税理士 倉垣豊明 ブログ

東京武蔵野市(三鷹)の税理士 相続税、贈与税等資産税対策、法人・個人向け税務・会計・会社法のブログ

損害保険金、補償金などを受取った場合

2007-02-28 08:26:37 | 所得税
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、個人事業者が受取った損害保険金、補償金などについてまとめてみました。

個人事業者が①その業務にかかる棚卸資産(商品など)につき、損失を受けたことにより取得する保険金、損害賠償金、見舞金などや②その業務の全部又は一部の休止、転換又は廃止などの事由によりその業務の収益の補償として取得する補償金などで、その業務の遂行により生ずる所得に係る収入金額に代わる性質を有するものは、収入金額とされます。

心身に加えられた損害のため事業に従事できなかった場合に、その期間の収益の補償として受ける慰謝料その他の損害賠償金は、非課税とされ、収入金額には含めません。

上記②の業務の全部又は一部の休止などによる収益補償金が一定の金額を超えると、一時的な税負担を和らげるため、臨時所得として、平均課税の適用を受けることができます。

臨時所得の平均課税については、近日中に投稿を予定しています。

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正規の簿記の原則

2007-02-27 08:17:29 | 会計
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、会計原則の一般原則の1つである「正規の簿記の原則」について書いてみました。

企業会計原則の一般原則に「企業会計は、すべての取引につき、正規の簿記の原則に従って、正確な会計帳簿を作成しなければならない。」と正規の簿記の原則を定めています。

正規の簿記の原則は、会計記録につき、①網羅性②秩序性③検証可能性を求めています。
つまり、すべての取引につき漏れなく、証憑等に基づき、秩序正しく帳簿に記録し、その記録に基づき、それを分類集計し、財務諸表の作成を要求します。
したがって、帳簿記録から財務諸表を作成する誘導法ではなく、実地棚卸の数字に基づいて財務諸表を作成する棚卸法は認められません。

正規の簿記の原則は、記帳の面から、真実性の原則を支えています。

正規の簿記の原則では、簿外資産や簿外負債は認められないはずです。
しかし、重要性の原則の適用を受けた、重要性の乏しいものについては、簿外の資産負債が認められます。(企業会計原則注解1)

「重要性の原則」については、後日、投稿を予定しています。

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剰余金の配当(純資産額300万円の制約)

2007-02-26 08:32:55 | 新会社法
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、剰余金の配当(純資産額300万円の制約)について書いてみました。

会社は、原則として、剰余金の範囲内で自由に剰余金の配当が行えるはずです。
しかし、会社法は債権者保護の観点から、純資産の額が300万円を下回る場合には剰余金の配当を認めてくれません。(会社法458条)

皆さんご存知のように、会社法で最低資本金制度が廃止されたため、資本金が1円でも会社が設立できるようになりました。しかし、少額な資本金の会社は、利益が計上されても純資産が300万円になるまでは、その利益は配当することができません。

〔説例1〕
資本金100千円、繰越利益剰余金1,500千円の会社の剰余金の配当
純財産額=100千円+1,500千円=1,600千円<3,000千円 ∴配当不可能

〔説例2〕
資本金2,000千円、繰越利益剰余金3,000千円の会社の剰余金の配当
分配可能額=3,000千円-(3,000千円-2,000千円)=2,000千円
配当時には、配当された剰余金額の10%を準備金に積み立てる必要があります。

このように、会社法は最低資本金制度を廃止しましたが、以前の最低資本金(有限会社の300万円)までの純財産額、これを剰余金の配当をする場合の最低限の基準として残したということでしょうか。

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個人事業者の損害賠償金等

2007-02-23 08:15:23 | 所得税
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、個人事業者が損害賠償金等を負担した場合の取り扱いについてまとめてみました。

事業を行う居住者が損害賠償金を負担した場合は、それが家事費や家事関連費に該当する場合や故意又は重大な過失がある場合には必要経費に算入されません。

使用人(家族従業員を含む)の行為に基因する損害賠償金を負担した場合には次のように取り扱われます。

1. その使用人の行為に関し業務を営む者に故意又は重大な過失がある場合
その使用人に故意又は重大な過失がないときでも、必要経費に算入できない。

2. その使用人の行為に関し業務を営む者に故意又は重大な過失がない場合
その使用人に故意又は重大な過失があったかどうかを問わず、次のように取り扱われます。
(1) 業務の遂行に関連する行為に基因するもの 必要経費に算入
(2) 業務の遂行に関連しない行為に基因するもの 
① 家族従業員以外の使用人に関し負担したもので、雇用主としての立場上やむを得ず負担したしたものは、必要経費に算入し、その他のもの(家族従業員の行為に関し負担したものを含む)については、必要経費に算入しない。

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重要な後発事象の注記

2007-02-22 08:13:32 | 会計
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、財務諸表のひとつである注記表の注記項目の「重要な後発事象」についてまとめてみました。

