税理士 倉垣豊明 ブログ

東京武蔵野市(三鷹)の税理士 相続税、贈与税等資産税対策、法人・個人向け税務・会計・会社法のブログ

連結会計3(支配獲得日の貸借対照表3)

2007-07-31 08:06:51 | 会計
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、連結会計の支配獲得日の貸借対照表の3回目で、親会社の投資勘定と子会社の資本勘定を相殺消去するときに差額が生じる場合のその差額の処理方法についてみていきましょう。

支配獲得日の貸借対照表の作成は、次の順序で行います。

子会社の貸借対照表を評価替え
親会社と子会社の貸借対照表を合算する。
連結修正仕訳(資本連結)(投資消去差額をのれんに計上)
連結貸借対照表を作成

例 p社がs社をx1年12月31日にその発行済み株式総数の100%を520,000円で取得した。決算期は両社とも1月から12月までである。両社のx1年12月31日の貸借対照表は次のとおりである。なお、s社の土地は時価370,000円(評価益20,000円)である。
<CAPTION>p社貸借対照表</CAPTION>
資産 負債及び純資産
項目 金額 項目 金額
現金預金 100,000 借入金 180,000
売掛金 80,000 資本金 600,000
建物 200,000 資本剰余金 70,000
s社株式 520,000 利益剰余金 50,000
900,000 900,000

<CAPTION>s社貸借対照表</CAPTION>
資産 負債及び純資産
項目 金額 項目 金額
器具備品 100,000 資本金 350,000
土地 350,000 資本剰余金 60,000
利益剰余金 40,000
450,000 450,000


評価差額の仕訳
借方 貸方
科目 金額 科目 金額
土地 20,000 評価差額 20,000

連結修正仕訳
借方 貸方
科目 金額 科目 金額
資本金 350,000 s社株式 520,000
資本剰余金 60,000
利益剰余金 40,000
評価差額 20,000
のれん 50,000

<CAPTION>連結貸借対照表</CAPTION>
資産 負債及び純資産
項目 金額 項目 金額
現金預金 100,000 借入金 180,000
売掛金 80,000 資本金 600,000
建物 200,000 資本剰余金 70,000
器具備品 100,000 利益剰余金 50,000
土地 370,000
のれん 50,000
900,000 900,000

上の例では、投資消去差額が借方に発生しました。つまり、子会社の純財産額よりも投資額が多かったということです。この差額は借方に発生し、貸借対照表の固定資産の区分に表示され、20年以内の期間で定額法等により償却していくことになります。
もし、子会社の純財産額よりも投資額が少なければ投資消去差額は貸方に発生し、貸借対照表の固定負債の区分に表示され、償却はやはり20年以内の期間で定額法等により行います。

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連結会計2(支配獲得日の貸借対照表2)

2007-07-30 08:15:18 | 会計
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、連結会計の支配獲得日の貸借対照表の2回目で、子会社の資産を評価替えする場合をみていきましょう。

支配獲得日の貸借対照表の作成は、次の順序で行います。

子会社の貸借対照表を評価替え
親会社と子会社の貸借対照表を合算する。
連結修正仕訳(資本連結)
連結貸借対照表を作成

例 p社がs社をx1年12月31日にその発行済み株式総数の100%を520,000円で取得した。決算期は両社とも1月から12月までである。両社のx1年12月31日の貸借対照表は次のとおりである。なお、s社の土地は時価370,000円(評価益20,000円)である。
<CAPTION>p社貸借対照表</CAPTION>
資産 負債及び純資産
項目 金額 項目 金額
現金預金 100,000 借入金 180,000
売掛金 80,000 資本金 600,000
建物 200,000 資本剰余金 70,000
s社株式 520,000 利益剰余金 50,000
900,000 900,000

<CAPTION>s社貸借対照表</CAPTION>
資産 負債及び純資産
項目 金額 項目 金額
器具備品 150,000 資本金 400,000
土地 350,000 資本剰余金 60,000
利益剰余金 40,000
500,000 500,000


評価差額の仕訳
借方 貸方
科目 金額 科目 金額
土地 20,000 評価差額 20,000

連結修正仕訳
借方 貸方
科目 金額 科目 金額
資本金 400,000 s社株式 520,000
資本剰余金 60,000
利益剰余金 40,000
評価差額 20,000

<CAPTION>連結貸借対照表</CAPTION>
資産 負債及び純資産
項目 金額 項目 金額
現金預金 100,000 借入金 180,000
売掛金 80,000 資本金 600,000
建物 200,000 資本剰余金 70,000
器具備品 150,000 利益剰余金 50,000
土地 370,000
900,000 900,000

今回は前回の処理に子会社の貸借対照表の評価が加わっただけです。そして、その評価の相手勘定である「評価差額勘定」は発生してもすぐに消えてしまう運命にあります。
次回は、投資消去のときに差額が発生する場合のその差額の処理方法について予定しています。

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連結会計1(支配獲得日の貸借対照表)

2007-07-27 08:14:17 | 会計
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、連結会計の支配獲得日の貸借対照表の最も簡単なものを見てみましょう。

