税理士 倉垣豊明 ブログ

東京武蔵野市(三鷹)の税理士 相続税、贈与税等資産税対策、法人・個人向け税務・会計・会社法のブログ

株式の直接保有と間接保有による評価額の比較

2010-11-30 06:45:15 | 相続税・贈与税
おはようございます。税理士の倉垣です。

株式の直接保有と間接保有による評価額の比較

相続税における株式評価において、評価会社を直接保有している場合と、親会社により間接的に保有している場合の株価評価を設例に基づき検討してみます。
間接保有形態は前回までの株式交換や株式移転を利用することでつくりだすことが可能です。

[設例]
S社(小会社)は、相続税表による純資産額は120,000千円、帳簿純資産額は50,000千円、資本金は10,000千円である。
株主は甲1人で、このS社株式を直接保有している場合と、S社の100%完全親会社P社(帳簿純資産額及び資本金は10,000千円)の株式をすべて所有している場合の株式評価額の計算

[評価額の計算]
1、直接保有(S社株式の評価)
S社株式評価額=120,000千円-(120,000千円-50,000千円)×42%=90,600千円

2、間接保有(P社株式の評価)
P社株式評価額=120,000千円-(120,000千円-10,000千円)×42%=73,800千円

3,両方式の比較
間接保有の方が、16,800千円(=(50,000千円-10,000千円)×42%)評価額が低くなる。

今回のケースでは、間接保有の方が株式の評価額が少なくなり相続税の節税になりました。しかし、この設例では、計算を簡単にするため会社の規模や評価益などの条件を設定したためこのような結果になりましたが、これと異なる条件のもとでは、実際にシュミレーションを行って有利不利の判定を行わないと危険だと思われます。

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株式保有特定会社の株式の評価

2010-11-29 06:25:25 | 相続税・贈与税
おはようございます。税理士の倉垣です。

株式保有特定会社の株式の評価

株式交換と株式移転についてブログを投稿しましたが、これは100%の支配関係にある完全親子会社関係を構築する方法を確認するためでした。
そして、この100%完全支配関係が構築された後に、株式の評価がどう変化するか、また、完全子会社の資産を親会社にグループ法人課税制度のもと移転するとどういう効果が期待できるかなど検討したいと思っています。

1、株式保有特定会社
株式交換等により完全親会社となった会社の株式の相続税評価額は、その総資産のうちに占める株式等の価額の合計額の占める割合が次のようになれば株式保有特定会社として純資産評価額により評価します。
(1)大会社 25%以上
(2)中会社及び小会社 50%以上

2、株式保有特定会社の株式の評価
原則として、純資産価額方式により評価しますが、次の簡便法も認められています。
簡便法による評価額=S1+S2
S1:評価会社の株式を原則的方法により評価した額(ただし、配当や株式等を除外して計算する。)
S2:株式等の価額からその評価差額に対する法人税等の額を控除した額

評価会社が小会社の場合にはもともと純資産価額方式で評価することになっているため株式保有特定会社に該当しても評価方法に変化はありません。

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株式移転(1011)

2010-11-28 11:27:49 | 法人税
おはようございます。税理士の倉垣です。

株式移転(1011)

完全親子会社関係の創出方法としては、既にご説明した株式交換の他、株式移転の制度があります。

1、株式移転とは
株式会社がその発行済み株式の全部を新たに設立する会社に取得させることです(会社法2条32号)。

2、課税関係
(1)株式移転完全子会社
完全子会社は資産の譲渡を行ってはいないが、株式移転時の時価評価資産(固定資産、有価証券等)を時価評価して損益を計上する。
ただし、適格株式移転に該当するとこの損益の認識は行わなくてよい。

(2)株式移転完全親会社
株式移転により受け入れた株式移転完全子会社株式に付する価額は、その時の時価により取得したものとされるが、適格株式移転に該当すると、次のように取り扱われる(法人税令1項11号、26号)。
イ、子会社の直前の株主数が50人未満の場合
完全子会社の旧株主の株式の取得価額の合計額
ロ、子会社の直前の株主数が50人以上の場合
完全子法人の税務上の簿価純資産額

(3)株式移転完全子会社の旧株主
イ、取得資産が完全親会社の株式のみの場合 譲渡はなかったものとみなされる。
ロ、完全親会社の株式以外の資産を取得した場合 譲渡益の課税が行われる。

3、適格株式移転
(1)完全子会社が1社のみの場合
株式移転後、完全親子関係が継続すること。
(2)完全子会社が複数の場合
次の2つに形態に応じそれぞれ要件が定められているが、内容は省略します。
イ、グループ内の移転
ロ、共同事業を行うための移転

