税理士 倉垣豊明 ブログ

東京武蔵野市(三鷹)の税理士 相続税、贈与税等資産税対策、法人・個人向け税務・会計・会社法のブログ

農地等の相続税の納税猶予(営農困難時貸付の特例)

2010-06-30 07:09:35 | 相続税・贈与税
おはようございます。税理士の倉垣です。

農地等の相続税の納税猶予(営農困難時貸付の特例)

農業相続人が相続により取得した農地等について農地等の相続税の納税猶予の適用を受けた場合には、原則として、終生農業を継続しなければなりません。もし農業を廃止した場合などには納税猶予の期限が到来し、猶予を受けていた相続税額とともに利子税を合わせて納付しなければなりません。
しかし、終生農業を継続するのは大変なことで、今回税制改正で、障害等により農業を継続することが困難な事情が生じた場合の特例が設けられました。

1、営農困難時貸付け
農業相続人について次に掲げるような農業を継続することが困難な事情が生じたときには、一定の貸付を行うことにより、相続税の延納は継続されることとなります。
(1)精神障害福祉手帳(障害の程度が1級)の交付を受けていること。
(2)身体障害者手帳(障害等級が1級又は2級
)の交付を受けていること
(3)介護保険の要介護認定(要介護5に限る)を受けていること。
この特例は、「特定貸付」ができない場合に限り行うことができ、一定の事項を記載した届出書を2カ月以内に納税地の所轄税務署長に提出しなければならないこととされています。

2、利子税の軽減
農地等の相続税の納税猶予の納期限が到来したときには本税とともに利子税を納付しなければなりませんが、その利子税は市街化区域区域外の農地等と都市営農農地等については年3.6%に軽減されました。市街化区域区域内の農地等(都市営農農地等を除く)については、従前通り利子税の割合は年6.6%です。

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平成21年22年に土地等の先行取得をした場合の買換えの特例

2010-06-29 06:38:23 | 所得税
おはようございます。税理士の倉垣です。

平成21年22年に土地等の先行取得をした場合の買換えの特例

今年の年末までの特例ですが、買換えの特例制度を確認しておきます。

1、要件
(1)業務を行う個人が平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に、国内にある土地等を取得したこと
(2)土地等の取得が次の取得でないこと
イ、その個人の特殊関係者からの取得
ロ、相続、遺贈、贈与などによる取得
(3)翌年3月15日までに、所轄税務署長に所定の届出書を提出すること
(4)その先行取得土地等を取得した年の12月31日から10年以内に事業用土地等の譲渡をすること

2、特例の内容
(1)譲渡所得の金額
譲渡所得の金額=事業用土地等の利益金額-繰延利益金額
繰延利益金額は次のいずれか低い金額
イ、事業用土地等の利益金額の80%(先行取得土地等が平成22年中の取得のみの場合は60%)
ロ、先行取得土地等の取得金額
(2)先行取得土地等の取得価額の圧縮
先行取得土地等の取得金額から繰延利益金額を圧縮します。

法人についても同様の制度が設けられています。

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生産緑地(買取の申出等)

2010-06-28 06:35:51 | 税金一般
おはようございます。税理士の倉垣です。

生産緑地(買取の申出等)

生産緑地の区域内の農地等は農業以外の厳しい行為制限が課されていますが、一定の事由が生じた場合には市町村長へ買取の申出ができることとされています。

1、買取の申出の事由
(1)買取りの申出(生産緑地法10条)
主たる従事者の死亡や障害による農業継続不可能事由の発生、30年(旧法生産緑地は10年又は5年)経過した場合には市町村長へ生産緑地の買い取り申出をすることができます。
(2)買取の希望の申出(生産緑地法15条)
上記(1)の買取り申出ができる障害に該当しなくても、それ以外の事由により農業を継続するのに困難な事由が生じた場合には、市町村長に「買取の希望の申出」をすることができることとされています。

2、申出がなされた場合の市町村長の対応等
(1)買取りの申出(生産緑地法10条)
その申出を受けた市町村長は、1月以内に買取りをするか否かを決めなければならず、特別な事由がなければ買取りをしなければならないこととされています。もし、買取りをしなければ、農林漁業希望者に買取りのあっせんをし、2カ月経過しても買取り者が現れなければその農地等についての生産緑地の行為制限は解除されます。
(2)買取の希望の申出(生産緑地法15条)
この申出に対し、市町村長は自ら買取るか地方公共団体等へのあっせんにつとめますが、この場合には、上記(1)の「買取りの申出」と異なり、3カ月経過による行為制限の解除の適用はありません。

