

行政争訟については行政救済(不服審査)として行政不服審査法が、司法救済(訴訟)として行政事件訴訟法がありますが、国税に関しては特別法として国税通側法があります。
それによると、一般的な不服審査は、最初に原処分庁(一般的に税務署長)に対する異議申立て、次に国税不服審判所長に審査請求をし、それでも納得がいかなければ司法救済(訴訟)で裁判所に判断をゆだねるという流れになります。

1. 異議申立て
税務署長のした国税に関する処分に不服がある者は、その処分をした税務署長に対して異議申し立てをすることができます。
異議申立ては、処分があったことを知った日(処分に係る通知を受けた場合には、その受けた日)の翌日から起算して2月以内に、異議申立書を提出して行わなければならない。

2. 審査請求
上記1の異議申立てについての決定があった場合において、その異議申立てをした者がその決定を経た後の処分になお不服があるときは、その者は、国税不服審判所長に対して審査請求をすることができます。
審査請求は、異議決定書の謄本の送達のあった日の翌日から起算して1月以内に、審査請求書を提出して行わなければならない。

3. 訴訟
審査請求に対する採決に不服がある場合又は審査請求がされた日の翌日から起算して3月を経過しても裁決がない場合には、訴えをもって裁判所にその救済を求めることができます。

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同業者団体の会費等の取扱い

2007-04-18 08:27:53 | 法人税
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、同業者団体の会費等についてまとめてみました。

1. 同業者団体等の加入金
(1) 構成員の地位を譲渡することができる加入金及び出資金の性質を有する加入金
その地位を他に譲渡し、又はその同業者団体を脱退するまで損金の額に算入されません。
(2) その他の加入金
繰延資産(その他自己が便益を受けるための費用)とされ、償却期間は5年です。

2. 同業者団体等の会費
(1) 通常会費
支出した事業年度の損金の額に算入されます。
ただし、その同業者団体等においてその受入れた通常会費につき不相当に多額の剰余金が生じていると認められる場合には、その剰余金が生じた時以後に支出する通常会費については、その剰余金の額が適正な額になるまでは、前払費用として損金の額に算入されません。
(2) その他の会費
同業者団体等が会館の建設などの目的のために支出する費用の分担額として支出する会費については、前払費用とし、その同業者団体等がこれらの支出をした日にその費途に応じてその法人が支出したものとされます。

3. 災害見舞金に充てるために同業者団体等へ拠出する分担金等
上記2にかかわらず、その支出事業年度の損金の額に算入されます。

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損害賠償金と消費税

2007-04-17 08:25:43 | 消費税
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、損害賠償金に対する消費税の取扱いについてまとめてみました。

1. 原則としての不課税
損害賠償金のうち、心身又は資産につき加えられた損害の発生に伴い受けるものは、資産の譲渡等に該当しないので、消費税の対象となりません。

2. 実質が資産の譲渡等に該当する場合
次に掲げる損害賠償金のように、その実質が資産の譲渡等の対価に該当すると認められるものは資産の譲渡等の対価に該当し、消費税の対象となります。

(1) 損害を受けた棚卸資産等が加害者(加害者に代わって損害賠償金を支払う者を含む。以下同じ。)に引き渡される場合で、その棚卸資産等がそのまま又は軽微な修理を加えることにより使用できるときにその加害者からその棚卸資産等を所有する者が収受する損害賠償金

(2) 無体財産権の侵害を受けた場合に加害者からその無体財産権の権利者が収受する損害賠償金


(3) 不動産等の明渡しの遅滞により加害者から賃貸人が収受する損害賠償金

このように消費税法上、損害賠償金はその内容を確認する必要がありますね。

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長期割賦販売等に係る損益

2007-04-16 08:17:16 | 法人税
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、法人税法における長期割賦販売等に係る損益についてまとめてみました。

法人税法における資産の販売などの損益の認識基準は販売基準が原則ですが、一定の要件に該当する長期割賦販売等に該当するものについては、損益の帰属事業年度の特例が認められています。

1. 長期割賦販売等に係る損益の帰属事業年度の特例
法人が、長期割賦販売等に該当する資産の販売若しくは譲渡、工事(製造を含み、長期大規模工事に該当するものを除く。)の請負又は役務の提供(以下「資産の販売等」という。)をした場合において、その資産の販売等に係る収益の額及び費用の額につき、その資産の販売等に係る目的物又は役務の引渡し又は提供の日の属する事業年度以後の各事業年度の確定した決算において下記3の延払基準の方法により経理したときは、その経理した収益の額及び費用の額は、その各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額及び損金の額に算入されます。

2. 長期割賦販売等の意義
長期割賦販売等とは、次に掲げる要件に適合する条件を定めた契約に基づきその条件により行われる資産の販売等です。

(1) 月賦、年賦その他の賦払の方法により3回以上に分割して対価の支払を受けること。

(2) その資産の販売等に係る目的物又は役務の引渡又は提供の期日の翌日から最後の賦払金の支払期日までの期間が3年以上であること。

(3) その契約において定められているその資産の販売等の目的物の引渡しの期日までに支払の期日の到来する賦払金の額の合計額がその資産の販売等の対価の額の3分の2以下となっていること。

3. 延払基準の方法
次の算式で計算した金額をその事業年度の収益の額及び費用の額とする方法。
(長期割賦販売等に係る対価の額又は原価の額)×(賦払金割合)=(その事業年度の益金の額及び損金の額)
(賦払金割合)=(その事業年度に支払期日の到来する賦払金合計額)÷(長期割賦販売等の対価の額)

4. その他
この延払基準の方法は毎期継続しなければならず、損失の出ている資産の譲渡等についても適用が認められます。

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