税理士 倉垣豊明 ブログ

東京武蔵野市(三鷹)の税理士 相続税、贈与税等資産税対策、法人・個人向け税務・会計・会社法のブログ

交際費等損金不算入の具体的計算

2007-05-31 08:10:47 | 法人税
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、交際費等損金不算入額の具体的計算をやってみようと思います。

法人の支出する交際費等の損金不算入額は次のようになっています。
資本金の額 交際費等損金不算入額
1億円超 交際費等の100%
1億円以下 年400万円以下の金額:10%
年400万円超の金額:100%
得意先等との飲食等で1人1回当たり5千円以下のもので、名前・場所等一定の記録があるなどの要件を備えているものは上記の交際費等から除外されます。

〔説例〕
A社(資本金:5千万円、事業年度:4月1日から3月31日まで)の次の交際費勘定の内容により法人税の交際費等損金不算入額を計算してみましょう。
金額 内容
1 15,000円 外注先の作業グループ(10名)に弁当差入れ。
2 500,000円 中元と歳暮代。この内、飲食物の埋め合わせで1件当たり5千円以下のもの6件(合計額30千円)がある。
3 600,000円 ゴルフ代。この内1人5千円以下の食事代の合計は120千円であった。
4 1,000,000円 その他の飲食で1人1回5千円以下のもの。この内、社内の社員や役員のみの飲食(福利厚生費には該当しない。)の合計は800千円である。
5 3,000,000円 その他。

損金不算入額の計算
支出交際費の計算 500,000円+600,000円+800,000円+3,000,000円=4,900,000円
損金不算入額の計算 4,000,000円×10%=400,000円
(4,900,000円-4,000,000円)=900,000円
400,000円+900,000円=1,300,000円(損金不算入額)

交際費等から弁当の差入れは除外されますが、中元歳暮とゴルフなどに関連した場合はだめです。
また、社内の人間のみの飲食も交際費等から除外が認められません。

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相続財産の評価1(上場株式)

2007-05-30 08:28:28 | 相続税・贈与税
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は相続財産の評価の中で、上場株式についてまとめてみました。

相続財産の評価は、原則として、その財産の相続時の時価によって評価します。(相続税法22条)

しかし、相続税の財産評価基本通達169(上場株式の評価)に次のように、上場株式の評価を次のように行うと規定されています。
(1) 課税時期の最終価格(終値)
(2) 課税時期の属する月の最終価格の月平均額
(3) 課税時期の属する月の前月の最終価格の月平均額
(4) 課税時期の属する月の前々月の最終価格の月平均額
以上(1)から(4)までのうち最も低い価格で評価する。

課税時期の最終価格は、その日の日刊新聞等により確認できます。
また、最終価格の月平均額は、各証券取引所発行の統計月報又は日本証券新聞で調べられると思います。

相続税の申告書の上場株式の評価明細書の書式は次のようになっています。
上場株式の評価明細書
銘柄 取引所等の名称 課税時期の最終価格 最終価格の月平均額 評価額(a又はaからdまでのうち最も低い金額)
月日 a価額 課税時期の属する月 課税時期の属する月の前月 課税時期の属する月の前々月
b     月 c        月 d       月

興味のある方は、次の説例を見てください。
〔説例〕A株(上場株式)の価格は次のようになっていました。
課税時期の最終価格 200円 課税時期の属する月の最終価格の月平均額 210円 課税時期の属する月の前月の最終価格の月平均額 180円 課税時期の属する月の前々月の最終価格の月平均額 250円
評価額は180円<200円<210円<250円  ∴180円です。 税理士倉垣豊明の公式WEB:http://kuragaki.jp

相続のやり直し

2007-05-29 08:11:55 | 相続税・贈与税

おはようございます。税理士の倉垣です。

 

今日は、相続のやり直しは税法上どのように取り扱われるのか考えてみました。

 

相続が発生した場合には、通常、相続人間で協議をして、遺産分割協議書を作成し、それに基づき10ヶ月以内に相続税の申告納付を行うということになります。

もっとも、遺産総額が相続税の基礎控除額以下である場合には申告義務がない場合もあります。

 

