税理士 倉垣豊明 ブログ

東京武蔵野市(三鷹)の税理士 相続税、贈与税等資産税対策、法人・個人向け税務・会計・会社法のブログ

生計を一にする(相続税)

2011-01-31 06:31:22 | 相続税・贈与税
おはようございます。税理士の倉垣です。

生計を一にする(相続税)

相続税において、被相続人又は被相続人と生計を一にする相続人の居住用宅地等は一定の要件に儀等すると評価減ができることとされています。
この場合の生計を一にするということについて検討してみました。

その内容については、次の通達が参考になります。

[所得税基本通達2-47(生計を一にするの意義)]
法に規定する「生計を一にする」とは、必ずしも同一の家屋に起居していることをいうものではないから、次の場合には、それぞれ次による。
1、勤務、修学、療養等の都合上他の親族と日常の起居を共にしていない親族がいる場合であっても、次に掲げる場合に該当するときは、これらの親族は生計を一にするものとする。
イ、その他の親族と日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇にはその他の親族のもとで起居を共にすることを常例としている場合
ロ、これらの親族間において、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合

2、親族が同一の家屋に居住している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、これらの親族は生計を一にするものとする。

この通達によれば、「生計を一にする」ことと「同居」は必ずしも一致しないが、同居は原則として「生計を一にする」ものとされ、別居は原則として「生計を一にしない」ものとされるということです。もし、その原則と異なるときにはそれを主張する者が立証責任を負うこととなると思われます。

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地区の異なる2以上の路線に接する宅地(相続税評価)

2011-01-30 14:30:07 | 相続税・贈与税
おはようございます。税理士の倉垣です。

地区の異なる2以上の路線に接する宅地(相続税評価)

相続税の土地の評価において、地区の異なる2以上の路線に接する宅地の評価はどうするのでしょうか。設例により検討してみます。

[設例]
次の土地の評価を求める
正面路線:高度商業地区、路線価2,000千円
側方路線:普通商業・併用住宅地区、路線価1,500千円
間口と奥行きは両方とも20mで、地積は400?

[評価額]
1、正面路線価を基とした価額
2,000千円×1.0=2,000千円
2、側方路線影響加算額
1,500千円×1.0×0.1=150千円
3、評価額
(2,000千円+150千円)×400?=860,000千円
正面路線だけでなく、側方路線影響加算額についても正面路線の地区の奥行価格補正率及び側方路線影響加算率を適用します。

もし、側方路線影響加算率を普通商業・併用住宅地区で行った場合の評価額を計算してみます。
1、正面路線価を基とした価額 上記と同じ2,000千円

2、側方路線影響加算額
1,500千円×1.0×0.08=120千円
3、評価額
(2,000千円+120千円)×400?=848,000千円
評価差額 12,000(=860,000千円-848,000千円)

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側方路線に宅地の一部が接続(相続税評価)

2011-01-29 14:51:05 | 相続税・贈与税
おはようございます。税理士の倉垣です。

側方路線に宅地の一部が接続(相続税評価)

相続税において財産評価は重要な位置を占めています。当然ながら財産評価額が大きくなれば負担する税額も超過累進税率により増えます。
今回は、宅地の評価、それも側方路線に宅地の一部しか接続していない場合の評価を設例で検討してみます。

[設例]
普通商業・併用住宅地域にある次の土地の評価額
正面路線価:1,200千円、側方路線価:900千円
間口:50m、奥行:40m(だたし側方道路には10mしか接していない。)、地積:2,000?

[評価額]
1、正面路線価を基とした金額
1,200千円×0.94=1,128千円
2、側方路線影響加算額
900千円×0.9×0.08×(10m/(30m+10m))=16,200千円
3、評価額
(1,128,000円+16,200円)×2,000?=2,288,400千円

側方路線影響加算額の計算において、接道割合により影響額を減額します。
もし、この接道割合計算をせず、側方路線影響加算を100%評価額に反映させると、上記の設例では評価額は2,385,600千円となり、97,200千円も財産評価額が多くなります。

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障害者控除の適用(相続税)

2011-01-28 06:23:56 | 相続税・贈与税
おはようございます。税理士の倉垣です。

障害者控除の適用(相続税)

