税理士 倉垣豊明 ブログ

東京武蔵野市(三鷹)の税理士 相続税、贈与税等資産税対策、法人・個人向け税務・会計・会社法のブログ

退職所得控除額

2010-12-31 15:07:20 | 所得税
おはようございます。税理士の倉垣です。

さあ、大晦日ですね。来年も頑張ります。

退職所得控除額

退職所得金額は、退職金の額から退職所得控除額を控除した残額の2分の1相当額です。

1、退職所得控除額
(1)勤続年数が20年以下である場合
40万円×勤続年数
(2)勤続年数が20年超である場合
800万円+70万円×(勤続年数-20年)
※勤続年数とは、退職所得の支払者の下においてその退職手当の起因となった退職の日まで引き続き勤務した期間をいう。1年未満の端数は1年とする。

2、退職金所得の計算例
退職金30,000千円、勤続期間30年6月

(1)退職所得控除額
8,000千円+700千円×(31年-20年)=15,700千円
(2)退職所得金額
(30,000千円-15,700千円)÷2=7,150千円

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会社の不動産と株式との交換

2010-12-30 13:17:16 | 所得税
おはようございます。税理士の倉垣です。

会社の不動産と株式との交換

[設例]
A社(非上場会社)の旧社長甲は、その会社との和解により、自己の保有するA社株式と、A社の土地建物を交換することに合意した。この場合に、甲はその株式の交換につきどのような課税関係が生じるか。
甲の保有するA社株式の時価は80,000千円(取得価額は2,000千円)、交換により取得する土地建物の時価は65,000千円であった。また、交換時の甲所有株式に対応するA社の資本等の金額は5,000千円とする。

[甲の課税関係]
甲は、自己の有価証券を譲渡して代りに土地建物を取得した。対価が現預金でなくて不動産であると言うだけで、法律的には売買であります。しかし、株式をその発行法人に売却し、その法人はその株式を自己株式として取得することになるので、その対価の額のうち資本等の額に対応する部分は譲渡所得、資本等の金額以外の金額に対応する部分は配当所得とされます。

譲渡所得の金額=資本等の金額5,000千円-取得価額2,000千円=3,000千円
配当所得の金額=対価の額65,000千円-資本等の金額5,000千円=60,000千円

株式等の譲渡益は分離課税である。
税額=3,000千円×20%=600千円
※所得税15%、地方税5%

配当所得の金額は、他の所得と合算され最高50%の税額が課される。

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会社分割による完全子会社の設立

2010-12-29 12:44:18 | 法人税
おはようございます。税理士の倉垣です。

会社分割による完全子会社の設立

完全親子会社関係を創る方法として、これまで株式移転や株式交換をご説明してきました。
その他に、会社分割を利用しても完全親子会社関係を構築することができます。

1、会社分割
会社分割とは、ある会社の事業の一部又は全部を分割しそれを他の会社に包括的に移転させる組織法上の行為と言われています。
事業の移転先の会社が既存の会社であるものを承継分割、新たに設立する会社であるものを新設分割といいます。
ある会社の事業を新設会社に全部移転し、その会社がその新設会社の100%親会社となるとここに完全親子会社の関係が出来上がります。
親会社は、従前の事業会社から、子会社の管理会社へと変貌します。

2、株式移転との比較
株式移転は、ある会社の株主が自己の株式と新設会社の株式との交換をすることにより、その新設会社が完全親会社となるものです。
このように株式移転は、株主間の株式の交換のみであるため、会社分割(新設分割)に比べ事業の移転がない分、手続きの手間がかからないように思います。
株式移転も新設分割も最終的には同じものを創り上げることができますが、従前の会社が完全子会社になるものが株式移転、逆に親会社になるものが新設分割ですが、株式移転の方が簡単なような気がします。また、いろいろな角度から両方法の比較をしていこうと思っています。

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証券優遇税制の2年延長

2010-12-28 06:41:43 | 所得税
おはようございます。税理士の倉垣です。

証券優遇税制の2年延長

上場株式等の譲渡による譲渡所得等に対しては10%(所得税7%、住民税3%)の優遇制度の適用期限が平成11年でしたが、これが2年間延長されて平成13年までとなりそうです。

証券税制に関しては、預金利息など他の金融資産との一体課税の方針の下、この優遇税制を廃止し原則的な20%(所得税15%、住民税5%)に戻すことを検討していたようですが、個人の株式投資に悪影響が出ることを恐れ延長を決めたようです。

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適格株式交換(各要件の具体的内容)

2010-12-27 06:52:56 | 法人税
おはようございます。税理士の倉垣です。

適格株式交換(各要件の具体的内容)