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株式交換の課税関係(完全子法人の個人株主)

2010-11-27 15:25:45 | 所得税
おはようございます。税理士の倉垣です。

株式交換の課税関係(完全子法人の個人株主)

前回、株式交換の会社法の規定をまとめましたが、今回は個人株主の課税関係を概観してみます。

株式交換により、子会社になる会社を株式交換完全子会社と言いますが、その旧株主で親会社となる完全親会社株式の取得をした個人の課税関係は次のようになります。

1、原則
完全子会社の株式を完全親会社に譲渡して、完全親会社の株式を取得したものとして、所得税法の譲渡所得として課税の対象になります。

2、課税の繰り延べ
株式交換に際し、完全子会社の旧株主が完全親会社の株式のみの交付を受けた場合には、その譲渡はなかったものとみなされ、課税が繰り延べされます。(所得税法57条の4)

3、株式の取得価額の引継ぎ
上記2により、株式交換により交付を受けたのが株式交換完全親会社の株式のみである場合には、その株式の取得価額は、旧株式のの取得価額を引継ます。(所得税令167条)
これに対して、株式交換により株式交換完全親会社株式以外の資産の交付を受けた場合には、その株式の取得価額はその時の時価によることになります。

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株式交換(1011)

2010-11-26 06:31:41 | 新会社法
おはようございます。税理士の倉垣です。

株式交換(1011)

100%所有の親子会社関係は株式交換制度を利用して構築することができます。
この関係ができると、グループ法人税制などを利用して様々な試みができそうです。

1、株式交換とは
会社法2条31号によると、株式交換は株式会社がその発行済株式の全部を他の株式会社又は合同会社に取得させることをいう。
例えば、A社がその発行済株式の全部をB社に取得させ、旧A社の株主にはその代わりにB社の株式を取得させる。その結果、A社の株主はB社一社のみとなり、B社によるA社の100%完全支配関係が出来上がります。

2、株式交換の手続
(1)株式交換契約書の作成
(2)決議
両会社とも、株式交換契約書の株主総会での特別決議が必要(会社法783条、795条)。ただし、既に90%以上の支配関係がある場合には両社とも原則として決議は不要とされています(会社法784条、796条)。
(3)反対株主の買取請求権等
株式交換に反対の株主には、両社とも買取請求権がみとめられています(会社法785条、796条)。
また、債権者保護手続きは原則として不要です。
株式交換の対価は、完全親会社の株式のみでなく、現金や社債等でも行うことができます。

次回は、株式交換における課税関係をみていきます。

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寄附金(子会社等)

2010-11-25 06:23:33 | 法人税
おはようございます。税理士の倉垣です。

寄附金(子会社等)

法人の支出した一般の寄付金は、原則として損金算入限度額を超える部分は損金不算入とされます。
しかし、例外として、その支出額全額が損金不算入とされるものもあります。

1、支出額全額が損金不算入とされるもの
(1)完全支配関係のある法人への寄附
100%支配関係のある法人への寄付は、その寄付金全額が損金不算入です。(法人税法37条1項)
(2)国外関連会社への寄付
外国に設立した子会社など国外関連会社に対する寄付も、上記(1)と同様に全額損金不算入です。ただし、その寄付金に対し日本の課税がおこなわれる場合はこの寄付金全額損金不算入の規定は適用されない。(措置法66条の4第3項)

2、全額損金算入が認められる場合
子会社の再建等のための無利息貸付等など例外的に損金に算入される場合がある。(法人税基本通達9-4-2他)

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国際課税について

2010-11-24 06:29:46 | 税金一般
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国際課税について

法人が国外に支店を設立すると国際課税の問題が起きてきます。

1、居住地国課税と源泉地国課税
(1)居住地国(the state of residence)課税
法人の居住地の国は、その法人の本店の所得だけでなく海外の支店の所得を含めた全世界の所得に対して課税を行います。
(2)源泉地国(the state of sorece)課税
支店所在地国は、その支店の所得に対して課税を行う。

2、国際的二重課税
上記1により、海外支店の所得に対し、居住地国と源泉地国の二重課税が発生します。

3、二重課税排除の方法
上記2の二重課税を排除する方法として、次の2つのものがあります。
(1)外国税額控除(Foreign tax credit)
居住地国では法人の全世界所得に対して課税が行われますが、その税額から海外支店の所得に課せられた外国の税額を控除する方式です。
この方式は資本輸出中立性(Capital export neutrality )があると言われています。
(2)国外所得免除方式(Foreign income exemption)
居住地国で海外の所得に対する課税を放棄する方式です。
この方式では、資本輸入中立性(Capital import neutrality )があると言われています。

