税理士 倉垣豊明 ブログ

東京武蔵野市(三鷹)の税理士 相続税、贈与税等資産税対策、法人・個人向け税務・会計・会社法のブログ

性質及び形状の変更(消費税の簡易課税の業種区分)

2007-03-30 08:17:00 | 消費税
おはようございます。税理士の倉垣です。

前回、消費税の簡易課税の業種区分の一般的なお話しをしました。
今日は、第1種事業(卸売業)又は第2種事業(小売業)と第3種事業(製造業等)との区分の基準となる「性質及び形状の変更」について判断の参考になる通達を2つご紹介しておきます。

1.消費税法基本通達13-2-2(性質及び形状を変更しないことの意義)

「他の者から購入した商品をその性質及び形状を変更しないで販売する事業」は、第1種事業(卸売業)又は第2種事業(小売業)とされますが、この場合の「その性質及び形状を変更しないで販売する」とは、原則として、他の者から購入した商品をそのまま販売することをいいます。

ただ、商品に対して、例えば次のような行為を施したうえでの販売であっても「その性質及び形状を変更しないで販売する」場合に該当するものとして取り扱われます。

(1)他の者から購入した商品に、商標、ネーム等を貼り付け又は表示する行為
(2)運送の利便のために分解されている部品等を単に組み立てて販売する場合、例えば、組み立て式の家具を組み立てて販売する場合のように仕入れ商品を組み立てる行為
(3)2以上の仕入商品を箱詰めする等の方法により組み合わせて販売する場合のその組み合わせ行為

2.消費税法基本通達13-2-3(食料品小売店舗において行う販売商品の加工等の取扱い)

事業者が他から購入した食料品を、その性質及び形状を変更しないで専ら消費者に販売する店舗において、その販売に供される商品に軽微な加工をして販売する場合で、その加工がその加工前の食料品を販売している店舗において一般的に行われると認められるもので、その加工後の商品がその加工前の商品と同一の店舗において販売されるものであるときのその加工後の商品の譲渡を行う事業は、第2種事業(小売業)に該当するものとしてとり扱われます。

この2つの通達により、もう少し簡易課税の業種区分における製造と販売の考え方が理解できるようになったのではないでしょうか。

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簡易課税の業種区分

2007-03-29 08:12:35 | 消費税
個人の消費税の申告期限である4月2日が迫ってきました。
そこで、また消費税の記事の投稿になりましたが、本日は簡易課税の選択者の業種区分についてです。

消費税の簡易課税の選択をしている事業者の消費税の計算は、まず、その事業者の業種が消費税法に定められている5種類の事業のどれに該当するか検討することからスタートします。

消費税の定める5種類の事業とみなし仕入率は次のようになっています。
第1種事業 卸売業 90%
第2種事業 小売業 80%
第3種事業 製造業等 70%
第4種事業 その他の事業 60%
第5種事業 サービス業等 50%

(1) 第1種事業の卸売業とは、他の社から購入した商品をその性質及び形状を変更しないで他の事業者に販売する事業をいいます。

(2) 第2種事業の 小売業とは、他の社から購入した商品をその性質及び形状を変更しないで販売する事業で第1種事業以外のものをいいます。ただし、製造小売は第3種事業の製造業に該当します。

(3) 第3種事業の製造業等とは、次に掲げる事業(第1種事業または第2種事業とされる事業及び加工賃などの料金を対価とする役務の提供を行う事業を除きます。)です。
① 農業
② 林業
③ 漁業
④ 鉱業
⑤ 建設業
⑥ 製造業(製造した棚卸資産を小売する事業を含みます。)
⑦ 電気業、ガス業、熱供給業及び水道業

(4) 第5種事業のサービス業とは、次に掲げる事業(第1種事業、第2種事業又は第3種事業に該当する事業を除く。)
① 不動産業
② 運輸通信業
③ サービス業(飲食店業に該当するものを除きます。)

(5) 第4種事業のその他の事業とは、上記(1)から(4)までに掲げる事業以外の事業

以上のように消費税の簡易課税の業種区分の業種が定義されていますが、具体的な適用の段階で判断に迷うことが多々あります。
卸売業と小売業それと製造小売業の境界はよく悩まされます。
後日、業種区分の具体的な問題について投稿する予定です。

