税理士 倉垣豊明 ブログ

東京武蔵野市(三鷹)の税理士 相続税、贈与税等資産税対策、法人・個人向け税務・会計・会社法のブログ

自己株式取得の税金

2013-08-02 06:48:57 | 所得税
自己株式取得の税金

個人株主からその株式を発行法人が買い取る場合の、個人株主の課税関係


[設例]
次のA社は株主甲から自己の株式20株を買い取ることにした。
買取価額は11,000,000円である。

A社:
資本等 10,000,000円
利益剰余金 69,518,884円
自己株式 -3,50,000円
純資産計 76,468,884円
発行済株式総数 200株(うち自己株式61株)

[税額計算]
●甲の株式に対応する資本等の額
(10,000,000円-3,050,000円)×20株÷(200株-61株)=1,000,000円
●みなし配当金額
11,000,000円-1,000,000円=10,000,000円
●株式等の譲渡所得
1,000,000円-1,000,000円=0
したがって、配当所得10,000,000円を他の所得と総合課税して所得税等が算出されることとなる。

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海外勤務者の課税関係8(日中所得税)

2013-04-09 06:43:15 | 所得税
海外勤務者の課税関係8(日中所得税額)

日本と中国における所得税を次の例で比較してみた。

為替レート:1元=15円
収入:4,000千円、月300千円、独身

[中国]
●為替換算:月額300千円÷15円=20,000元
●所得税
20,000元-4,800元=15,200元(外国人の所得控除4,800元のみ)
5,000元<15,200元<=20,000元(税込月額給与方式)
所得税:15,200元×20%-375元=2,665元
●円換算手取額:(20,000元-2,665元)×15円=260,025円(86.675%)

[日本]
●299千円<=300千円<302千円
∴給与源泉所得税 8,420円
手取額 300千円-8,420円=291,580円(97.19%)

年収4,000千円
3,600千円<4,000千円<=6,600千円
給与所得控除額 4,000千円×20%+540千円=1,340千円
給与所得金額 4,000千円-1,340千円=2,660千円
課税所得金額 2,660千円-380千円=2,280千円
所得税額 1,950千円<2,280千円<=3,300千円
2,280千円×10%-97,500円=130,500円

この例では、中国の所得税の額が多くなりました。

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海外勤務者の課税関係7(183日ルール)

2013-04-08 07:25:14 | 所得税
海外勤務者の課税関係7(183日ルール)

1、勤務地課税の原則
給与については、原則として、勤務地国が課税する。

2、183日ルール(短期滞在者免税)
勤務地国の課税を厳密に行えば、短期の滞在者の給与にもすべて勤務地国が課税を行うことになる。
これでは、国際的な経済交流を阻害するなどの観点から、短期滞在者の給与については、勤務地国の課税を免除することが租税条約で定められている。
短期とは年183日以下の期間です。

3、日数の計算方法
滞在期間の計算には次の2つがあります。
(1)継続する12か月で計算
OECDモデル租税条約、日米租税条約など
(2)課税期間(暦年)で計算
日中租税条約など

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海外勤務者の課税関係6(2重課税)

2013-04-05 06:43:02 | 所得税
海外勤務者の課税関係6(2重課税)

1、勤務地課税の原則と2重課税
(1)勤務地課税の原則
外国の居住者が日本国内での勤務により給与を受け取る場合には、勤務地課税の原則により、日本がその給与に課税する。
(2)居住地国の課税
上記(1)では、その者の居住地国もまたその給与に課税することとなる。
自国の居住者に対しては、その全世界所得につき課税することができる。
(3)2重課税の発生
上記(1)と(2)により、その給与につき、日本と外国の2重課税が行われる。

2、外国税額控除
上記1の2重課税を排除するため、その者の居住地国において、外国税額控除を行うことができる。


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海外勤務者の課税関係5(不動産所得)

2013-04-04 07:10:18 | 所得税
海外勤務者の課税関係5(不動産所得)

