税理士 倉垣豊明 ブログ

東京武蔵野市(三鷹)の税理士 相続税、贈与税等資産税対策、法人・個人向け税務・会計・会社法のブログ

遺言の内容と異なる遺産分割

2010-04-30 06:41:00 | 相続税・贈与税
おはようございます。税理士の倉垣です。

遺言の内容と異なる遺産分割

有効な遺言書が存在するにもかかわらず、共同相続人間においてこれと異なる遺産分割をすることを検討してみます。

1、遺言書と異なる遺産分割の可能性
被相続人の遺言書の遺贈については、相続の発生後、受遺者において自由にこれを放棄することができます。受遺者全員が遺贈を放棄すると、その遺贈にかかる財産は未分割の財産ということになります。そこで、あらためてその未分割財産を相続人間で遺産分割の協議により取得するということになります。(民法986条)

2、受遺者の中に相続人以外の第三者が存在する場合
相続人以外の第三者が受遺者である場合は、その遺贈を放棄すると初めから受遺者ではなかったこととなり、また、相続人でもないことから、その者はこの相続手続きで財産を取得することはできなくなります。
上記1は受遺者全員が相続人である場合に、その全員が遺贈を放棄しても、なおかつ相続人として財産を取得する道が残されているということを利用する方法です。

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相続分の譲渡

2010-04-29 09:07:14 | 相続税・贈与税
おはようございます。税理士の倉垣です。

相続分の譲渡

遺産分割の方法として、相続分の譲渡という手法がとられることがあります。

1、相続分の譲渡とは
相続分の譲渡とは、相続人が自己の法定相続分を譲渡することです。譲渡の相手方は他の共同相続人でも、それ以外の第三者でもよいことになっています。また、その譲渡の対価が有償でも無償でもかまいません。

2、相続分の譲渡の効果
相続分の譲渡が無償で行われると、その相続人は相続を放棄したと同様の効果がえられ、譲渡が有償で行われると、その譲渡をした相続人はその対価を代償分割で取得したとものとされます。
一方、相続分を譲り受けた者は、その者が共同相続人であればその分だけ法定相続分が増加し、負担する対価を債務として取り扱います。
相続分の譲渡の相手方が相続人以外の第三者である場合には、その第三者がその後遺産分割に参加することとなりますので、慎重に考慮しなければなりません。

法定相続分の譲渡は、遺産分割が難航する場合に自己の相続分を早く現金化したい場合や、そのような遺産分割の争議から逃れるときなどに利用できます。

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遺留分減殺請求権の放棄(相続の放棄との比較)

2010-04-28 06:49:45 | 相続税・贈与税
おはようございます。税理士の倉垣です。

遺留分減殺請求権の放棄(相続の放棄との比較)

遺留分減殺請求権は遺留分権利者が放棄をすることができますが、それを相続の放棄との比較において、検討してみます。

1、放棄の時期
遺留分減殺請求権の放棄は、相続発生前でもできますが、相続の放棄は、相続の発生した後でなければできません。また、相続の放棄は、相続の発生を知った日から3月以内にしなければなりません。(民法915条、1043条)

2、放棄の方法
遺留分減殺請求権の放棄は、家庭裁判所の許可を得て行いますが、相続放棄も家庭裁判所に申述して行います。(民法938条、1043条)

3、放棄の効果
共同相続人の1人のした遺留分減殺請求権の放棄は、他の強度相続人の遺留分には影響を与えませんが、相続の放棄があると、その相続放棄者は初めから相続人ではなかったことになり、他の共同相続人の相続分に影響を与え、相続分を増やします。(民法939条、1043条)

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遺留分減殺請求権(請求額の計算例)

2010-04-27 06:31:19 | 相続税・贈与税
おはようございます。税理士の倉垣です。

遺留分減殺請求権(請求額の計算例)

[設例]
相続開始時の遺産総額:80,000千円
贈与財産:40,000千円
債務総額:50,000千円
相続人:子1人

1、遺留分減殺請求の基礎となる遺産の額の計算
80,000千円+40,000千円-50,000千円=70,000千円
※遺留分の計算の基礎となる額は、被相続人の相続開始時の財産の総額に贈与財産の額を加えた額から債務の全額を控除して算出する。(民法1029条)
※加算される贈与財産は、原則として相続開始前の1年以内の贈与ですが、当事者双方が遺留分権利者を害することを知ってした贈与は、1年前の日より前にしたものでも加算されます。(民法1030条)