絵→〔ガーベラ

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仕入税額控除(課税売上割合が95%未満の場合)

2007-03-28 08:21:09 | 消費税
おはようございます。税理士の倉垣です。

課税売上割合が95%未満である場合の消費税の仕入税額控除額をまとめてみました。

このようなケースで考えて見ましょう。
説例:商品売上高(税抜)65,000千円、土地売却額120,000千円(土地の売却は非課税取引)、課税仕入に係る消費税額2,600千円。

1.課税売上割合の計算
商品売上高(税抜)65,000千円÷〔商品売上高(税抜)65,000千円+土地売却額120,000千円〕=0.35<0.95 次のいずれかの方法で仕入控除税額を計算します。ただし、(2)の方式を選択した場合にはこれを2年間継続しなければなりません。
(1) 個別対応方式
まず、課税仕入れに係る消費税額を次のように3つに分けます。
① 課税資産の譲渡等にのみ要するもの1,800千円
② 課税資産の譲渡等以外にのみ要するもの300千円
③ 課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの500千円
つづいて、次の計算により控除する仕入税額の計算をします。
1,800千円+500千円×0.35=1,975千円

(2) 一括比例配分方式
課税仕入れに係る消費税額に課税売上割合を乗じて控除仕入額を計算します。
2,600千円×0.35=910千円

消費税において、経常的に非課税売上が少ない事業者でも、このケースのように多額の非課税売上が発生した場合には、仕入れに係る消費税額が全額控除できず、課税売上高に対応する仕入に係る消費税額のみしか控除されませんので注意しておきましょう。

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消費税の税率は4%

2007-03-27 08:16:47 | 消費税
おはようございます。税理士の倉垣です。

消費税の税率は4%ではなくて、5%の間違いではないか。と思われる方も多いと思います。
でも、税法の条文を忠実に読むと、「消費税の税率は4%」が正しいのです。

それは、消費税法の29条(税率)に次のように規定されているからです。
「消費税の税率は100分の4とする」

次に、地方税法の72条の77に地方消費税の課税標準の規定があります。
「消費税額を課税標準として地方消費税の譲渡割又は貨物割を課す」と
そして、地方税法72条の83(地方消費税の税率)に「地方消費税の税率は100分の25とする。」と規定されています。

課税売上高の4%の消費税額に対して、その25%つまり課税売上高の1%の地方消費税額、従って全体として課税売上高の5%に対して消費税と地方消費税の合計額が課されることとなります。

なるほど、申告書のタイトルも「消費税の申告書」ではなく「消費税及び地方消費税の申告書」となっていますし、税額計算もまず消費税の計算を行い続いて地方消費税の計算を上から下に行っていくようになっています。

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消費税の納税義務、合併がだめなら分割はどうか

2007-03-26 09:32:29 | 消費税
おはようございます。税理士の倉垣です。

先日、消費税の納税義務のない会社が、納税義務のある会社を吸収合併した場合は、その消滅する被合併会社の基準期間の課税売上高を基礎として消費税の納税義務者になるということをお話しました。

そこで今日は、合併がだめなら分割はどうかと考えました。分割でも新設分割を考えてみます。新設分割とは、ある会社(新設分割親法人)を分割して新たに新設分割子法人を設立することです。

新設分割子法人は、分割の日の属する事業年度は、消費税の基準期間がありません。基準期間とはその法人の課税期間の2年前の事業年度ですから、新設分割子法人にはありませんよね。すると、消費税法9条より基準期間の課税売上高が1千万円以下の課税期間に該当し、分割の事業年度の消費税の納税義務はないということにならないか。そして、その翌事業年度もまだ基準期間がありませんので消費税の納税義務がないということではないか。

しかし、合併もそうでしたが、この分割も消費税法がしっかりと見張っています。

消費税法12条(分割等があった場合の納税義務の免除の特例)という規定で、分割のあった事業年度とその翌事業年度は、新設分割親法人の基準期間の課税売上高が1千万円を超えていれば新設分割子法人は課税事業者になります。