前回株式交換の税制適格要件を簡単に整理してみましたが、今回はその各要件の具体的内容をみてみます。

1、事業関連要件
株式交換に係る会社間の事業が相互に関連すること

2、事業規模又は経営参画要件
次のいずれかの要件
イ、事業規模(売上高、従業員数等)が5倍以内
ロ、完全子会社の特定役員(社長、専務取締役等)が残留すること

3、従業員引継要件
完全子会社の従業員の80%以上が継続雇用

4、事業継続要件
完全子会社の事業が引き続き継続されること

5、株式引継要件
次の2つの要件を満たすこと
(1)完全子法人の株主の80%が引き続き交換により取得した完全親会社の株式を保有すると見込まれること
(2)完全親会社が完全子会社の株式を引き続き保有すると見込まれること

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適格株式交換

2010-12-26 12:57:30 | 法人税
おはようございます。税理士の倉垣です。

適格株式交換

株式交換は、本来は子会社株主と完全親会社との間での株式を交換することなので、子会社株主の親会社株式を対価とする子会社株式の譲渡であります。
しかし、税制上、適格要件を満たすと、その譲渡益の繰り延べが認められます。
株式交換の税制適格要件を整理してみます。

税制適格要件は、金銭等の交付がない交換で次のように整理できます。
1、企業グループ内の交換
(1)100%支配関係(同一者による支配関係)
株式継続要件のみ
(2)50%超支配関係
イ、当事者間の支配関係
従業員引継要件、事業継続要件、株式継続要件
ロ、同一者による支配関係
従業員引継要件、事業継続要件、株式継続要件
同一の者は、個人でも法人でもよく、個人の場合は同族関係者を含む。

2、共同事業を行うための交換
事業関連要件、事業規模又は経営参画要件、従業員引継要件、事業継続要件、株式継続要件

各要件の具体的内容は後日整理して投稿します。

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株式移転による株式の評価額の減額

2010-12-25 14:38:35 | 相続税・贈与税
おはようございます。税理士の倉垣です。

株式移転による株式の評価額の減額

株式移転により間接所有形態にした場合の株式の評価額の変化を設例により検討してみます。

[設例]
S社(小会社)は、相続税表による純資産額は120,000千円、帳簿純資産額は50,000千円、資本金は10,000千円である。
S社の株主は甲1人で、このS社株式を直接保有している場合と、その後株式移転によりP社を設立した場合の株式評価額の比較

[評価額の計算]
1、直接保有(S社株式の評価)
S社株式評価額=120,000千円-(120,000千円-50,000千円)×42%=90,600千円

2、親会社による間接保有(P社株式の評価)
株式移転は税法上適格要件を満たしていて、甲はP社の株式のみを交換で取得する。
P社株式評価額=120,000千円-(120,000千円-10,000千円)×42%=73,800千円
3,両方式の比較
間接保有の方が、16,800千円(=(50,000千円-10,000千円)×42%)評価額が低くなる。

※P社はS社の株式を簿価純資産額の50,000千円で受入し、資本金増加額は10,000千円である場合の会計処理は次のようになる。
借方 S社株式 50,000千円 貸方 資本金  10,000千円
                      資本剰余金 40,000千円

なお、税務上の仕訳はつぎのようになり、差額は別表で調整されます。
借方S社株式 10,000千円 貸方 資本金等の価額10,000千円
 
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設例による新旧贈与税額の比較

2010-12-24 07:28:36 | 相続税・贈与税
おはようございます。税理士の倉垣です。

設例による新旧贈与税額の比較

設例により、贈与税の税率構造の改正による新旧税額の比較をしてみました。

1、年間10,000千円の贈与を親から子(20歳以上)に5年間行う場合
(1)現行
イ、贈与税額={(10,000千円-1,100千円)×40%-1,250千円}×5年=11,550千円
ロ、手取り額=10,000千円×5年-11,550千円=38,450千円
(2)改正案
イ、贈与税額={(10,000千円-1,100千円)×30%-900千円}×5年=8,850千円
ロ、手取り額=10,000千円×5年-8,850千円=41,150千円
(3)増加額
41,150千円-38,450千円=2,700千円

2、年間5,000千円の贈与を親から子(20歳以上)に5年間行う場合
(1)現行
イ、贈与税額={(5,000千円-1,100千円)×20%-250千円}×5年=2,650千円
ロ、手取り額=5,000千円×5年-2,650千円=22,350千円
(2)改正案
イ、贈与税額={(5,000千円-1,100千円)×15%-100千円}×5年=2,450千円
ロ、手取り額=5,000千円×5年-2,450千円=22,550千円
(3)増加額
22,550千円-22,350千円=200千円

当然ながら、贈与額が少なく、贈与期間が短いと新旧の贈与税額はそれほど差がない。
贈与金額や期間による新旧贈与税額の比較のみでなく、相続税との比較においてもシュミレーションをして財産の移転方法を検討すべきでしょう。