2、遺留分の額
70,000千円×1/2=35,000千円

3、相続開始時の財産額
80,000千円-50,000千円=30,000千円

4、減殺請求額
35,000千円-30,000千円=5,000千円
※遺留分減殺請求は遺留分を保全するのに必要な限度で、贈与等の減殺を請求します。(民法1031条)

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遺留分減殺請求(減殺の順序と割合)

2010-04-26 06:36:32 | 相続税・贈与税
おはようございます。税理士の倉垣です。

遺留分減殺請求(減殺の順序と割合)

遺留分権利者がその遺留分を侵害されたときは、受贈者等にその請求権を行使することにより、財産を取り戻すことができます。
遺留分を侵害する贈与や遺贈が複数ある場合の順序と割合を設例をとおしてみていきます。

1、贈与と遺贈
[設例]
遺留分権利者が5,000千円の遺留分を侵害され、侵害した贈与と遺贈がそれぞれ10,000千円と3,000千円であった場合。

この場合、減殺はまず遺贈の3,000円から行われ、その残り2,000千円(=5,000千円-3,000千円)を贈与財産に対して行う。
贈与は、遺贈を減殺した後でなければ、減殺することはできないこととされています。(民法1033条)

2、複数の遺贈
[設例]
遺留分権利者が5,000千円の遺留分を侵害され、侵害した遺贈がA(2,000千円)、B(6,000千円),C(12,000千円)であった場合。

この場合、減殺はAから500千円(=5,000千円×2,000千円/20,000千円),Bから1,500千円(=5,000千円×6,000千円/20,000千円),Cから3,000千円(=5,000千円×12,000千円/20,000千円)行う。
遺贈は、その目的の価額に応じて減殺することとされています。ただし、遺言者が別段の意思を表示したときはそれによることとされています。(民法1034条)

3、複数の贈与
[設例]
遺留分権利者が5,000千円の遺留分を侵害され、侵害した贈与がA(10,000千円)、B(1,000千円),C(2,000千円)の順序で行われた場合。

この場合、まずC(2,000千円)の贈与を減殺し、続いてB(1,000千円)、最後にAを2,000千円(=5,000千円-2,000千円-1,000千円)となります。
贈与の減殺は、後の贈与から順次前の贈与に対して行うこととされています。(民法1035条)

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右脳

2010-04-24 07:35:34 | OFF
右脳

少し前から速読法にチャレンジしています。あるテレビ番組でその方法を紹介していたので、自分でもできるのではないかと思い、まず小説で練習を始めました。
その方法は、一番重要なのは文字を読むのではなく、イメージでとらえるということではないかと私なりに解釈しました。それは、思考においては、言葉を論理的に解釈する左脳の働きから、イメージ重視の右脳の働きにチェンジすることではないかと思います。そうすることにより、小説などの文章を直接イメージでとらえていくことにより、よく速度が速くなり、より場面が鮮明に浮かび上がってくると思います。

この右脳の働きは、速読のみだけでなく、例えば資格試験(いま私は、ファイナンシャルプランナーの1級実技試験の受験勉強をやっています。)の受験勉強などにも、問題文の速やかな理解と重要事項の暗記などにも役立つのではないかと期待しています。
また、外国語の習得にも、外国語をその都度、日本語で意味を理解していくのではなく、ストレートにイメージにつなげる方法のほうが優れているのではないかと思いはじめました。

遺留分減殺請求権

2010-04-23 06:23:06 | 相続税・贈与税
おはようございます。税理士の倉垣です。

遺留分減殺請求権

1、誰に対し減殺請求権を行使するか
請求権行使の相手方は、遺留分を減殺している財産の受贈者や受遺者です。ただし、第三取得者もその財残を譲り受けたときに、遺留分権利者を害することを知っていた場合には遺留分減殺請求の請求を受けることとなります。

2、請求権行使の効果
遺留分減殺請求は形成権とされ、減殺の意思表示のみで法律効果が生じる。受贈者等は、その財産とその請求の日以後の果実を返還しなければならない。
遺留分を侵害する贈与や遺贈が複数ある場合の減殺は被相続人の指定がなければ法律で定められた順序と割合により行われます。