それ以後の事業年度は、基準期間の末日に特定用件(新設分割親法人が新設分割子法人の発行済み株式総数の50%以上を所有)に該当し、基準期間の新設分割親法人と新設分割子法人の課税売上高の合計額が1千万円以上であれば、新設分割子法人は課税事業者になります。
したがって、分割のあった事業年度の翌々事業年度以後は、新設分割親法人と新設分割子法人は法律的には別個独立の法人ですが、消費税の納税義務に関しては一体のものとして見るということです。

たしかに、この消費税法12条がなければ、課税事業者である法人は会社分割を繰り返して、かなり消費税の納税義務を免れることができますね。

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off200703225

2007-03-25 18:56:52 | OFF
久しぶりに自分の好きなように2日間、時間を使いました。

「金閣寺」と「鹿鳴館」(三島由紀夫)を読み終え、線形代数の入門書の再読が終わりました。

簡単なイラスト(サルビア)も水彩で描けましたし、花が散ってしまった福寿草に来年のための肥料を与える事などいろいろな事ができました。

税理士という仕事性質上、一年の始まりはいつも3月15日過ぎからです。

今年はどんな事をしようかと、楽しく考えています。

消費税を納める義務のない会社が吸収合併をした場合

2007-03-23 08:15:43 | 消費税
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、合併が行われた場合、消費税の納税義務はどうなるのかなと考えてみました。

消費税は、消費者からの預り金であって、それはそのまま国に納付するべきものですが、一年間の納付額を計算すると大した額になりますよね。そして、それを納付するときはキャッシュが出て行きますのでなんともいえない気持ちになりませんか。
できれば、消費税の免税業者になりたいと思う方は多いのではないでしょうか。

その私が考えた合併のケースとは、合併法人(消費税の免税業者)が課税業者である被合併法人を吸収合併した場合、その免税業者たる合併法人は今までどおり消費税を免税されるのだろうかということです。

消費税の納税義務は、事業者が国内で課税資産の譲渡等を行った場合に発生します。

しかし、消費税法9条で「小規模事業者の納税義務の免除」として、事業者のうちその課税期間に係る基準期間の課税売上高が1千万円以下の課税期間については消費税の納税義務がないと規定されています。

基準期間とは、その事業年度の2年前の事業年度のことです。

したがって、その合併法人の基準期間の課税売上高が1千万円以下であれば、その課税期間(吸収合併が行われた期間)の消費税を納める義務が免除されるのではないか。

たとえ、被合併法人(吸収合併で消滅する法人)の基準期間の課税売上高が1千万円超であっても、それは被合併法人のことであり、法人格の異なる別法人である合併法人の問題ではないはずです。消費税法9条のとおり合併法人の基準期間の課税売上高のみを基準にすると合併事業年度を含む事業年度から2年間は、たとえ売上高の規模が拡大しても消費税の納税義務がないという結論になります。

しかし、税法は甘くはなかった。
消費税法11条(合併があった場合の納税義務の免除の特例)という条文で、このようなことに対応していました。

つまり、合併が行われた事業年度の被合併法人の基準期間の課税売上高が1千万円を超えていれば合併事業年度は課税事業者となります。また、その翌事業年度と翌々事業年度は合併法人の基準期間の課税売上高に被合併法人の対応する課税売上高を合計して免税事業者かどうか判定することとされています。
したがって、今日のような合併のケースでは、合併法人は消費税の納税義務者になります。

ポトス(第一期生)→〔ポトスの絵

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所得税の確定申告の後は住民税の納付です。

2007-03-22 08:22:36 | 税金一般
個人の所得税の申告期限は3月15日で終わりましたが、これに基づき次に住民税の納付がやってきますね。
そこで、本日は個人の住民税についてまとめてみました。

道府県民税と市町村民税を合わせて住民税といいますが、個人住民税は、所得税と比べ次の点が異なります。
所得税は現年所得課税であるのに対し、住民税は前年の所得に対して課税される前年所得課税です。また、課税方式は、所得税が納税者自らが所得と税額を計算する申告納税方式なのに対し、住民税は賦課課税方式といって、地方公共団体が税額を計算しそれを納税者に通知します。