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贈与税の税率構造の改正

2010-12-23 13:06:29 | 相続税・贈与税
おはようございます。税理士の倉垣です。

贈与税の税率構造の改正

2011年税制改正のおいては、相続税のみでなく贈与税も税率構造の改正がおこなわれる予定です。

1、現行
(1)課税価格が2,000千円以下 
贈与税額=課税価格×10%
(2)課税価格が2,000千円超3,000千円以下 
贈与税額=課税価格×15%-100千円
(3)課税価格が3,000千円超4,000千円以下 
贈与税額=課税価格×20%-250千円
(4)課税価格が4,000千円超6,000千円以下 
贈与税額=課税価格×30%-650千円
(5)課税価格が6,000千円超10,000千円以下 
贈与税額=課税価格×40%-1,250千円
(6)課税価格が10,000千円超
贈与税額=課税価格×50%

2、改正案

(1)20歳以上の者が直系尊属から受けた贈与
イ、課税価格が2,000千円以下 
贈与税額=課税価格×10%
ロ、課税価格が2,000千円超4,000千円以下 
贈与税額=課税価格×15%-100千円
ハ、課税価格が4,000千円超6,000千円以下 
贈与税額=課税価格×20%-300千円
ニ、課税価格が6,000千円超10,000千円以下 
贈与税額=課税価格×30%-900千円
ホ、課税価格が10,000千円超15,000千円以下 
贈与税額=課税価格×40%-1,900千円
ヘ、課税価格が15,000千円超30,000千円以下 
贈与税額=課税価格×45%-2,650千円
ト、課税価格が30,000千円超45,000千円以下 
贈与税額=課税価格×50%-4,900千円
チ、課税価格が45,000千円超
贈与税額=課税価格×55%-7,150千円

(2)その他の贈与
(1)課税価格が2,000千円以下 
贈与税額=課税価格×10%
(2)課税価格が2,000千円超3,000千円以下 
贈与税額=課税価格×15%-100千円
(3)課税価格が3,000千円超4,000千円以下 
贈与税額=課税価格×20%-250千円
(4)課税価格が4,000千円超6,000千円以下 
贈与税額=課税価格×30%-650千円
(5)課税価格が6,000千円超10,000千円以下 
贈与税額=課税価格×40%-1,250千円
(6)課税価格が10,000千円超15,000千円以下 
贈与税額=課税価格×45%-1,750千円
(6)課税価格が15,000千円超30,000千円以下 
贈与税額=課税価格×50%-2,500千円
(5)課税価格が30,000千円超
贈与税額=課税価格×55%-4,000千円

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相続税の税率構造の改正

2010-12-22 06:38:55 | 相続税・贈与税
おはようございます。税理士の倉垣です。

相続税の税率構造の改正

2011年度税制改正で、相続税においては基礎控除額の減額とともに税率構造の改正が行われる予定です。

1、現行
(1)相続財産が10,000千円以下 
相続税額=相続財産×10%
(2)相続財産が10,000千円超30,000千円以下
相続税額=相続財産×15%-500千円
(3)相続財産が30,000千円超50,000千円以下
相続税額=相続財産×20%-2,000千円
(4)相続財産が50,000千円超100,000千円以下
相続税額=相続財産×30%-7,000千円
(5)相続財産が100,000千円超300,000千円以下
相続税額=相続財産×40%-17,000千円
(6)相続財産が300,000千円超 
相続税額=相続財産×50%-47,000千円

2、改正案
(1)相続財産が10,000千円以下 
相続税額=相続財産×10%
(2)相続財産が10,000千円超30,000千円以下
相続税額=相続財産×15%-500千円
(3)相続財産が30,000千円超50,000千円以下
相続税額=相続財産×20%-2,000千円
(4)相続財産が50,000千円超100,000千円以下
相続税額=相続財産×30%-7,000千円
(5)続財産が100,000千円超200,000千円以下
相続税額=相続財産×40%-17,000千円
(6相続財産が200,000円超300,000千円以下
相続税額=相続財産×45%-27,000千円
(7)続財産が300,000千円超600,000千円以下
相続税額=相続財産×50%-42,000千円
(8)続財産が600,000千円超
相続税額=相続財産×55%-72,000千円

3,設例
相続人は1人で、基礎控除控除後の課税価格が
(1)300,000千円の場合
イ、現行
相続税額=300,000千円×40%-17,000千円=103,000千円
ロ、改正案
相続税額=300,000千円×45%-27,000千円=108,000千円
ハ、増加額(ロ-イ)
108,000千円-103,000千円=5,000千円
(2)650,000千円の場合
イ、現行
相続税額=650,000千円×50%-47,000千円=278,000千円
ロ、改正案
相続税額=650,000千円×55%-72,000千円=285,500千円
ハ、増加額(ロ-イ)
285,500千円-278,000千円=7,500千円

この設例では、単純に課税財産額が同額の場合の新旧の税額を比較したが、実際には基礎控除額は4割減少するので実際の税負担額はもっと増えます。

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