海外勤務者が、日本国内にアパートを所有して賃貸収入がある場合の課税関係を整理した。

1、確定申告
日本国内のアパート収入などの不動産所得が基礎控除額38万円以上の場合には、確定申告をしなければならない。

2、所得控除
所得控除は居住者と異なり、雑損控除、寄付金控除、基礎控除のみである。

3、申告書の提出先
不動産所在場所、納税地とされていた場所に親族等がいる場合のその場所の管轄税務署

4、納税管理人
不動産所得のある人は、出国までに納税管理人を選任して届け出なければならない。
納税管理人は、海外勤務者に代わり、納税・申告などを行う。

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海外勤務者の課税関係4(住宅ローン控除)

2013-04-03 06:41:04 | 所得税
海外勤務者の課税関係4(住宅ローン控除)

日本で住宅ローン控除の適用を受けていた人が、海外勤務になった場合を整理してみた。

1、海外勤務とローン控除
海外勤務者は、住宅ローン控除の適用を受けることができない。
住宅ローン控除は、居住者(日本に住所のある人)に限って適用がある制度です。

2、帰国年以降
海外勤務者が帰国し、住宅ローン控除の残存期間があるときは、その残存期間につき住宅ローン控除の適用を受けることができる。
ただし、海外勤務者が出国日までに「転任等の命令により居住しないこととなる旨の証明書」を税務署へ提出しておかなければならない。

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海外勤務者の課税関係3(年末調整)

2013-04-02 06:55:59 | 所得税
海外勤務者の課税関係3(年末調整)

海外勤務者の1年を通じて国外にいる期間の給与は、非居住者の国外源泉所得であるため、日本の所得税の対象とならない。

1、出国年
その年1月1日から出国日までの給与を年末調整して精算する。
出国日の翌日からその年12月31日までは非居住者の国外源泉所得なので非課税である。

2、帰国年
帰国日からその年12月31日までの給与につき年末調整を行う。
帰国年の1月1日から帰国の前日までの給与は非居住者の国外源泉所得であるので、年末調整の対象にはならない。

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海外勤務者の課税関係2(役員)

2013-04-01 07:52:28 | 所得税
海外勤務者の課税関係2(役員)

1、原則としての勤務地課税
給与等は勤務地により課税関係が決まります。
非居住者の日本国内での勤務に基づく給与は、国内源泉所得であり、日本の所得税の対象となりますが、国外の勤務に基づくものは非課税となります。

2、役員の例外
日本法人の役員が国外勤務に基づく役員報酬を受け取った場合には、勤務地課税の原則の例外として、その支払法人の居住地(日本)の所得税の課税を受けます。
ただし、従業員としての職務も行っている役員(例:海外支店の支店長等)は、そのすべての役員報酬につき、勤務地課税により、国外勤務の役員報酬は非課税となります。

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海外勤務者の課税関係

2013-03-29 11:19:51 | 所得税
海外勤務者の課税関係

1、日本の課税
(1)納税義務者の区分
日本の所得税においては、納税義務者を居住者と非居住者に分け、その課税所得の範囲と課税方法を定めている。
(2)居住者
居住者は日本に居住する者で、全世界所得につき日本の所得税が課される。
(3)非居住者
非居住者(居住者以外)は国内源泉所得についてのみ、日本の所得税が課される。

2、国内源泉所得とは
国内源泉所得とは、国内で生じた所得である。
給与等はその勤務地が国内であるものが国内源泉所得となる。

3、海外勤務者の課税
長期(1年以上)の海外勤務者は、その出国日の翌日から非居住者となり、原則として、日本の所得税の納税義務者とならない。
海外勤務の所得は、勤務地が国外であるので、国内源泉所得とならないためである。

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所得税の納税(確定、予定)

2013-03-25 10:48:09 | 所得税
所得税の納税(確定、予定)

確定申告の申告期限が3月15日でした。
所得税の納税について整理しておきます。

1、確定申告の所得税の納税
(1)原則
3月15日までに確定額を納付
ただし、振替納税は4月22日に指定口座から引落
(2)延納
3月15日までに2分の1以上納付
残額を5月31日までに納付

2、予定納税
予定納税基準額>=150,000円以上であれば
予定納税基準額の3分の1ずつを7月と11月に予定納税
注、予定納税基準額=前年の所得税額-源泉徴収税額
※所得税額と源泉徴収税額からは非経常的な所得(譲渡、一時、雑所得)に係る税額を除く

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