税理士 倉垣豊明 ブログ

東京武蔵野市(三鷹)の税理士 相続税、贈与税等資産税対策、法人・個人向け税務・会計・会社法のブログ

源泉徴収選択口座内配当等に係る所得計算及び源泉徴収等の特例の創設

2008-08-29 08:25:21 | 所得税
おはようございます。税理士の倉垣です。

1.上場株式等の配当等の源泉徴収選択口座への受け入れ
平成22年から、証券業者等の特定口座(源泉徴収選択口座)に上場株式の配当等の受け入れが可能となります。

2.源泉徴収選択口座内配当等に係る配当所得の区分計算
この源泉徴収選択口座内の上場株式等の配当等とその他の配当等は区分して配当所得の計算をすることとなります。

3.源泉徴収選択口座内配当等に係る源泉徴収
(1)上場株式等の配当等と譲渡損失との損益通算
源泉徴収選択口座内において上場株式等の譲渡損失がある場合には、その年の上場株式等の配当等の総額から譲渡損失の金額を控除した残額に対して源泉徴収税率を乗じて所得税を計算することとされました。

(2)所得税額の還付
証券業者等が源泉徴収選択口座内の上場株式等の配当等につき既に交付の際に源泉徴収した所得税の額が上記(1)の計算による所得税の額を超える場合には、その差額は証券業者等により居住者等に還付されます。

(3)源泉徴収選択口座内配当等について源泉徴収した所得税の納期の特例
源泉徴収選択口座内配当等につき源泉徴収した所得税の納期は、その徴収の日の属する年の翌年1月10日とされました。

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特定口座内保管上場株式等の譲渡による所得等に対する源泉徴収等の特例の改正

2008-08-28 08:29:29 | 所得税
おはようございます。税理士の倉垣です。

特定口座内保管上場株式等の譲渡による所得等に対する源泉徴収等の特例の改正についてまとめてみました。

1.軽減税率の廃止
居住者等が源泉徴収を選択した特定口座内で譲渡した上場株式等の所得に対しては、原則20%(所得税15%、住民税5%)ですが、軽減税率10%(所得税7%、住民税3%)の源泉徴収がされていましたが、平成20年12月31日でこの軽減税率の取り扱いが廃止されます。

2.経過措置
2年間の経過措置として、平成21年と22年の2年間に限り、上場株式等の譲渡所得金額のうち年間500万円以下の部分については10%(所得税7%、住民税3%)の税率が適用されることとなったことに伴い、源泉徴収税率もこの経過期間に限り一律10%(所得税7%、住民税3%)とされました。

3.申告不要制度
上記2の経過期間において、上場株式等の譲渡の所得金額が年500万円を超える者は、源泉徴収選択口座内の上場株式等の譲渡による所得について申告不要制度を適用することはできず、必ず申告をしなければなりません。
譲渡所得のうち500万円超の部分の税率の差(20%と10%の差)を申告で精算する必要があるためです。

4.経過期間内の源泉徴収選択口座に係る特定口座年間取引報告書の提出不要の特例の廃止
経過期間内の上記3の取扱いなどの適正な執行を確保するためにこの取引報告書の提出不要の特例が廃止されました。

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上場株式等を譲渡した場合の株式等に係る譲渡所得等の課税の特例の廃止

2008-08-27 08:26:00 | 所得税
おはようございます。税理士の倉垣です。

前回は、上場株式等の配当の税率についてまとめてみましたが、今回は上場株式等の譲渡所得等の税率についてです。

1.軽減税率の廃止
上場株式等を譲渡した場合の株式等に係る譲渡所得等については、原則20%(所得税15%、住民税5%)に対し10%(所得税7%、住民税3%)の軽減税率が適用されてきましたが、平成20年12月31日でこれが廃止されました。

2.税率の特例措置(平成21年と22年)
平成21年と平成22年の2年間は、上場株式等の譲渡所等等に対する税率は、500万円以下の部分に限り、10%(所得税7%、住民税3%)とされています。