もし、遺産分割完了後、相続のやり直しをするとどのような取扱いになると思いますか。

 

結論から申し上げますと、税法としては、それは相続以外すなわち売買か贈与などとして取り扱います。

いったん有効に財産の分割が行われた場合、相続はそこで完了し、後にそのやり直しは認めないということです。

この考え方は相続税基本通達192-8(分割の意義)に出ています。

 

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減価償却費の新旧比較(定率法)

2007-05-28 08:21:01 | 法人税

おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、減価償却の定率法の新旧償却額を具体的な計算で比較してみようと思いますす。

取得した減価償却資産の種類:機械装置
取得の日:平成19年4月1日
事業供用日:平成19年4月1日
取得価額:10,000,000円
法定耐用年数:8年
当社の事業年度:4月1日から3月31日
選定している償却方法:定率法
償却率等:耐用年数8年の償却率0.313,改定償却率0.334,保証率0.05111

年度 取得価額 減価償却費 期末簿価 償却費の計算
1 10,000,000 3,130,000 6,870,000 10,000,000×0.313=3,130,000
2 6,870,000 2,150,000 4,719,690 6,870,000×0.313=4,719,690
3 4,719,690 1,477,262 3,242,428 4,719,690×0.313=1,477,262
4 3,242,428 1,014,879 2,227,549 3,242,428×0.313=1,014,879
5 2,227,549 697,222 1,530,327 2,227,549×0.313=697,222
6 1,530,327 511,129 1,019,198 1,530,327×0.334=511,129
7 1,019,198 511,129 508,069 1,530,327×0.334=511,129
8 508,069 508,068 1 508,069-1=508,068
注:6年度は、定率法による償却額=1,530,327×0.313=478,992が保証額(10,000,000×0.05111=511,100)より少なくなるので、これ以後は5年度の期末の簿価に改定償却率を乗じて定額法のような計算により償却額を計算していきます。

上記の資産を旧定率法により計算した場合の償却費を計算してみました。
旧定率法では耐用年数8年に対応する償却率は0.250で、償却可能限度額は取得価額の95%でした。

年度 取得価額 減価償却費 期末簿価 償却費の計算
1 10,000,000 2,500,000 7,500,000 =10,000,000×0.250=2,500,000
2 7,500,000 1,875,000 5,625,000 =7,500,000×0.250=1,875,000
3 5,625,000 1,406,250 4,218,750 =5,625,000×0.250=1,406,250
4 4,218,750 1,054,687 3,164,063 =4,218,750×0.250=1,054,687
5 3,164,063 791,015 2,373,048 =3,164,063×0.250=791,015
6 2,373,048 593,262 1,779,786 =2,373,048×0.250=593,262
7 1,779,786 444,946 1,334,840 =1,779,786×0.250=444,946
8 1,334,840 333,710 1,001,130 =1,334,840×0.250=333,710
9 1,001,130 250,282 750,848 =1,001,130×0.250=250,282
10 750,848 187,712 563,136 =750,848×0.250=187,712
11 563,136 63,136 500,000 =563,136-10,000,000×5%

新旧の償却額を比較しやすいように表にしてみました。
年度 旧定率法(A) 新定率法(B) 差引(B-A)
1 2,500,000 3,130,000 630,000
2 1,875,000 2,150,310 275,310
3 1,406,250 1,477,262 71,012
4 1,054,687 1,014,879 -39,808
5 791,015 697,222 -93,793
6 593,262 511,129 -82,133
7 444,946 511,129 66,183
8 333,710 508,068 174,358
9 250,282 -250,282
10 187,712 -187,712
11 63,136 -63,136

新定率法のほうが取得後早期に費用かされるのが分かると思います。
それは次の理由によります。
  • 償却率の差額(新定率法:0.313に対し旧定率法:0.250)
  • 新定率法では、保証率を下回る年度(6年度)から定額法のような償却方法に切り替わること。
  • 償却可能額が取得価額の95%から100%(備忘価額の1円は残す)に変更になったこと。