住民税は、大きく2つに分かれます。1つは均等割額でもう1つは所得割額です。
均等割額は、所得に関係なく、標準税額が4,000円(道府県民税1,000円、市町村民税3,000円)です。
所得割額は、総合課税の所得金額から所得控除額を控除した額に対し10%(道府県民税4%、市町村民税6%)で計算されます。
所得金額の計算は所得税とほぼ同じですが、所得控除額は、生命保険料控除や人的控除額(配偶者控除や基礎控除額など)等が所得税より少なくなっています。

住民税の納税は、所得税の確定申告納付が終わった後、時間差攻撃でやってきます。特に前年不動産の譲渡などで所得が一時的に増加した人は心の準備をしておいたほうがよいと思いますよ。

久しぶりの絵→〔絵〕

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複数の事業を営む場合の消費税の計算(簡易課税)

2007-03-20 08:35:31 | 消費税
個人の所得税の申告期限は3月15日で終わりましたが、次に消費税の申告期限は今年は4月2日ですね。
そこで、本日は2種類以上の事業を営む者の消費税の計算(簡易課税)についてまとめてみました。

消費税の簡易課税の選択をしている事業者の消費税の計算は次のようになります。

消費税の納付額=〔課税売上にかかる消費税額〕-〔課税売上に係る消費税額〕×〔みなし仕入率〕
地方消費税の納付額=〔消費税の納付額〕×25%

みなし仕入率
第1種事業 卸売業 90%
第2種事業 小売業 80%
第3種事業 製造業等 70%
第4種事業 その他の事業 60%
第5種事業 サービス業等 50%

2種以上の事業を営んでいる場合は、消費税の計算は次のようになります。

1.事業の種類ごとに売上高を区分していない場合
その複数の事業のうち、最も低いみなし仕入率を適用します。

例:卸売業・小売業・サービス業を営む事業者。
最も低いみなし仕入率(50%)で計算します。

2. 事業の種類ごとに売上高を区分している場合
(1) 原則
事業の種類ごとの消費税額を計算し、それぞれの消費税額に業種ごとのみなし仕入率を乗じて計算した額の合計額を、課税売上に係る消費税額から控除して納付する消費税額を計算します。

例:売上高23,000千円(卸売業15,000、サービス業8,000千円)

課税売上に係る消費税=23,000千円×4/105=876,190円
卸売業の消費税=15,000千円×4/105=571,428円
サービス業の消費税=8,000千円×4/105=304,761円
卸売業のみなし仕入額=571,428円×90%=514,285円
サービス業のみなし仕入額=304,761円×50%=152,380円
納付消費税=876,190円-(514,285円+152,380円)=209,525円
納付地方消費税=209,525円×25%=52,381円

(2) 特例
1種類の事業の売上割合が75%以上である場合は、その事業のみなし仕入率のみを適用して消費税額を計算できます。
また、3種類以上の事業を営んでいる者で、その2種類の事業の合計売上高割合が75%以上である場合にも消費税額の計算の特例があります。

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誘導法と棚卸法

2007-03-19 08:26:00 | 会計
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、財務諸表の作成と利益計算における二つの方法、すなわち誘導法と棚卸法について書いてみました。

誘導法というのは、企業が取引を帳簿に記録し、その帳簿記録に基づき貸借対照表と損益計算書を作成し、利益を計算する方法です。
貸借対照表では、財産法つまり期首と期末の純資産の差額で利益が計算され、損益計算書では、損益法つまり当期発生の収益から費用を控除して利益が計算されます。
そして、それぞれの計算された利益は複式簿記の原理に基づき取引が記録されているため当然一致します。

これに対し、棚卸法というのは、期末に実地棚卸を行い、資産と負債の差額で純財産額を求め、期首の純財産額との差額で利益を計算する方法です。
棚卸法では、帳簿記録がないため、貸借対照表は作成できても損益計算書は作成できません。また、資産及び負債を実地棚卸によって把握するため、そこに計上されるものは、物理的に識別できるものと、法律上の債権債務に限られます。そして、資産及び負債の価額も帳簿記録がないため期末の時価となります。

今現在、企業会計で採用されている財務諸表の作成と利益計算の方法が誘導法です。

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