現代の会計は、継続企業の公準により、連続する企業活動を会計期間ごとに人為的に区切り、その区切った会計期間に発生した会計事象を集計し利益計算等を行っている。したがって、決算日後に発生した事象は、その期の財務諸表には反映されていません。

しかし、決算日後に発生した事象でも、次期以降の経営成績や財政状態に影響する重要なものは、投資家に最新情報として注記の方法で伝達することにより、意思決定の判断材料とされます。

重要な後発事象の例として、次のようなものがあります。
1. 火災、出水等による重大な損害の発生
2. 多額の増減資や多額の社債の発行または繰上償還
3. 会社の合併、重要な営業の譲渡または譲受け
4. 重要な係争事件の発生または解決
5. 主要な取引先の倒産

このような決算日後に発生した後発事象は、投資家にとって、次期以降の投資の重要な判断材料となるため、注記表に記載することとされています。

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現金主義会計

2007-02-21 08:14:02 | 所得税

おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、小規模事業者の現金主義会計についてまとめてみました。

青色申告者で不動産所得又は事業所得を生ずべき業務を行う小規模事業者はその所得金額をその年に収入及び支出した金額に基づいて計算できます。

〔小規模事業者〕
この現金主義の特例を受けられる小規模事業者とは次の要件を満たす者です。
(1) その年の前前年の不動産所得の金額及び事業所得の金額(青色専従者給与控除前)の合計額が300万円以下であること。
(2) 既にこの現金主義の規定の適用を受けたことがあり、かつ、その後この規定の適用を受けなくなった者については、再びこの規定の適用を受けることにつき納税地の税務署長の承認を受けた者であること。

〔適用を受けるための手続き〕
その年分以後の各年分の所得税につき現金主義の選択をする者は、その年3月15日まで(その年1月16日以後新たに業務を開始した場合には、その業務を開始した日から2月以内)に、一定の事項を記載した届出書を納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。
また、現金主義の適用を受ける者が、その年分以後の各年分の所得税につき現金主義の適用を受けることをやめようとする場合には、その年の3月15日までに、その適用を受けることをやめる旨その他一定の事項を記載した届出書を納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。


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自己株式の取得(会社法)

2007-02-20 08:17:19 | 新会社法
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、自己株式の取得(非上場会社で譲渡人を指定しない場合)について書いてみました。

現在、自己株式(金庫株)の取得は自由になったと言われていますが、本当にそうなのか会社法の条文を追いながら確認をしてみたいと思います。

(1)まず、会社法155条です。
ここには、「株式会社は、次に掲げる場合に限り、自己株式を取得できる。」として、自己株式を取得できる場合を13個列挙しています。
自己株式の取得が自由にできるようになったといっても、限定列挙されたもの意外は禁止されているように見えます。しかし、この3番目が「次条第1項の決議があった場合」としています。この項目が、「株主との合意に基づく自己株式の取得」で結果的に、自己株式の取得につき理由を問わないということになります。

(2)会社法156条 株式の取得に関する事項の決定
株式会社が株主との合意により、自己株式を取得する場合には、事前に株主総会(臨時株主総会でもよい)で①取得する株式数②取得額③取得期間(1年以内)を決議(普通決議)で定めなければいけません。
このとき、買取額は分配可能額を超えてはならないこととされています。

(3)会社法157条 取得価格等の決定
株式会社は、前条第1項により自己株式を取得するときは、その都度、①取得株式数②1株あたり取得価額③取得総額④申込期日を、定めなければいけません。
取締役会設置会社は、取締役会の決議が必要です。

(4)会社法158条 株主に対する通知等
株式会社は、前条第1項の内容を株主に通知しなければならなりません。

(5)会社法159条 譲渡しの申込み
株式の譲渡しの申込みをしようとする株主は、株式会社に申込株数を明らかにし、その株主は、申込期日にその申込に係る株式につき株主となります。申込総数が取得総数を超えるときは、取得総数を申込総数で除して得た数に各株主の申込数を乗じて株数を割り当てることとされています。

このように、①事前に取得の大枠を決めておき、②実際の各実行時に、その枠内で、そのときの具体的な事項を決定し株主へ通知します。③その通知を受けた株主は買取数を申込み、期日に株主となります。そして、買取額は、分配可能限度額内という制限を受けることとなります。

基本的な自己株式の取得の手順は、上記のように、時間の流れに沿って条文が順序よく並んでいますので、ぜひ一度、法律の条文そのものを読まれることをお勧めします。

後日、譲渡人を指定して自己株式を買い取る場合や、上場会社の場合などについてもこのブログに投稿を予定しています。

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リース取引(法人税法)

2007-02-19 08:17:45 | 法人税
リース取引(法人税法)
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、リース取引(法人税法)で売買や金銭の貸借とされる場合の概要をまとめてみました。