相続税の申告上、障害者には相続税額から障害者控除額の控除が認められます。
この障害者は、身体障害者手帳の交付を受けていることなどが条件とされています。

1、原則
相続開始の時点で、身体障害者手帳の交付を受けていることなどが必要です。

2、例外として障害者として取り扱うことができる者
相続開始の時において、身体障害者手帳の交付を受けていなくても、つぎのいずれにも該当する者は、障害者として取り扱われます。(相続税法基本通達19の4-3)
(1)相続税の期限内申告書を提出するときにおいて、これらの手帳の交付を受けていること又はこれらの手帳の交付を申請中であること。
(2)交付を受けたこれらの手帳、医師の診断書等により、相続開始の時の現況において、明らかにこれらの手帳に記載されている程度の障害があると認められる者であること。

相続税の申告書の提出は、相続開始から10月以内ですので、もし、障害者の方で手帳の交付を受けていない人は申告期限までに手続をして納税額を減少させましょう。

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給与の源泉徴収票と配当金の支払調書

2011-01-27 06:32:07 | 所得税
おはようございます。税理士の倉垣です。

給与の源泉徴収票と配当金の支払調書

1、給与の源泉徴収票
給与の支払者は、給与の源泉徴収票を作成し、これを翌年1月31日までに、所轄の税務署長に提出するとともに、給与の受給者にそれを交付しなければなりません。(所得税法226条)

2、配当の支払調書
配当金を支払った会社は、支払確定日から1月以内に配当金の支払い調書を作成してこれを所轄の税務署長に提出しなければなりません。本来の配当金だけでなく「みなし配当」についても提出しなければなりません。(所得税法225条、所得税規則83条)

支払調書(みなし配当)には次の事項を記載します。
(1)交付を受ける者の名前、住所
(2)交付資産の価額、これらの合計額及びこれらの額のうち配当とみなされる額、交付の確定日
(3)源泉徴収税額
(4)交付の基因となった株式の種類別の数、金額

給与の源泉徴収票と異なり、配当の支払調書については、配当金の受取者に対する調書の交付義務付は規定されていないようです。

3,罰則
給与の源泉徴収票や配当金の支払調書の提出義務や交付義務に違反すると、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。(所得税法242条)

配当金の支払調書は、配当金の受給者への交付が義務付けられていませんが、特にみなし配当については上記2のように、確定申告のためその支払調書の記載内容を確認すべきことがあるため、是非交付を請求しなければなりません。

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配当控除(1101)

2011-01-26 06:32:12 | 所得税
おはようございます。税理士の倉垣です。

配当控除(1101)

株式の配当所得については、所得税等の額から配当控除額を控除できます。
ただし、申告分離課税を適用した上場株式等については配当控除の適用はできません。

1、配当控除額の計算
(1)課税総所得金額等の合計額が10,000千円以下の場合
控除額=配当所得金額×12.8%

(2)課税総所得金額等の合計額が10,000千円を超える場合
イ、課税総所得金額等の合計-10,000千円>=配当所得金額
控除額=配当所得金額×6.4%
ロ、課税総所得金額等の合計-10,000千円<配当所得金額
控除額=配当所得金額×12.8%-(課税総所得金額等の合計-10,000千円)×6.4%

※証券投資信託の収益分配金については、控除額の計算が異なります。
※配当控除額は、所得税と住民税の両方で控除されます。
2、設例
次の例により、納付税額を算出する。
給与所得:8,000千円、配当所得(株式):5,000千円、所得控除額:1,000千円

(1)課税総所得金額の合計
8,000千円+5,000千円-1,000千円=12,000千円
(2)所得税等の計算
12,000千円×43%-1,536千円=3,624千円
(3)配当控除額
イ、12,000千円>10,000千円
ロ、12,000千円-10,000千円
ハ、控除額=5,000千円×12.8%-(12,000千円-10,000千円)×6.4%=512千円
(4)納付税額
3,624千円-512千円=3,112千円

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青色申告年度の欠損金の繰越控除

2011-01-25 06:23:47 | 法人税
おはようございます。税理士の倉垣です。

青色申告年度の欠損金の繰越控除

1、欠損金の繰越控除
確定申告書を提出する法人の前7年以内の欠損金額は、その事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入することができる。ただし、その欠損金発生事業年度において青色申告書を提出し、かつ、その後において確定申告書を連続して提出していなければならない。

2、青色申告の取り消し
(1)青色申告の取り消し
帳簿類の作成義務を怠ったり、申告書を連続して期限後に提出するなどして青色申告の取り消しを受けることがある。
(2)欠損金の繰越との関係
上記1で述べたように、欠損金の生じた事業年度が青色申告であれば、その後において青色申告の取り消しがあっても欠損金の繰越控除の適用はできる。

