税理士 倉垣豊明 ブログ

東京武蔵野市(三鷹)の税理士 相続税、贈与税等資産税対策、法人・個人向け税務・会計・会社法のブログ

借地権4(相当な地代に満たない地代の支払い)

2008-03-31 08:20:35 | 相続税・贈与税
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は借地権について第4回目です。

前回は、「借地権の設定につき、権利金等の支払いがなくても相当な地代の支払いがあれば借地権の設定による利益はないこととされている」ということをお話ししましたが、今回は、地代の額が相当な地代の額に満たない場合の話です。もちろんその地代の額は通常の地代の年額を超えることが前提となります。

[利益額の計算]
借地権の設定時において、次の算式により計算した金額の利益を借地権者は土地の所有者から贈与により取得したものとして取り扱われます。

自用地としての価額×借地権割合×{1-(B/A)}
A=相当の地代の年額-通常の地代の年額
B=実際に支払っている地代の年額-通常の地代の年額

計算例
自用地のしての価額 借地権設定年 30,000千円
借地権設定年の前年 28,000千円
借地権設定年の前々年 20,000千円
借地権割合 0.7
実際に支払った地代の年額 936千円
通常の地代の年額 468千円

1.相当な地代の年額の計算
自用地の過去3年間の平均額
(30,000千円+28,000千円+20,000千円)÷3=26,000千円
相当な地代の年額
26,000千円×6%=1,560千円

2.贈与利益額の計算
A=1,560千円-468千円=1,092千円
B=936千円-468千円=468千円
30,000千円×0.7×(1-468千円/1,092千円)=12,000千円

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借地権3

2008-03-28 08:10:54 | 相続税・贈与税
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は借地権について第3回目です。

借地権の設定につき、権利金等の支払いがなくても相当な地代の支払いがあれば借地権の設定による利益はないこととされています。

[相当な地代の計算]
相当な地代=自用地としての価額×年6%
自用地としての価額は過去3年間の相続税評価額の平均額です。

例えば自用地として過去3年間の相続税評価額の平均額が50,000千円の土地の相当な地代の計算は次のようになります。
50,000千円×6%=3,000円
結構な地代ですね。
借地権の分割払いをしているとみているようですね。

次回は相当な地代に満たない地代を支払っている場合の借地権の設定による利益を予定しています。

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借地権2

2008-03-27 08:21:33 | 相続税・贈与税
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は借地権について第2回目です。

昨日は、通常の賃貸借契約の結ばれている土地の借地権の評価について述べました。
もう一度繰り返しますと、その土地の自用地としての評価額に借地権割合を乗じて計算した額が借地権の価額です。
これは、正確に言うと、地代の支払いのみで、権利金等の支払いがない場合でした。

もし、実際に支払っている権利金の額がある場合には、通常支払われる権利金の額から実際に支払った権利金の額を控除した額が借地権の設定による利益の額とされます。

借地権の設定に際しその設定の対価として通常権利金その他の一時金を支払う取引上の慣行のない地域においては借地権の評価は行いません。
また、土地の使用貸借による権利は借地権ではありませんのでその権利の評価はゼロです。

次回は、相当の地代を支払っている場合の借地権の認定の見合わせを予定しています。

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借地権1

2008-03-26 08:23:17 | 相続税・贈与税
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は借地権について第一回目です。
借地権とは、建物所有を目的とする地上権及び賃借権です。
民法上、地上権は物権であり、賃借権は債権とされています。
借地権は、経済的価値のあるものとして、相続税法上時価で評価されます。
通常の賃貸契約が結ばれている土地の借地権の価額の評価方法は、その土地の自用地としての価額に借地権割合を乗じて算出します。この借地権割合は、路線価図に道路ごとに表示されています。
一方、土地所有者についてはその土地の評価額は、土地の自用地としての価額から借地権の評価額を控除して計算します。

通常授受すべき権利金に満たない金額の授受がある場合や、相当な地代の支払いがある場合の権利金の認定の見合わせなど借地権のについてはこれから様々なケースをとり上げて検討をしていきたいと思っています。

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特定居住用財産の譲渡所得の損益通算及び繰越控除

2008-03-25 08:19:23 | 所得税
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は住宅ローンが残っている居住用財産の譲渡損が生じた場合の所得税の取扱いについて検討しました。

一般に不動産の譲渡損は発生しなかったものとみなされて、損益通算や繰越控除は行われないのですが、特別な場合には例外が認められています。その例外の一つが、この住宅ローンの残がある場合です。

次の例で検討します。
5年以上前に取得した自宅を売却した。
ケース1 ケース2
取得費等 60,000千円 60,000千円
譲渡価額 15,000千円 35,000千円
譲渡損失 45,000千円 25,000千円
ローン残高 20,000千円 20,000千円

損益通算及び繰越控除可能譲渡損失限度額
[ケース1]
20,000千円-15,000千円=5,000千円
45,000千円>5,000千円 ∴5,000千円
[ケース2]
35,000千円>20,000千円 ∴0

損益通算などの対象となる損失額は、ローン残高(譲渡契約締結の日の前日の残高)から譲渡価額を控除した金額を限度とします。したがって、売却金額でローンを完済できた幸せな人はたとえ譲渡損失が生じていてもこの特例の適用はありません。

