税理士 倉垣豊明 ブログ

東京武蔵野市(三鷹)の税理士 相続税、贈与税等資産税対策、法人・個人向け税務・会計・会社法のブログ

生産設備等投資促進税制

2013-08-19 07:12:25 | 法人税
生産設備等投資促進税制

1、制度の概要
この制度は、生産設備等の投資額が増加した場合に、特別償却又は税額控除を認めるものです。

2、適用対象法人
青色申告法人が対象です。

3、適用対象年度
平成25年4月1日から平成27年3月31日までに開始する事業年度が対象となる。

4、適用要件
次のすべての要件を満たす必要がある。
(1)取得した生産等設備の取得価額の合計額>その年度の償却費の合計額
(2)取得した生産等設備の取得価額の合計額>前事業年度の生産等設備の取得価額の合計額×110%

5、特別償却
取得した機械等×30%

6、税額控除限度額
取得した機械等の取得価額の合計額×3%
ただし、法人税額の20%が限度額

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所得拡大促進税制

2013-08-16 06:53:55 | 法人税
所得拡大促進税制

1、制度の概要
この制度は、給与等支給額を増加させた場合、その支給増加額の10%の税額控除を認めるものです。

2、適用対象法人
青色申告法人が対象です。

3、適用対象年度
平成25年4月1日から平成28年3月31日までに開始する事業年度が対象となる。

4、適用要件
次のすべての要件を満たす必要がある。
(1)雇用者給与等支給増加額/基準雇用者給与等支給額が100分の5以上
※雇用者給与等支給増加額=雇用者給与等支給額-基準雇用者給与等支給額
(2)雇用者給与等支給額>=比較雇用者給与等支給額であること
(3)平均給与等支給額>=比較平均給与等支給額であること

5、税額控除限度額
税額控除限度額=雇用者給与等支給増加額×10%
ただし、法人税額の10%(中小企業者等については20%)が限度額

6、その他の注意点
(1)雇用者給与等支給額:損金に算入される国内雇用者に対する給与等支給額、雇用者からは役員の特殊関係者を除く
(2)基準雇用者給与等支給額:平成25年4月1日以後に開始する各事業年度のうち最も古い事業年度の前事業年度の損金に算入される国内雇用者に対する給与等支給額
(3)比較雇用者給与等支給額:前事業年度の損金に算入される国内雇用者に対する給与等支給額
(4)雇用促進税制とは選択適用となる。

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雇用促進税制

2013-08-15 07:01:11 | 法人税
雇用促進税制

1、制度の概要
この制度は、雇用者が増加した場合に、一定の税額控除が認めるものです。

2、適用対象法人
青色申告法人が対象です。

3、適用対象年度
平成23年4月1日から平成26年3月31日までに開始する事業年度が対象となる。

4、適用要件
次のすべての要件を満たす必要がある。
(1)前期及び当期に事業主都合による離職者がいないこと
(2)基準雇用者数が5人以上(中小企業者等は2人以上)であること
※基準雇用者数=当期末雇用者数-前期末雇用者数
(3)基準雇用者割合が10%以上であること
※基準雇用者割合=基準雇用者数/前期末雇用者数
(4)給与等支給額が比較給与等支給額以上であること
※1、給与等支給額:当期の損金に算入された給与等(雇用者に対するものに限る)の支給額
※2、比較給与等支給額:
前期の給与等支給額+前期の給与等支給額×基準雇用者割合×30%
(5)風俗営業等を営んでいないこと

5、税額控除限度額
税額控除限度額=基準雇用者数×40万円
ただし、法人税額の10%(中小企業者等については20%)が限度額

6、その他の注意点
(1)雇用者:使用人のうち雇用保険の一般被保険者である者をいい、使用人からは役員の特殊関係者を除く
(2)この制度の適用を受けるためには、公共職業安定所に「雇用促進計画」の提出をし、適用要件.雇用促進計画の達成状況の確認を受けなければならない。


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外国子会社合算税制

2013-06-11 07:01:28 | 法人税
外国子会社合算税制

税負担の著しく少ない国に子会社等を設立した場合には、その子会社の所得が親会社の所得に合算課税される制度がある。
以下に単純化したモデルで課税の概要を見てみる。

[例]
A社はX国(法人税等が17%)に子会社Cを設立した。
出資割合:A社が30%、B社(日本法人)25%、その他国外法人45%
子会社の所得金額60,000千円