4、租税条約(Tax treaty)
租税条約で源泉地国課税そのものを軽減するなどして、国際的二重課税の調整をやりやすくする方法もとられています。
また、国際二重課税には法的二重課税と経済的二重課税があり、前者は外国税額控除で廃除できますが、後者はそれができないと言われています。

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保険金の課税関係

2010-11-23 09:33:45 | 税金一般
おはようございます。税理士の倉垣です。

保険金の課税関係

相続人が受取る保険金で、その保険料負担者により課税関係や税負担がどうなるか。

生命保険契約で、被保険者が被相続人、保険金受取人が相続人である場合の課税関係は次のようになります。

1、被相続人が保険料負担者
(1)課税される税金
保険金はみなし相続財産とされ相続税の課税対象となります。
ただし、全額課税されるのではなく、次の算式で計算した金額が非課税となります。
生命保険金の非課税=500万円×法定相続人の数
(2)税額
生命保険金は被相続人の他の財産と合算され、債務や基礎控除(5000万円+1000万円×法定相続人の数)を控除した残額に対し、相続税の総額が計算され、それを各財産取得者が取得財産額に応じて税額を負担します。

2、相続人が保険料負担者
(1)課税される税金
この保険金は所得税において一時所得として課税されます。
(2)税額
イ、所得金額
一時所得の金額=(保険金額-支払保険料の合計額-50万円)×1/2
ロ、税額
一時所得の金額は他の所得金額と合算され、その合計額から所得控除の合計額を控除した残額に対し、超過累進税率により所得税が算出されます。

保険金は、保険料負担者により課税される税金が異なり、したがって税負担額も異なります。
どちらが有利かは、個別の事情(例えば、財産の額や相続人の所得金額等)をふまえて計算をしてみないと分かりません。
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被合併法人の青色欠損金の引継ぎ

2010-11-22 06:27:43 | 法人税
おはようございます。税理士の倉垣です。

被合併法人の青色欠損金の引継ぎ

法人税法上、合併が適格合併の要件を満たすと、原則として、被合併法人の青色欠損金は合併法人に引き継ぐことができます。
しかし、特殊な場合にはその引き継ぎに制限が加えられます。

1、欠損金の引継ぎの制限
合併会社間に特定資本関係があり、かつその特定資本関係が合併事業年度開始の日の5年前の年以後に生じている場合で、みなし共同事業要件を満たしていない場合には、次の欠損金は引き継げない。
(1)被合併法人の特定資本関係事業年度前の事業年度に生じた欠損金額
(2)被合併法人の特定資本関係事業年度以後の事業年度に生じた欠損金額のうち特定資産譲渡等損失額に相当する額
※特定資本関係:合併会社間に直接又は間接に50%超の持株比率があること
※合併事業年度:合併法人の合併の日の属する事業年度
※みなし共同事業要件:合併会社間の事業の相互関連性や事業規模が一定の範囲に収まっていること等
※特定資産譲渡損失額:合併法人が合併により引き継いだ資産の譲渡損失のうち一定の要件を満たさないもの

2、制限の緩和
被合併法人に含み益がある場合の欠損金の引継ぎの制限の緩和の規定があります。

欠損法人を合併する際に、その合併が適格の要件を備えても、青色欠損金の引き継ぎができるかどうか慎重に検討する必要があります。

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配偶者の相続税額の軽減2(未分割財産)

2010-11-21 13:50:23 | 相続税・贈与税
おはようございます。税理士の倉垣です。

配偶者の相続税額の軽減2(未分割財産)

1、特例の適用財産
この配偶者の相続税額の軽減の規定は、原則として申告期限までに分割された財産についてのみ適用があります。

2、申告期限後3年以内の分割
遺産が申告期限から3年以内に分割された場合には、特例の適用を受けることができます。

3、申告期限から3年超の分割
遺産が申告期限から3年以内に分割できない特別の事情がある場合には、税務署長の承認を受けてその分割ができる日まで特例の適用期限を延長できる。

期限延長の特別事情とその期日
(1)相続又は遺贈に関する訴えの提起 判決の確定等その訴訟完結の日
(2)和解、調停、又は審判の申立て 和解の成立等これらの申立てに係る事件の終了の日
(3)遺産の分割禁止や相続の承認・放棄の期間伸長がある場合 分割禁止期間又は伸長期間が経過した日
(4)その他のやむを得ない事情がある場合 その事情の消滅の日

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