金融所得課税の一本化のもと、配当と譲渡等の差はあるものの、同じリスクを抱える上場株式から発生した所得として、税率や損益通算など同一の取扱いをしています。

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上場株式等の配当等に係る源泉徴収税率等の特例の改正

2008-08-26 08:29:46 | 所得税
おはようございます。税理士の倉垣です。

1.上場株式等の配当等の源泉徴収税率の軽減税率の廃止
上場株式等の配当等に対する原則20%(所得税15%、住民税5%)の源泉徴収税率に対して、10%(所得税7%、住民税3%)とする軽減税率が、平成20年12月31日で廃止されます。
しかし、経過措置として、平成21年と22年は源泉徴収税率が10%(所得税7%、住民税3%)とされています。

2.上場株式等の配当等に係る申告不要制度の不適用
上場株式等の配当等については金額のいかんにかかわらず申告不要を選択することができますが、上場株式等の配当等の金額の合計額が100万円を超える場合には、必ず申告をしなければならないこととなっています。
これは、上場株式等の配当に対するこの2年間の経過措置である税率10%は、配当金額が100万円以下の部分のみの適用となっているためです。
配当の申告は総合課税か申告分離課税のいずれかの方式を選択することになります。

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金融所得課税の一体化(配当と株式譲渡損失の通算他)

2008-08-25 08:28:03 | 所得税
おはようございます。税理士の倉垣です。

平成20年度税制改正で、「金融所得課税の一体化」の方向に沿って、上場株式等の配当所得について、上場株式等の譲渡損失との損益通算制度などが導入されました。

1.上場株式の配当の課税方法
上場株式の配当所得については、総合課税と申告分離課税の選択ができることとなりました。
申告分離課税を選択した配当所得に対しては、20%(所得税15%、地方税5%)の税額が課されます。ただし、平成21年と22年に関しては経過措置として配当所得のうち100万円以下の部分についての税率は10%(所得税7%、地方税3%)となっています。
申告分離課税を選択した配当所得については配当控除の適用はありません。

2.上場株式等の譲渡損失の損益通算と繰越控除
上場株式等の譲渡損失は、その年の上場株式の配当所得から控除できます。ただし、控除できるのは、申告分離課税を選択した配当に限りますのでご注意ください。
そして、その損益通算しても控除しきれない損失金額は、翌年以後3年間にわたり、株式等の譲渡所得等の金額及び上場株式の配当所得(申告分離課税を選択した配当所得)から繰越控除できます。

3.適用時期
上記2の損益通算は、平成21年分以後の上場株式等の譲渡損失から適用されます。

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代理8(復代理)

2008-08-22 08:27:43 | 税金一般
おはようございます。税理士の倉垣です。

1.代理人による復代理人の選任
(1)任意代理人による復代理人の選任
委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができないこととされています。(民法104条)

(2)法定代理人による復代理人の選任
法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任することができる。(民法106条)

2.代理人の責任
(1)任意代理人による復代理人の選任
代理人は、復代理人を選任したときは、その選任及び監督について、本人に対してその責任を負う。
代理人は、本人の指名に従って復代理人を選任したときは、その選任及び監督につき責任を負わない。ただし、その代理人が、復代理人が不適任又は不誠実であることを知りながら、その旨を本人に通知し又は復代理人を解任することを怠ったときは責任を負います。(民法105条)

(2)法定代理人による復代理人の選任
復代理人につき法定代理人が全責任を負いますが、やむを得ない事由があるときは、任意代理人と同じように復代理人の選任につき、その選任及び監督についてのみ、本人に対してその責任を負うこととされています。(民法106条)

3.復代理人の権限等
復代理人はその権限内の行為について、本人を代表する。
復代理人は、本人及び第三者に対して、代理人と同一の権利を有し、義務を負うこととされています。(民法107条)
復代理人は代理人により選任されますが、あくまで独立した本人の代理人であり、代理人の代理人ではないということです。しかし、代理人の代理権の消滅により、復代理人の権限も消滅するものとされています。

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代理7(無権代理と相続)

2008-08-21 08:20:08 | 税金一般
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は代理の第7回目で、無権代理と相続の関係を整理してみました。
代理制度は、本人、代理人、相手方の3者間の関係ですが、本人と代理人(無権代理人)の間に相続が発生した場合の法律関係を整理してみました。