1、判定
(1)外国関係会社の判定 30%+25%=55%>50% ∴該当する
※居住者、内国法人などの持株割合が50%超であるか

(2)特定外国子会社等の判定 法人税等17%<=20% ∴該当する
※外国子会社等の所在地国の法人税等が20%以下か

2、A社の所得に加算される金額
(1)合算課税の判定 30%>=10% ∴合算課税の適用あり
※持株割合が10%以上か

(2)合算課税金額 60,000千円×30%=18,000千円
※子会社所得のうち持株割合に相当する額を合算課税

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債務免除と期限経過欠損金2

2013-06-04 07:11:50 | 法人税
債務免除と期限経過欠損金2

前回、清算中に多額の債務免除益が発生する場合の、法人税などの税額を計算した。
しかし、納税の心配をしなくて良い場合がある。
期限経過欠損金の使用である。

以下、前回の設例により説明する。
追加事項は、別表5(1)の期首利益積立金額が212,105千円であることだけである。

1、課税所得
債務免除益202,035千円-青色欠損金控除額8,196千円-193,839千円=0

2、法人税等
なし

残余財産の分配が見込めない場合には、期限経過欠損金(=欠損金額-青色欠損金などの繰越控除額)の使用が認められる。


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債務免除と期限経過欠損金

2013-06-03 07:40:24 | 法人税
債務免除益と期限経過欠損金

[設例]
Aは甲社(Aが100%株式所有)に対し、貸付金212,610千円を有し、このままだとこの貸付金が相続財産となり、相続税の負担が多くなるので、甲社を清算することとした。
●納税地:東京
●決算期:5月
●平成25年5月31日現在の貸借対照表
資産:10,575千円
負債:212,610千円
純財産:-202,034千円(資本金:10,000千円、繰越利益:-212,035千円)
●青色欠損金(前7年)の繰越額:8,196千円

解散決議を5月31日に行い、その後、資産全額を債務の弁済に充て、残債務を債務免除し清算結了した場合の課税関係

解散から清算結了までの期間の損益は債務免除益の202,034千円のみとする。

1、課税所得
202,034千円-8,196千円=193,839千円

2、法人税
8,000千円×15%=1,200,000円
185,839千円×25.5%=47,388,940円
法人税計 48,588,900円

3、復興特別法人税
48,588,940円×10%=4,858,800円

4、都民税
48,588,940円×20,7%=10,057,900円

5、事業税
4,000千円×2.95%=118,000円
4,000千円×4.365%=174,600円
185,839千円×5.78%=10,741,400円
事業税計 11,034,000円

6、地方法人特別税
計算過程は省略するが、8,194,200円となる

税額計(2から6)82,733,800円

法人税法の改正により、清算所得に対する課税が損益法となったため、債務免除益が課税所得を構成し、以上のように多額の税負担が生ずることとなる。
このままでは、相続税の対策どころではない。
しかし、心配しなくてもよい方法がありそうです。次回、説明します。

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試験研究費の特別控除の計算

2013-05-30 06:28:25 | 法人税
試験研究費の特別控除の計算

[設例]
資本金4億円の当期(平成24年4月1日から平成25年3月31日)までの試験研究費の特別控除の計算。当期の法人税額は223,544,985円

売上高 
平成21年4月1日から平成22年3月31日 22,627,104,928円
平成22年4月1日から平成23年3月31日 22,858,338,993円
平成23年4月1日から平成24年3月31日 23,452,060,355円
平成24年4月1日から平成25年3月31日 23,023,279,209円
試験研究費の額
平成21年4月1日から平成22年3月31日 184,936,235円
平成22年4月1日から平成23年3月31日 225,869,643円
平成23年4月1日から平成24年3月31日 229,290,638円
平成24年4月1日から平成25年3月31日 203,779,374円

1、試験研究費の総額等に係る特別控除
(1)試験研究費の総額に係る特別控除
イ、試験研究費割合及び控除割合
203,779,374円/※22,990,195,871円=0.0088637<10%
∴0.0088637×0.2+0.08=0.081(小数点以下3位未満切捨て)
※(22,627,104,928円+22,858,338,993円+23,452,060,355円+23,023,279,209円)÷4=22,990195,871円
ロ、税額控除限度額
203,779,374円×0.081=16,506,129円
ハ、税額基準額
223,544,985円×20%=44,708,997円
ニ、ロ<ハ ∴16,506,129円

2、<strong>試験研究費の増加額等に係る特別控除
(1)試験研究費の増加額に係る特別控除
イ、判定
203,779,374円<(184,936,235円+225,869,643円+229,290,638円)÷3=213,365,505円
ロ、203,779,374円<229,290,638円
∴適用なし
(2)平均売上金額の10%相当額を超える試験研究費の額に係る特別控除
イ、判定
203,779,374円<22,990,195,871円×10%=2,299,019,587円 ∴適用なし