3、相続税の納税猶予との関係
相続税の納税猶予の適用を受けていた生産緑地区域内の農地等について、上記1の買取りの申出等がなされたときはその農地等については申出がなされたときに期限が到来したものとして、延納税額を利子税とともに納付することとなります。

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生産緑地(行為の制限)

2010-06-26 06:31:57 | 税金一般
おはようございます。税理士の倉垣です。

生産緑地(行為の制限)

前回は生産緑地の税務上の特典を整理してみました。相続税の農地等の納税猶予や固定資産税などにおいてずいぶん優遇されていますが、反面生産緑地区域内では行為の制限があります。

1、行為の制限
生産緑地は指定後、農地等として管理されなければならず、原則として建築物等の建設などについては市町村長の許可が必要とされています。市町村長は農林業業のため必要な場合などに限りその許可をすることとされています。

2、原状回復等
上記1の許可を受けずに建築物の建設などをした場合には原状回復等の義務が課せられます。

3、制限の解除
生産緑地区域内の農地は上記1のように行為制限がありますが、許可を受けた者が死亡した場合や30年経過した場合には、市町村長に対し、その生産緑地の買い取りの申出をすることができます。もし、地方公共団体等による買い取りがないまま3月を経過すると、上記1の行為の制限が解除されます。
なお、許可を受けた者が農業に従事することが困難となった場合にも買取の申出ができることになっています。

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生産緑地(税務上の特典)

2010-06-25 06:45:02 | 税金一般
おはようございます。税理士の倉垣です。

生産緑地(税務上の特典)

生産緑地の指定を受けるとどのようなメリット(税務上)があるのか考えてみました。

1、農地等の相続税の納税猶予の適用
原則として3大都市圏の特定市の市街化区域内の農地等については相続税の納税猶予の対象外とされています。しかし、生産緑地区域の指定を受けた農地等については例外的に相続税の納税猶予をを受けることができます。

2、固定資産税
原則として、市街化区域内の農地等は固定資産税は宅地並み課税となっていますが、生産緑地の指定を受けた農地等については農地並み課税です。

3、不動産取得税、登録免許税
これらの税金の課税標準は固定資産税評価額ですが、生産緑地は固定資産税評価額が低くなっているため、結果としてこれら2つの税の額も軽減されます。

4、譲渡所得の1500万円の特別控除
生産緑地法第10条の買い取り申出に基づき、地方公共団体等が買い取った場合には、譲渡所得の計算上、1500万円の特別控除が認められている。(租税措置法34の2第2項17号)

5、その他の特典
そのた、生産緑地については、相続税法上の評価減の特例(5%から35%)がある。(相続税財産評価基本通達40-3)

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筆界特定制度(手続費用の負担)

2010-06-24 06:46:55 | 税金一般
おはようございます。税理士の倉垣です。

筆界特定制度(手続費用の負担)

筆界特定制度は土地の公法上の境界(地番の境)を土地所有者等の申請に基づき、筆界特定調査官が特定する制度です。
この制度は訴訟などに比べ費用の負担が少ないとのことですが、それでも無償ではありませんので手続費用の負担がどうなっているのか調べてみました。

手続費用の負担に関しては、不動産登記法第146条に次のように規定されています。

1、申請人が1人の場合
手続費用は申請人の負担です。

2、申請人が複数の場合
(1)申請人が異なる土地の所有者の場合 申請人の1人が対象土地の一方の土地の所有権登記名義人等であり、他の1人が他方の土地の所有権登記名義人等であるときは、各筆界特定の申請人は、等しい割合で手続費用を負担するものとされています。
(2)申請人が同一の土地の所有者の場合
その申請人全員が対象土地の一方の土地の所有権登記名義人等であるときは、各筆界特定の申請人は、その持分の割合に応じて手続費用を負担することとされています。

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農地の相続税の納税猶予(20年営農による免除)

2010-06-23 06:45:37 | 相続税・贈与税
おはようございます。税理士の倉垣です。

農地の相続税の納税猶予(20年営農による免除)

農地を相続した農業相続人は相続税の納税猶予の適用を受けることができ、その猶予税額は20年営農を条件に免除される場合がありましたが、その免除規定について改正がありました。