1.本人が死亡し、無権代理人が相続人となった場合

(1)無権代理人が本人の単独相続人の場合
無権代理人と本人の地位が当然融合して契約は有効となる。

(2)無権代理人の他に本人の相続人がいる場合
相続人が無権代理人のほかにもいる場合は、「追認の不可分性」により次のようになります。
イ、他の相続人が追認を拒絶した場合
この場合、相手方は、無権代理人に損害賠償を請求できるだけです。
ロ、他の相続人が追認した場合
この場合、単純に契約は有効となります。

(3)無権代理人が本人の単独相続人であるが、本人が死亡前に追認を拒絶していた場合
無権代理人は本人(被相続人)の追認拒絶を相手方に主張できますが、無権代理人の責任を追及されることとなります。
上記(1)と異なり、本人が生前に追認拒絶をしているため、無権代理行為は無効に確定しているということです。本人を相続した無権代理人はその事実を単に主張しているにすぎないと考えられています。

2.無権代理人が死亡し、本人が無権代理人の単独相続人となった場合
本人は、本人たる地位に基づいて無権代理行為の追認拒絶をすることができます。追認拒絶をすると無権代理行為は無効に確定します。相手方は、今度は無権代理人の地位を引き継いだ本人に、無権代理人の責任を追及できますが、それは履行の請求はできず、損害賠償のみに限られます。

無権代理と相続に関しては、統一した理論で説明が難しく、各ケースに即して妥当な結論を導き出すように判例は考えているようです。
専門用語で、「資格融合説」と「資格併存説」といわれている考えを現実に即して使い分けているようです。

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代理6(任意代理と法定代理)

2008-08-20 08:25:05 | 税金一般
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は代理の第6回目で、任意代理と法定代理を取り上げてみました。

本人が代理人に代理権を授与することにより行われる代理を「任意代理」というのに対し、本人の意思によらず直接法律の規定に基づく代理を「法定代理」と呼びます。

法定代理は、本人が意思能力を有しないときは特に効果を発揮します。
まず、意思能力を有しなくても、自然人は生まれながらにして権利能力を有します。
しかし、意思能力がないのですから法律行為をすることはできません。他人に代理権を与えることもできません。
このような場合、法律で直接代理を規定する必要が出てきます。そうしないと、その本人は何も法律行為をすることができません。

任意代理と法定代理は復代理人の選任について差が出てきます。
任意代理は、本人から代理人への信任に基づきますので、原則として復代理は認められず、ただ本人が承諾したときややむを得ない事由がある場合にのみ復代理人の選任が認められているだけです。(民法104条)
これに対し、法定代理は自己の責任で自由に復代理人を選任することが認められています。(民法106条)

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代理5(代理人の権限濫用と民法93条)

2008-08-19 08:23:05 | 税金一般
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は代理の第5回目で、代理人の権限濫用について調べてみました。
例えば、本人Aが代理人Bに、自己の土地の売却を依頼し、代理人Bはその土地をCに売却した。代理人Bはその売却代金を自己の借金の返済に充てるため横領しようと思っていた。
このような場合、代理制度としては、代理の3要素、つまり
(1)代理権の存在
(2)顕名(本人に効果を帰属させるという表示、本人の利益をはかる必要はない。)
(3)代理行為(代理人と相手方との契約)
が備わっていいるので、たとえ代理人が、自己または第三者の利益をはかることを目的としていても、その効果は直接本人に帰属し、本人Aは相手方Cに土地を引き渡さなければならないはずです。代理人Bに土地売却代金を持ち逃げされて本人Aは大損です。

しかし、判例はこのような場合、次のように本人と相手方との利益考量をはかっています。
「代理人が自己または第三者の利益をはかるため権限内の行為をしたときは、相手方が代理人の意図を知り又は知りうべき時であった場合に限り、民法93条但書の規定を類推適用して、本人はその行為ついての責に任じないとするのが相当である。」
つまり、相手方が悪意又は過失があった場合には代理行為は無効とするということです。

この権限濫用は、表見代理の「権限を超えた」場合とは区別しなければいけません。権限を超えた代理行為は「無権代理」ですが、権限濫用は「有権代理」です。

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