税理士 倉垣豊明 ブログ

東京武蔵野市(三鷹)の税理士 相続税、贈与税等資産税対策、法人・個人向け税務・会計・会社法のブログ

組織再編税制(兄弟会社の合併)

2008-10-30 08:41:50 | 法人税
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は組織再編税制(兄弟会社の合併)についてです。
法人税法においては、合併などの企業組織再編を支配が継続するかそれともそこで継続が立たれるかによって異
なる取扱いをしています。
すなわち、企業組織再編行為によって移転する資産および負債に対して支配が絶たれる場合にはそこでこれらの 資産および負債の時価による譲渡があったものとして課税が行われ、支配が継続すると認められる場合にはこれ らは簿価での引継をし、課税の繰延を行います。
支配が継続しない企業組織再編を非適格組織再編と、支配が継続するものを適格組織再編と言います。

1.適格組織再編と非適格組織再編
法人税法では、原則として、合併などの組織再編があった場合には、被合併法人から合併法人へ資産および負債
を時価で譲渡したものとして課税します。
しかし、その組織再編行為により経済的実態が変わらないとして一定の要件に該当する場合には、適格組織再編
として資産及び負債の譲渡に対する課税を見合わせ、帳簿価額により引き継ぐこととされています。
適格組織再編の要件は、グループ内の組織再編と、共同事業を行うためのそれとに分けて要件が規定されていま す。

前回の兄弟会社のケースを見ていきますと、同一の甲が被合併会社と合併会社の株式をそれぞれ70%と80%
所有しています。これで同一の者により組織再編の当事会社の株式を50%以上所有しているという要件を満たし ています。さらに、次の5つの要件を満たすと適格合併とされます。
(1)金銭等の交付がないこと
(2)支配関係の継続が見込まれること
(3)被合併法人の主要な資産および負債が移転していること
(4)被合併法人の従業者の80%が合併後に合併法人に引き継がれること
(5)被合併法人の従前の主要事業が合併法人に引き継がれること

2.適格組織再編の取扱い
(1)移転資産及び負債
被合併法人の資産および負債は合併直前の帳簿価額により、合併法人に引き継がれます。
(2)利益積立金
被合併法人の合併直前の利益積立金は合併法人に引き継がれます。
なお、合併法人の増加資本金は会社法により増加した資本金額です。
そして、資本金等の額のうち資本金以外の額=受入純資産の帳簿価額-受入利益積立金額-増加資本金額となり ます。
(3)株主の課税
金銭等の交付がなければ、被合併法人の株主に対し旧株の譲渡所得の課税は行われません。
また、みなし配当課税も、被合併法人の利益積立金が合併法人に引き継がれるため、行われません。

このように同一の合併について、会計では取得(税法における非適格合併)、法人税法では適格合併となる場合があります。資産価額の処理の違いは申告調整をすることになります。

倉垣税理士事務所の公式WEB http://kuragaki.jp

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