税理士 倉垣豊明 ブログ

東京武蔵野市(三鷹)の税理士 相続税、贈与税等資産税対策、法人・個人向け税務・会計・会社法のブログ

企業結合に係る会計基準(兄弟会社の合併)

2008-10-29 08:18:58 | 会計
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は企業結合に係る会計基準(兄弟会社の合併)を具体的なケースで検討してみました。

[ケース]
B社がA社を吸収合併することになった。
事業内容は両社ともに食料品の卸売を行っており、個人である甲がB社とA社の株式をそれぞれ70%と80%所有 している。発行済株式総数と資本金額はB社が600株で30,000,000円、A社が200株で10,000,000円であるとしま す。B社はA社の事業(設備及び従業員)をすべて引き継ぎ、A社の株主に旧株5株につきB社の株式を1株交付 する。

[会計処理の検討]
会計(企業結合に係る会計基準)上この合併を検討してみます。

1.取得と持分の結合の識別
次の要件のすべてを充たすものは持分の結合と判定し、持分の結合と判定されなかったものは取得と判定される 。
(1)対価のすべてが、議決権のある株式であること
(2)結合後企業に対して各結合当事企業の株主が総体として有することとになった議決権比率が等しいこと
(3)議決権比率以外の支配関係を示す一定の事実が存在しないこと

合併後の議決権比率は旧A社の株主が40株(=200株÷5)に対してB社の株主が600株であるので、上記の(2)の 要件を充たさないので、この合併は取得と判定されます。

2.取得の会計処理
(1)取得企業の決定方法
対価の種類が議決権のある株式で株式である企業結合が取得と判定された場合には、議決権比率が大きいと判定 された結合当事企業が取得企業とされます。したがって、B社が取得企業です。

(2)取得原価の算定
被取得企業の取得原価は、原則として、取得時点の取得の対価となった財の時価を算定し、それらを合算したも のとされます。支払対価が現金以外である場合には、支払対価となる財の時価と取得した純資産の時価のうち、 より高い信頼性をもって測定可能な時価で算定します。

A社の純資産の時価は15,000千円でこれは簿価と同額であり、支払対価であるB社の株式の時価よりも信頼性が あるとすると、A社の取得原価は15,000千円となります。

(3)取得原価の配分方法
取得原価は、被取得企業から取得した資産及び引受けた負債のうち企業結合日時点において識別可能なものの企
業結合日時点の時価を基礎として、その資産および負債に対して企業結合日以後1年以内に配分します。

取得原価15,000千円を、被取得企業から受け入れた資産および負債に対し時価を基礎として配分します。このケ ースでは時価と簿価が同じなので、被取得企業の簿価をそのまま受け入れることになります。

取得原価が、取得した資産及び引受けた負債に配分された純額を上回る場合には、その超過額はのれんとして資 産に計上し、下回る場合には、その不足額は負ののれんとして負債に計上します。

(4)のれんの会計処理
のれんは、20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法その他の合理的な方法により規則的に償却する。ただし、のれんの金額に重要性が乏しい場合には、そののれんが生じた事業年度の費用として処理することがで きる。

(5)負ののれんの会計処理
負ののれんは、20年以内の取得の実態に基づいた適切な期間で規則的に償却する。ただし、負ののれんの金額に 重要性が乏しい場合には、その負ののれんが生じた事業年度の利益として処理することができる。

今回は企業結合の会計処理を見てきましたが、次回は法人税法の取り扱いを検討してみます。

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