今日は、過少申告加算税の正当事由について東京地裁 平成17年第319号の判決をご紹介します。
1.事件の概要
原告が、所得税の申告につき税務署の職員に問い合わせたところ、その税務職員に誤った指導をされたため、期限までに譲渡所得に係る所得税の申告がで きなかったとして、被告である処分行政庁の過少申告加算税と延滞税の支払い義務がないことを求めた。
2.判事事項
(1)過少申告加算税
過少申告加算税は、過少申告の事実に基づき、課税の公平上、違反者に対し課されるものである。
(2)正当事由がある場合
過少申告加算税は、正当事由があればその部分については課されないとされています。その正当事由は、真に納税者の責めに帰すことができない客観的な事情があり、過少申告加算税の趣旨に照らしても、なお、納税者に過少申告加算税を賦 課することが不当又は酷になる場合というものと解するのが相当である。
(3)正当事由の立証責任
正当事由の立証責任は納税者が負う。
(4)本件の検討
原告は、税務署に土地の売却についての所得税の申告を電話で問い合わせたところ、譲渡の書類が自宅へ送付されるのはかなり先になり、この譲渡の 申告は期限までは間に合わない。したがって、確定申告期限は他の通常の所得のみ行えばよく、譲渡は書類が届いてからでよいとの説明を受けた。として いる。しかし、その税務署でその当時の可能性のある女性職員に確認をとったりしてもその原告の主張する事実の確認ができない。したがって、原告において、過少申告加算税を課さない正当事由に該当する事実が認められないとする。
正当事由の立証責任が納税者にあるということは、当然でしょうけれども、これを納税者が立証することはかなり難しいでしょうね。
この判例によると、税務署の職員の誤った指導は正当事由に当たるのでしょうか。皆さんはどう思われますか。
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