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現物給与(永年勤続記念品等・創業記念品等)

2007-05-25 08:09:05 | 所得税

おはようございます。税理士の倉垣です。

 

今日は、現物給与(永年勤続記念品等・創業記念品等)の取扱いについてまとめてみました。

 

1.      課税しない経済的利益(永年勤続者の記念品等)

使用者が永年勤続した役員又は使用人の表彰に当たり、その記念として旅行、観劇等に招待し、又は記念品(現物に代えて支給する金銭は含まない。) を支給することによりその役員又は使用人が受ける利益で、次に掲げる用件のいずれにも該当するものについては、課税されない。

(1)   その利益の額が、その役員又は使用人の勤続期間等に照らし、社会通念上相当と認められること。

(2)   その表彰が、おおむね10年以上の勤続年数の者を対象とし、かつ、2回以上表彰を受ける者については、おおむね5年以上の間隔をおいて行われるものであること。

 

2.      課税しない経済的利益(創業記念品等)

使用者が役員又は使用人に対し創業記念、増資記念、工事完成記念又は合併記念等に際し、その記念として支給する記念品(現物に代えて支給する金銭は含まない。)で、次に掲げる用件のいずれにも該当するものについては、課税されない。ただし、建築業者、造船業者等が請負工事又は造船の完成等に際し支給するものは課税されます。

(1)   その支給する記念品が社会通念上記念品としてふさわしいものであり、かつ、そのものの価額(処分見込価額により評価した価額)1万円以下であること。

(2)   創業記念のように一定期間ごとに到来する記念に際し支給する記念品については、創業後相当な期間(おおむね5年以上の期間)ごとに支給するものであること。

 

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平成19年度中小企業の会計に関する指針(金銭債権)

2007-05-24 08:20:03 | 会計
おはようございます。税理士の倉垣です。

平成19年の中小企業の会計に関する指針が4月27日に公表されました。その内容で、金銭債権に関する取扱いが変わりましたので、要点のみですが新旧指針を比較してここにご紹介します。

改正指針 旧指針
要点 金銭債権には、その取得価額を付す。 要点 金銭債権には、その取得価額を付す。
金銭債権の取得価額が債権金額と異なる場合は、取得価額と債権金額との差額の性格が金利の調整と認められるときは、償却原価法に基づいて算定された価額とする。 金銭債権の取得価額が債権金額と異なる場合は、適正な価格を付することができる。

改正箇所を、ピンクで表示してみました。

債権などを額面と異なる価額で取得した場合、その額面と取得価額との差額は原則として金利の調整ですので、償還期間にわたってその差額につき償却原価法に基づき計算された額を債権の帳簿価額に加減算していくことになります。
ただし、重要性の乏しい場合には、決済時点において差額を損益として認識することもできます。

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平成19年度中小企業の会計に関する指針(繰延資産その2)

2007-05-23 08:11:21 | 会計
おはようございます。税理士の倉垣です。

平成19年度中小企業の会計に関する指針から繰延資産の改正点を新旧比較してご説明します。

改正指針 旧指針
繰延資産の範囲
  1. 創立費、開業費、開発費、株式交付費、社債発行費、新株予約権発行費が繰延資産に該当する。 
    1. 創立費
      発起人に支払う報酬、会社の負担すべき設立費用
    2. 開業費
      開業準備のために支出した金額
    3. 開発費
      次の目的のために特別に支出した金額
      • 新技術又は新経営組織の採用
      • 資源の開発
      • 市場の開拓
    4. 株式交付費
      新株
      の発行又は自己株式の処分のために支出した費用
    5. 社債発行費
      社債発行のために支出した費用
    6. 新株予約権発行費
      新株予約権の発行のために支出した費用
  2. 法人が支出する次に掲げる費用(資産の取得に要した金額及び前払費用を除く。)のうち支出の効果がその支出の費以後1年以上に及ぶものは、税法固有の繰延資産に該当する。
    • 自己が便益を受ける公共的施設又は共同的施設の設置又は改良のために支出する費用
    • 資産を賃借し又は使用するために支出する権利金、立退料その他の費用
    • 役務の提供を受けるために支出する権利金その他の費用
    • 製品等の広告宣伝のように供する資産を贈与したことにより生ずる費用
    • その他、自己が便益を受けるために支出する費用