3、特別控除額 16,506,129円

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受取配当等益金不算入額の計算

2013-05-22 06:55:17 | 法人税
受取配当等益金不算入額の計算

[設例]
決算期:平成24年4月1日から平成25年3月31日
●配当金
A株式 3,795,000円(持株割合35%)
その他株式 39,872,024円
●当期の負債利子 120,352,715円
●総資産の帳簿価額
当期:21,504,743,535円
前期:21,664,270,567円
●株式の帳簿価額
A株式 前期末:83,320,000円、当期末:83,320,000円
その他の株式 前期末:952,121,022円、当期末:986,647,781円

1、配当等の額
(1)関係法人株式等 3,795,000円
(2)その他株式等 39,872,024円

2、原則法による益金不算入額
(1)負債利子額 120,352,715円

(2)総資産の価額 21,504,743,535円+21,664,270,567円=43,169,014,102円

(3)株式等の価額
イ、関係法人株式等 83,320,000円×2=166,640,000円
ロ、その他株式等 952,121,022円+986,647,781円=1,938,768,803円

(4)控除負債利子
イ、関係法人株式等 (1)×(3)イ/(2)=464,582円
ロ、その他株式等 (1)×(3)ロ/(2)=5,405,175円

(5)益金不算入額
(3,795,000円-464,582円)+(39,872,024円-5,405,175円)×50%=20,563,842円

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同族会社の留保金に対する特別税額

2013-05-21 06:37:09 | 法人税
同族会社の留保金に対する特別税額

[設例]
所得金額:876,647,139円(留保金額:788,877,496円)受取配当等の益金不算入額が20,563,842円ある
復興特別税額:20,692,400円
資本金の額等
当期末資本金 304,000千円
前期末利益積立金額 7,830,612,705円
配当に関する事項
当期中に行われた前期の株主総会に係る配当金 47,465,974円
翌期中に行われた当期の株主総会に係る配当金 48,575,578円
税額控除
試験研究費の総額等の特別控除額 16,506,129円
控除所得税額 4,047,479円
控除外国税額 713,090円

1、税額計算
876,647千円×25.5%=223,544,985円

2、留保金額
(1)当期留保金額
イ、所得等の金額うち留保した金額
788,877,496円+47,465,974円-48,575,578円=787,767,892円
ロ、法人税額
223,544,985円-16,506,129円-4,047,479円-4,047,479円-713,090円=202,278,287円
ハ、復興特別法人税 20,692,400円
ニ、住民税額
(223,544,985円-713,090円)×20.7%=46,126,202円
ホ、イ-ロ-ハ-ニ=518,671,003円

(2)留保控除額
イ、所得基準額
(876,647,139円+20,563,842円)×40%=358,884,392円
ロ、定額基準額 20,000千円
ハ、積立金基準額
304,000千円×25%-(7,830,612,705円-47,465,974円)=0
ニ、イからハのうち最大 ∴358,884,392円

(3)課税留保金額
(1)-(2)=159,786千円(千円未満切捨て)

(4)特別税額
30,000千円×10%=3,000,000円
70,000千円×15%=10,500,000円
59,786千円×20%=11,957,200円
合計 25,457,200円

大変な計算でしたね。

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解散と債務免除

2013-05-09 15:26:50 | 法人税
解散と債務免除

会社経営が行き詰まり、清算を選択した場合に悩ましい問題が発生する場合があります。

[例]
次のA社を清算することとなった。
総資産:200千円(現預金)
総負債:200,000千円(すべて代表者個人からの借入金)
資本金:10,000千円
繰越利益:▲209,800千円
法人税法上の青色欠損金(前9年間)8,000千円

1、債権債務の整理
会社は、株主総会で解散決議をし、清算作業に移ることとなる。
まず、資産を換金し、次に負債の支払いに充てる。
A社は現預金200千円を借入金の返済に充てる。
その結果、負債(借入金)が199,800千円残る。

2、債務免除
A社の清算の登記を行うためには、貸借対照表の資産および負債をゼロにしなければならない。
借入金の残高199,800千円は債務免除をしてもらわなければならない。

3、清算の所得計算の改正
清算事業年度の所得計算の方法が、財産法から損益法に改正になったことにより、上記2の債務免除益は益金を構成することとなる。
したがって、課税所得は199,800千円-8,000千円(前9年の青色欠損金)=191,800千円となるはずである。

4、繰越欠損金の損金算入
上記3では、清算どころではない。しかし、法人税法59条3項で、「解散をした場合において、残余財産の分配が見込めないときには、期限経過後の欠損金も損金算入が認められる。」という規定がある。
もしかしたら、この規定で救われるかもしれない。

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