1.売買取引とされる場合
法人がリース取引をした場合で、次のいずれかに該当する場合には賃貸人から賃借人にその資産の売買があったものとして所得の金額を計算することになります。
(1) リース期間の終了の時又はリース期間の中途において、リース資産が無償又は名目的な対価の額でその賃借人に譲渡されるものであること。
(2) その賃借人に対し、リース期間の終了の時又はリース期間の中途において、リース資産を著しく有利な価額で買い取る権利が与えられているものであること。
(3) リース資産の種類、用途、設置の状況等に照らし、リース資産がその使用可能期間中その賃借人によってのみ使用されると見込まれるものであること又はリース資産の識別が困難であると認められるものであること。
(4) リース期間がリース資産の法定耐用年数に比して相当の差異があるもの(その賃貸人又はその賃借人の法人税又は所得税の負担を著しく軽減することになると認められるものに限ります。)であること。

2.金銭の貸借とされる場合
法人が譲受人から譲渡人に対する賃貸(リース取引に該当するものに限る)を条件に資産の売買を行った場合において、その資産の種類、その売買及び賃貸に至までの事情その他の状況に照らし、これら一連の取引が実質的に金銭の貸借であると認められるときは、その資産の売買はなかったものとし、かつ、その譲受人からその譲渡人に対する金銭の貸付があったものとして所得金額を計算します。

最後に税法の「リース取引」の説明をしておきます。
リース取引は資産の賃貸借取引(レンタル取引を除く)のうち、次の要件を満たすものです。
(1) 賃貸借期間中の解除ができないもの又はこれに準ずるものであること。
(2) その賃貸借に係る賃借人がその賃貸借に係る資産からもたらされる経済的な利益を実質的に享受することができ、かつ、その資産の使用に伴って生ずる費用を実質的に負担すべきこととされているものであること。

本日のリース取引の内容は現行の法人税の規定に基づいています。平成19年度税制改正大綱でリース取引についても改正が行われるようですので、後日改正内容につき投稿をする予定です。

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知人に対する貸付金が貸倒れになった場合

2007-02-16 08:11:28 | 所得税
おはようございます。税理士の倉垣です。

いよいよ今日から個人の確定申告期間が始まります。当事務所も一年で一番忙しい時期に入りますが、ブログは続けて掲載します。

今日は、個人の知人に対する貸付金が貸倒れになった場合の税務上の取り扱いについてまとめてみました。

事業の遂行上生じた売掛金等の貸倒れなどによる損失額は、事業の所得の計算上、必要経費に算入されます。そして事業の所得の金額から控除しきれない損失額は他の所得金額から控除され、それでも控除されない場合は青色申告者にかぎり3年間の繰越控除が認められています。

しかし、全くプライベートの貸付金の貸倒れは、雑所得の基因となる貸金の損失として、もしその年に他の雑所得があれば、その雑所得の金額の範囲内で必要経費に算入されますが、その控除不足額を他の種類の所得と損益通算することはできません。もちろんその控除不足額を翌年以降に繰り越すこともできません。控除不足額はその年の雑所得の金額の範囲で終わりです。

また、所得控除で雑損控除というのがあります。
これは、個人が災害・盗難・横領で損失を受けた場合にはその損失額のうち所得の10%を超える金額を所得から控除してもらえる制度です。これも、本人がその知人を信用してお金を貸付けた場合、返済能力の点に関してだまされたかもしれませんが、それは横領されたのではありませんのでこの救済規定もだめです。

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減価償却資産(個人事業者)

2007-02-15 08:14:58 | 所得税
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、所得税の減価償却資産についてまとめてみました。減価償却資産に該当する資産は、一定の方法で計算した償却費を必要経費に算入できます。この考え方は法人税も基本的に同じです。

所得税法2条1項19号に減価償却資産の定義を次のように規定しています。
「減価償却資産とは、不動産所得若しくは雑所得の基因となり、または不動産所得、事業所得、山林所得若しくは雑所得を生ずべき業務のように供される建物、機械、工具器具備品などの資産で償却すべきものとして政令で定めるものをいう」

所得税法施行令6条(減価償却資産の範囲)
「政令で定める減価償却資産は、棚卸資産、有価証券及び繰延資産以外の資産のうち次に掲げるもの(時の経過によりその価値の減少しないものを除く)とする。
1. 建物及びその附属設備
2. 構築物
3. 機械装置
4. その他工具、器具及び備品
5. 鉱業権などの無形固定資産
6. 生物

以上より、業務のように供していない資産は減価償却資産から除かれます。例えば建設中の建物や製作中の機械などです。
また、建物や機械などであっても、販売用のものは減価償却資産ではありません。棚卸資産となり売却されたときに売上原価として必要経費に算入されます。
時の経過により減価しないとして減価償却資産から除かれる資産としては①土地や土地の上に存する権利②電話加入権③美術品などがあります。


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