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障害者控除(相続税)

2011-01-24 06:22:40 | 相続税・贈与税
おはようございます。税理士の倉垣です。

障害者控除(相続税)

相続人が障害者である場合には、相続税額から障害者控除額を控除できます。

1、適用対象者
要件は次の3つ
(1)居住無制限納税義務者であること
(2)被相続人の法定相続人であること
(3)年齢が70歳未満で、かつ、障害者であること

2、控除額
(1)一般障害者
(85歳-相続開始時の年齢)×60千円
(2)特別障害者
(85歳-相続開始時の年齢)×120千円

3、設例
相続開始時の年齢が20歳2カ月の相続人の障害者控除額の計算
(1)一般障害者の場合
85歳-20歳2カ月=64歳10カ月→65歳(1年未満の端数切上)
60千円×65歳=3,900千円
(2)特別障害者の場合
120千円×65歳=7,800千円

4、税制改正
平成23年度税制改正では、障害者控除額は一般の場合は1年につき100千円、特別障害者は1年につき200千円へ増額改正が予定されています。
上記3の設例は改正後、一般障害者は6,500千円、特別障害者は13,000千円となります。

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自己株式の買い取り(みなし配当)

2011-01-23 13:16:38 | 所得税
おはようございます。税理士の倉垣です。

自己株式の買い取り(みなし配当)

株式をその発行法人が自己株式として買取ると、その個人株主については、買取り金額のうち資本等の金額を超える部分についてはみなし配当として課税されます。
発行法人はその配当部分につき20%の所得税の源泉徴収をすることとなります。

次に設例により個人株主の税額を計算してみます。
[設例1]
自己株式買い取りによるみなし配当金額:44,000千円(源泉徴収税額:8,800千円)、所得控除:1,500千円。
課税所得金額=44,000千円-1,500千円=42,500千円
所得税額の計算
所得税額=42,500千円×40%-2,796千円=14,204千円
配当控除=44,000千円×10%-(42,500千円-10,000千円)×5%=2,775千円
納付所得税額=14,204千円-2,775千円-8,800千円=2,629千円
住民税額=42,500千円×10%=4,250千円
合計納税額=2,629千円+4,250千円=6,879千円

[設例2]
上記の条件で、事業所得が赤字で△3,000千円だった場合。

課税所得金額=(44,000千円-3,000千円)-1,500千円=36,500千円
所得税額の計算
所得税額=36,500千円×40%-2,796千円=11,804千円
配当控除=44,000千円×10%-(36,500千円-10,000千円)×5%=3,075千円
納付所得税額=11,804千円-3,075千円-8,800千円=△71千円
住民税額=36,500千円×10%=3,650千円
合計納税額=△71千円+3,650千円=3,579千円

自己株式の買い取りに応じた個人株主は、みなし配当課税の適用を受けると、一般的には他の所得と合算され、所得税の超過累進課税の適用を受けるため所得税等の負担額は多額になります。
しかし、設例のように、総合課税の適用を受けることにより、配当控除や損益通算により税負担が思ったほど多くならない場合もあります。配当を受取る場合にその20%を所得税として源泉徴収されていることにもよりますが。

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生命保険契約の権利(被相続人が契約者)

2011-01-22 13:54:06 | 相続税・贈与税
おはようございます。税理士の倉垣です。

生命保険契約の権利(被相続人が契約者)

[設例]
次のような生命保険契約(解約返戻金等あり)について相続税法の取扱いはどうなるか

保険契約者・保険料負担者・保険金受取人:被相続人
被保険者:相続人

[相続税法の取扱い]
この生命保険は、被保険者が相続人となっているので、相続開始時には保険事故が未発生です。
しかし、保険契約者として解約返戻金を受ける権利(利益)を相続人が相続で包括的に承継しますので、本来の相続財産となります(相続税法基本通達3-36(被保険者でない保険契約者が死亡した場合。))。

[みなし相続財産の検討]
相続開始時に保険事故が未発生なので、みなし相続財産(相続税法3条1項3号)の規定により、生命保険に関する権利を相続により取得したものとみなす規定の適用を受けるのではないか。
しかし、保険契約者が被相続人以外の者の場合にだけ、このみなし規定は適用されるのであって、この設例のように、保険契約者が被相続人であれば、それは本来の相続財産となります。

生命保険に関しては、保険事故の発生の有無、契約者・受取人・保険料負担者を正確に把握し、その課税関係を誤りなく判断しなければなりません。

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