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居住用財産の特別控除1(家屋とその敷地の所有者が異なる場合)

2008-03-24 08:16:58 | 所得税
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は居住用財産の特別控除の第一回目で、家屋とその敷地の所有者が異なる場合について検討してみました。

次のような例で検討します。
居住用財産(家屋及び土地)を50,000千円で譲渡した。
その内訳は家屋3,000千円(取得費2,000千円)、土地47,000千円(取得費20,000千円)であった。また、所有者は家屋は妻、土地は夫であった。
譲渡費用を無視すると、譲渡所得の金額の計算は次のようになります。

[妻]
3,000千円-2,000千円=1,000千円
1,000千円-1,000千円=0

[夫]
47,000千円-20,000千円=27,000千円
27,000千円-(注)27,000千円=0
(注)30,000千円-1,000千円=29,000千円>27,000千円
∴27,000千円

措置法通達35-4(居住用家屋の所有者と土地の所有者が異なる場合の特別控除の取扱い)
居住用家屋の譲渡所得の計算で特別控除額(30,000千円)のうち控除しきれなかった金額は次のすべての要件に該当する場合には土地等の所有者の土地等の譲渡所得から差し引くことができます。
1.その土地等がその家屋と同時に譲渡されたこと
2.その家屋の所有者とその土地等の所有者とが親族関係を有し、かつ、生計を一にしていること
3.その土地等の所有者は、その家屋の所有者とともにその家屋を居住の用に供していること

居住用財産の特別控除は、居住用家屋の譲渡(家屋とともにするその土地等の譲渡を含む)についての特例であり、この特例の適用を受ける土地等は家屋の所有者が所有している場合を想定していますが、土地等の所有者が家屋の所有者と親族関係があるなど一定の要件に該当する場合には、土地等の譲渡についても特別控除が認められています。

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前受金、仮受金に係る資産の譲渡等の時期(消費税)

2008-03-21 08:27:41 | 消費税
おはようございます。税理士の倉垣です。

前回、前払費用に係る消費税の問題を取り上げましたが、今回は前受金、仮受金に係る資産の譲渡等の時期についてです。

[前受金、仮受金に係る資産の譲渡等の時期(消費税基本通達9-1-27)]
資産の譲渡等に係る前受金、仮受金に係る資産の譲渡等の時期は、小規模事業者の現金主義の適用を除き、現実に資産の譲渡等を行った時となります。

消費税では前受金も前回の前払費用の取扱いと同様に、現金の入金時ではなく資産の譲渡等の時期でその課税売上の認識を行います。

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これからのブログの予定

2008-03-20 09:50:59 | OFF
おはようございます。税理士の倉垣です。

所得税の確定申告も17日で終わり、これからやっと落ち着いて仕事ができそうです。

ブログについては、投稿を始めてから1年半を超えました。
私としては、さまざまな分野を対象に書いたつもりですが、今年は資産税の分野にも重点を置いてみようかと思っています。
資産税は、相続贈与・不動産や株式の譲渡などです。
具体的には、相続贈与税に関しては相続時精算課税制度や非上場株式の評価など。不動産や株の譲渡に関しては、居住用財産の譲渡などに関する特例・不動産の交換・株式の譲渡関係です。
それに、借地権借家権についても評価方法などを詳しく調べてみたいと思っています。

もちろん、法人税・所得税・会社法・英文会計についても投稿を予定しています。

短期前払費用の消費税

2008-03-19 08:22:50 | 消費税
おはようございます。税理士の倉垣です。

消費税の申告で、課税仕入れに係る消費税額は、その課税仕入れを行った日の属する課税期間の消費税の計算上控除されます。

1.課税仕入れを行った日の意義(消費税基本通達11-3-1)
「課税仕入れを行った日」とは、課税仕入れに該当することとされる資産の譲受け若しくは借受けをした日又は役務の提供を受けた日をいう。

2.短期前払費用(消費税基本通達11-3-8)
前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した課税仕入れに係る支払対価のうちその課税期間の末日においていまだ提供を受けていない役務に対応するののをいう)につき所得税基本通達37-30の2又は法人税基本通達2-2-14(短期前払費用)の取扱いの適用を受けている場合は、その前払費用に係る課税仕入れは、その支出した日の属する課税期間において行ったものとして取り扱う。

所得税と法人税法では、前払費用で一年以内に役務提供を受けるものを支払った場合には、役務の提供を受ける前でもその支払日の属する事業年度等において損金などに算入してよいこととされています。


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中小企業投資促進税制

2008-03-18 08:23:37 | 法人税
おはようございます。 税理士の倉垣です。

今日は中小企業投資促進税制について簡単にまとめてみました。

1.特別償却制度
青色申告者である中小企業者等が平成10年6月1日から平成20年3月31日までの間(指定期間)に、特定機械装置等を取得して、その指定事業の用に供したときは、取得価額の30%の特別償却額が認められます。

2.特定機械装置等
イ、取得価額160万円以上の機械装置
ロ、取得価額120万円以上の電子計算機及びデジタル複合機
ハ、取得価額70万円以上のソフトウェア

2.税額控除
中小企業者等のうち資本金3000万円以下の法人は、特別償却に代えて取得価額の7%の税額控除を選択できます。ただし、法人税額の20%を限度とします。

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