1、改正前
農業相続人が相続した農地等(都市営農農地等を除く)につき相続税の申告期限から20年営農するとその納税猶予額が免除されていました。

2、改正後
(1)市街化区域外 平成21年の税制改正で、市街化区域外の農地等はこの20年営農による延納税額の免除の規定はなくなりました。
(2)市街化区域 市街化区域の農地等(都市営農農地等を除く)は20年営農による納税猶予額は免除されます。
※都市営農農地等 3大都市圏の特定市の市街化区域内の生産緑地区内の農地等

市街化区域内の農地等(都市営農農地等を除く)は従前通り20年営農を条件に納税猶予税額の免除の規定が残りましたが、それ以外の農地等は納税猶予が終生営農を条件とされました。農地の納税猶予の規定が農業継続を前提としているということを再確認するような改正内容ですね。
つぎは、農業相続人が農業を継続できなくなった場合の取扱いについての改正をみていこうと思います。

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裁判外紛争解決センター(ADR)

2010-06-22 06:32:38 | 税金一般
おはようございます。税理士の倉垣です。

裁判外紛争解決センター(ADR)

土地の境界問題に関して紛争を解決するのに裁判所の判決や民事調停の説明をこれまでにしましたが、今日は裁判外紛争解決センター(ADR)について検討してみました。
裁判では時間や費用がかかるし、かといって泣き寝入りもしたくない等悩まれる人もいますが、そんなとき裁判ではないが紛争を解決してくれる制度があります。土地の境界問題に関しては土地家屋調査士がそのサービスを提供してくれています。

1、ADRの紛争解決方法
ADRではあっせんや調停による和解及び仲裁により紛争を解決します。
(1)あっせん、調停
これらは両方とも当事者の和解による紛争解決を目的としますが、あっせんは当事者の自主性に、調停は第三者の積極的な関与にウェイトが置かれています。
(2)仲裁
仲裁は、当事者の仲裁合意を基に、第三者の仲裁判断によって紛争を解決するものです。
注意しなければいけないのは、この仲裁判断については後で不服申し立てができないということです。

2、裁判との違い
(1)解決案に不服がある場合 裁判ではさらに控訴などできますが、仲裁は不服申し立てはできない。
(2)申立てに相手の合意は必要か 裁判は申立人が単独でできますが、ADRでは相手の合意がなければ手続きは進められない。
(3)合意内容の強制力 裁判の判決は強制力がありますが、ADRは仲裁判断には強制力がありますが、あっせんや調停による和解にはないということです。
(4)手続きや解決案の公開 裁判は公開ですが、ADRは非公開です。

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土地の境界問題(民事調停)

2010-06-21 06:43:18 | 税金一般
おはようございます。税理士の倉垣です。

土地の境界問題(民事調停)

境界の問題で当事者同士に歩み寄る可能性があれば、簡易裁判所による民事調停を申請することも一つの方法です。

1、申込裁判所 簡易裁判所

2、調停の手続き 調停委員会(裁判官1名と調停委員2名)が調停にあたり、簡易裁判所に当事者双方と調停委員が集まり非公開で話し合いを行う。手続きは当事者の合意を得る目的で自由に解決を探る。

3、期間と費用 訴訟に比較し期間は短く費用を大幅に節約できる。

4、調停の効果 話し合いの結果、和解が成立するとその調書は確定判決と同じ効果がある。

5、調停不成立の場合 訴訟へ進む。まだ話し合いの余地があれば決定をすることもある。

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筆界特定制度(公法上の境界確認)

2010-06-20 07:40:04 | 税金一般
おはようございます。税理士の倉垣です。

筆界特定制度(公法上の境界確認)

筆界特定制度は境界(公法上の地番の境)を現地で確認する制度といわれています。今までは、この境界確定は裁判(境界確定訴訟)を提起する方法しかなかったのですが、行政機関(登記所)をとおして境界を確定してもらう制度ができました。そのため、境界確認に関し、この制度は訴訟と比較し費用や時間がかからず迅速に解決できることが期待されています。

1、筆界特定制度
これは公法上の地番の境を、境界確定を希望する土地の所有者の申請により、登記所の筆界特定調査官がその境界を確定するものです。筆界特定調査官のもとにはこれをサポートする調査委員が選出されるそうです。調査委員は申請人など関係者からの意見を聞いたり、関係書類を調査したりしてそれを調査官へ報告し、最後に調査官は筆界を特定することとなります。

2、訴訟(境界確定訴訟)との関係
訴訟(境界確定訴訟)の判決が当然優先しますが、上記1の筆界特定の結果はこの訴訟の判断材料の一つとして採用されるそうです。

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