  3. 新製品の試験的製作又は新技術の研究等のために特別に支出した金額、新技術の採用のうち研究開発目的のために導入する技術、特許等に係る技術導入費及び特許権使用に関する頭金等については、その発生時に費用処理することに留意する。
繰延資産の範囲
  1. 創立費、開業費、研究費及び開発費、新株発行、社債発行費、社債発行差金が繰延資産に該当する。 
    1. 創立費
      発起人に支払う報酬、会社の負担すべき設立費用
    2. 開業費
      開業準備のために支出した金額
    3. 研究費及び開発費
      次の目的のために特別に支出した金額
      • 新製品又は新技術の研究
      • 新技術又は新経営組織の採用
      • 資源の開発
      • 市場の開拓
    4. 新株発行費等
      新株の発行
      及び新株予約権の発行のために支出した費用
    5. 社債発行費
      社債発行のために支出した費用
    6. 社債発行差金
      社債権者に償還すべき金額の総額が社債募集によって得た実額を超える場合、その差額
  2. 上記1の繰延資産のうち、新製品若しくは新技術の研究又は新技術の採用のために特別に支出した金額については、その発生時に費用処理することが望ましい。
  3. 法人が支出する次に掲げる費用(資産の取得に要した金額及び前払費用を除く。)のうち支出の効果がその支出の費以後1年以上に及ぶものは、税法固有の繰延資産に該当する。
    • 自己が便益を受ける公共的施設又は共同的施設の設置又は改良のために支出する費用
    • 資産を賃借し又は使用するために支出する権利金、立退料その他の費用
    • 役務の提供を受けるために支出する権利金その他の費用
    • 製品等の広告宣伝のように供する資産を贈与したことにより生ずる費用
    • その他、自己が便益を受けるために支出する費用

償却額・償却期間
繰延資産として資産に計上したものについては、その支出又は発生の効果が発現するものと期待される期限内に原則として月割計算により相当の償却をしなければならない。
償却期間は、創立費は、会社成立後、開業費は開業後、開発費はその支出後、それぞれ5年内、
株式交付費及び新株予約権発行費は発行後3年内、社債発行費は社債償還期間とする。
なお、税法固有の繰延資産については、法人税法上、償却限度額の規定があることに留意する必要がある。また、金額が少額のものは、発生時において費用処理する。
償却額・償却期間
  • 会社法上の繰延資産 会社法上の繰延資産については、その支出又は発生の効果が発現するものと期待される期限内に原則として月割計算により相当の償却をしなければならない。 なお、償却期間は当分の間、創立費は会社成立後、開業費は開業後、研究費及び開発費はその支出後、それぞれ5年内、新株発行費等及び社債発行費はそれぞれの発行後3年内、社債発行差金は社債償還の期限内とする
  • 税法固有の繰延資産
社債発行差金及び税法固有の繰延資産については、法人税法上、償却限度額の規定があることに留意する必要がある。また、金額が少額のものは、発生時において費用処理する。

上記のように、繰延資産につき次の改正がありました。

  • 社債発行差金の繰延資産からの除外。
  • 社債発行費の償却期間の変更。
  • 株式交付費、新株予約権発行費
  • 試験研究費の発生時費用処理。

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平成19年版中小企業の会計に関する指針(繰延資産)

2007-05-22 08:16:13 | 会計
おはようございます。税理士の倉垣です。

平成19年の中小企業の会計に関する指針が4月27日に公表されました。その内容で、繰延資産に関する取扱いがかなり変わりましたので、要点のみですが新旧指針を比較してここにご紹介します。