3、請求権の消滅
(1)価額弁償による消滅
遺留分減殺請求の対象となる財産を贈与又は遺贈された者が、遺留分を侵された者にその財産の価額を弁償すると、遺留分減殺請求権は消滅することとされています。

(2)時効による消滅
遺留分権利者が相続が発生し、自己の遺留分が侵害された事実を知ったときは、その時から1年以内に遺留分減殺請求権の行使をしなければ、その権利は消滅することとされています。
相続の時から10年を経過したときも遺留分減殺請求権は消滅します。

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遺留分とは

2010-04-22 06:40:14 | 相続税・贈与税
おはようございます。税理士の倉垣です。

遺留分とは

遺留分とは、被相続人の一定の親族に相続財産の一定割合の権利を認めているものです。
被相続人に属する財産は原則としてすべて被相続人の意思により自由にその処分ができるはずです。しかし、一定の親族の生活等を考慮して一定の財産については、その所有者である被相続人の自由意思を制限しています。

1、遺留分を有する親族とその割合
兄弟姉妹及び甥姪以外の相続人には、次のように遺産の一定割合の遺留分が認められています。
(1)相続人が直系尊属のみ
遺産総額の3分の1
(2)相続人がその他の場合
遺産総額の2分の1
※相続人が複数の場合には、上記の遺留分を法定相続分で分けた割合となります。

2、設例による具体的遺留分
(1)相続人が父母のみである場合
父母それぞれ6分の1ずつ
(2)相続人が配偶者のみ
2分の1
(3)相続人が配偶者と子2人の場合
配偶者4分の1、子それぞれ8分の1ずつ
(4)相続人が子2人のみの場合
子それぞれ4分の1ずつ
(5)相続人が配偶者と弟の場合
配偶者は2分の1、弟には遺留分はない

次回は、遺留分が認められている相続人がその遺留分を侵害されたときの権利救済方法である遺留分減殺請求権についてです。

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贈与(死因贈与)

2010-04-21 06:33:09 | 相続税・贈与税
おはようございます。税理士の倉垣です。

贈与(死因贈与)

贈与は贈与者の財産を無償で受贈者に移転する契約ですが、その効力発生を贈与者の死亡にかかわらせる死因贈与という契約があります。これは、その実質的効果の側面からみると遺言と同じような働きをします。
法律的には、死因贈与は契約(両当事者の意思の合致)ですが、遺言は一方的意思表示と法律構成は異なりますが、被相続人の死亡により財産が移転するという点では同じです。

1、死因贈与は契約である
死因贈与も贈与であるため、贈与者と受贈者の意思の合致による契約です。
(1)贈与者による取消の制限
書面でなされた死因贈与契約は、贈与者の一方的意思表示でこれを取り消すことはできません。
(2)仮登記
不動産の死因贈与による権利の移転は、まだ法律上の効力は発生していませんが、その登記の順位を保全するため仮登記をすることができます。

2、相続税税法上の取扱い
相続税法上は、その被相続人の死亡による財産移転の効果の面より、死因贈与は遺贈に含まれ相続税の課税の対象とされます。

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遺言書(遺言執行者)

2010-04-20 07:02:10 | 相続税・贈与税
おはようございます。税理士の倉垣です。

遺言書(遺言執行者)

遺言で遺言執行者の指定をすることができます。この指定された遺言執行者は遺産分割に関する一切の権利義務を有します。遺言執行者として指定された者はその就職を承諾する義務はありません。

遺言書で遺言執行者を指定するかどうかということを考えてみました。

1、遺言執行者を指定すると遺言書通りに確実に遺産分割が行われる
遺言執行者は遺産の分割に関する一切に権利義務を有し、相続人は遺言の執行を妨げる行為をすることができません。

2、遺言執行者により分割手続きがスムーズに行われます。
不動産の登記や預金の名義変更では遺言執行者がいる場合はそうでない場合に比べ手続きが簡単になるようです。
例えば、不動産の遺贈に関する所有権の移転登記は、遺言執行者がいれば遺言執行者の印鑑証明書のみに基づき登記ができますが、いなければ相続人全員の印鑑証明書によって証明された印鑑の捺印された委任状を添付しなければできないなどです。

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