改正指針 旧指針
要点 創立費、開業費、開発費、株式交付費、社債発行費、新株予約券発行費は、原則として費用処理する。なお、これらの項目については繰延資産として資産に計上することができる。 要点 創立費、開業費、研究費及び開発費、新株発行、社債発行費、社債発行差金は、原則として費用処理する。なお、これらの項目については繰延資産として資産に計上することができる。
研究費及び開発費のうち、新知識の発見を目的とした計画的な調査及び探求並びに新製品等への研究成果その他の知識の具体化に係る費用は、その発生時に費用処理することが望ましい。
費用として処理しなかった税法固有の繰延資産は、長期前払費用等として計上する。 費用として処理しなかった税法固有の繰延資産は、長期前払費用等として計上する。

改正箇所を、ピンクで表示してみました。
研究費と社債発行差金につき取扱いが大きく変わったのが分かると思います。

後ほど繰延資産の範囲などの詳細について投稿を予定しています。

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海外勤務者の課税関係(給与)

2007-05-21 08:17:22 | 所得税

 

おはようございます。税理士の倉垣です。

 

今日は、海外勤務者の課税関係(給与)についてまとめてみました。

 

所得税においては、個人を居住者非居住者にわけます。

居住者は、国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいいます。

長期海外勤務者は国内に住所を有しないので、非居住者とされ国内源泉所得がある場合、その国内源泉所得に対してのみ課税され20%の源泉徴収で課税関係が終了します。

 

国内源泉所得とは、国内の勤務に係る給与所得で、海外勤務者の給与所得の総額を日数按分により国内源泉所得の金額を計算します。

この帰国日数にはもちろん、休暇のための一時帰国期間や病気のための一時帰国期間は含める必要はありません。

この国内源泉所得に関しては、役員に関して次のような取扱いがありますので注意しましょう。

内国法人の役員としての勤務を国外において行うものは、国内において行う勤務に含まれます。つまり、日本企業の役員(取締役など)が海外支店で役員として行った長期勤務は、国外での勤務ですが国内源泉所得として20%の所得税の源泉徴収をする必要があるということです。

しかし、内国法人の役員であるとともに内国法人の使用人として常時勤務する者は、原則に戻って「勤務地が国内か国外か」によって国内源泉所得の判定をします。

 

居住者か非居住者課の判定をする場合の住所に関して、次のような推定規定があります。

「海外勤務者の海外における勤務期間があらかじめ1年未満と定められていない場合には、その海外勤務者の住所は日本国内にはないものと推定されます。」

 

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新設法人と消費税

2007-05-18 08:20:04 | 消費税

おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は新設法人の消費税についてまとめてみました。

 

1.      消費税の納税義務

新設法人の1期と第2期は原則として、消費税の免税事業者となります。基準期間(その適用年度の2年前の期間)がないため、基準期間が1千万円以下の事業年度となり第1期と第2期については消費税の納税義務はありません。

しかし、例外として次のような納税義務の例外があります。

(1)   資本金の額又は出資金の額が1千万円以上である法人

基準期間がなくても消費税の納税義務者となります。

(2)   新設合併により設立された法人

合併法人の基準期間に対応する被合併法人の課税売上高が1千万円を超える場合には、納税義務者になる場合があります。

(3)   分割により設立された法人

新設分割子法人の基準期間に対応する新設分割親法人の課税売上高が1千万円を超える場合には、納税義務者になる場合があります。

 

2.      消費税の簡易課税の選択

新設法人は、例外的にその1期から消費税の簡易課税の適用を受けることができます。

もちろん、その事業年度中に簡易課税の選択届出書を提出することが前提です。

消費税の税額計算において原則課税と簡易課税のどちらが有利であるかは、将来の予測に依存する部分もあり難しいところもありますが、設備投資や経営環境の変化等を冷静に判断し慎重に決断すべきですが、はっきりどちらが有利か分からないときは原則課税にするほうがよいのではないかを個人的には思います。もし、結果的に不利となってもあきらめがつくのではないでしょうか?

 

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