支配獲得日の貸借対照表の作成は、次の順序で行います。

親会社と子会社の貸借対照表を合算する。
連結修正仕訳(資本連結)
連結貸借対照表を作成

例 p社がs社をx1年12月31日にその発行済み株式総数の100%を200,000円で取得した。決算期は両社とも1月から12月までである。両社のx1年12月31日の貸借対照表は次のとおりである。
<CAPTION>p社貸借対照表</CAPTION>
資産 負債及び純資産
項目 金額 項目 金額
諸資産 1,000,000 諸負債 300,000
s社株式 200,000 資本金 600,000
利益剰余金 300,000
1,200,000 1,200,000

<CAPTION>s社貸借対照表</CAPTION>
資産 負債及び純資産
項目 金額 項目 金額
諸資産 700,000 諸負債 500,000
資本金 150,000
利益剰余金 50,000
700,000 700,000

連結修正仕訳
借方 貸方
科目 金額 科目 金額
資本金 150,000 s社株式 200,000
利益剰余金 50,000

<CAPTION>連結貸借対照表</CAPTION>
資産 負債及び純資産
項目 金額 項目 金額
諸資産 1,700,000 諸負債 800,000
資本金 600,000
利益剰余金 300,000
1,700,000 1,700,000

次回は、支配獲得日の貸借対照表の作成ですが、子会社の資産の評価益を計上する場合や、少数株主が存在する場合も取り上げていきたいと思っています。

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連結財務諸表1(制度と一般基準)

2007-07-26 08:17:24 | 会計

おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は連結財務諸表の第1回目です。中小企業にとっては実務上縁がない分野ですが、会計上はとても重要です。

現在、連結財務諸表の作成が義務付けられているのは、原則として、有価証券報告書を提出する上場会社です。

連結財務諸表は個々の企業の財政状態や経営成績ではなくて、企業集団のこれらの状況を一般投資家などに提供する目的を持っています。

次に連結会計の一般基準をご説明します。

[連結の範囲]

  • 親会社は、原則としてすべての子会社を連結の範囲に含めなければならない。
  • 親会社とは、他の会社を支配している会社をいい、子会社とは、その他の会社をいいます。
  • 他の会社を支配しているとは、他の会社の意思決定機関を支配していることをいい、次の場合には、その意思決定機関を支配していないことが明らかに示されない限り、その他の会社は子会社に該当するものとされます。
    • 他の会社の議決権の過半数を実質的に所有しているばあい
    • 他の会社に対する議決権の所有割合が50%以下であっても、高い比率の議決権を有しており、かつ、その会社の意思決定機関を支配している一定の事実が認められる場合

  • 孫会社も子会社とみなされます。
  • 子会社でも次に該当するものは、連結の範囲に含めない。
    • 支配が一時的であると認められる会社
    • その他の会社で、連結することにより利害関係者の判断を著しく誤らせる恐れのある会社

[連結決算日]

  • 期間は一年で、親会社の会計期間に基づき、年一回一定の日をもって連結決算日とする。
  • 子会社の決算日が連結決算日と異なる場合には、子会社は、連結決算日に正規の決算に準ずる合理的な手続きにより決算を行わなければならない。
[親会社及び子会社の会計処理の原則及び手続]

同一環境下で行われた同一の性質の取引等について、親会社及び子会社が採用する会計処理の原則及び手続は、原則として統一しなければならない。



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ライツプラン(取得条項付新株予約権を利用した買収防衛策)

2007-07-25 08:10:37 | 新会社法

おはようございます。税理士の倉垣です。

最近、外資のファンドに対する買収防衛策として「ライツプラン」が注目を浴びているようです。

取得条項付新株予約権を利用した買収防衛策のライツプランとは、あらかじめ株主に取得条項付新株予約権を与えておき、敵対的買収者が現れたときに、会社が取得条項付新株予約権を新株予約権者から取得をし、その新株予約権者に時価以下の価額で会社の株式を交付する。これで、敵対的買収者の持株比率の低下と一株当たりの価値を下げ、買収を防ぐ方法です。

ブルドッグソースの用いた買収防衛策は取得条項付新株予約権を活用していますが、株主に取得条項付新株予約権を与える時期が、買収者が現れてから行われるなど本来の「ライツプラン」と相違点があるようです。

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新信託法がもうすぐ施行

2007-07-24 08:10:07 | 法人税
おはようございます。税理士の倉垣です。

いよいよ、昨年12月15日に公布された信託法が今年の秋には施行されそうです。
信託法の改正は大正11年の公布から85年ぶりの改正です。
よくこの変化の激しい社会情勢の中、85年も一度の改正もなくやってこれたものだと感心します。

新信託法は、信託の設立方法として「遺言信託」や「自己信託」が認められ、信託財産の内容も柔軟になり、信託財産の委託者や受託者の倒産手続等との関係も明確になったようです。

信託の本来の特徴は、倒産隔離性柔軟性だと思います。倒産隔離性とは、信託財産が委託者と受託者の倒産手続きの対象財産から除外されるということで、柔軟性とは委託者が自由に受託者に信託財産の運用管理を設定できるということです。

まだ、新信託法の解説にざっと目を通しただけで、条文を本格的に精読していないので、詳しくかつ正確に表現できませんが、新信託法の施行までには、準備を完了したいと思っています。
新信託法の経済取引での応用に期待しています。しかし、あまり期待しすぎるとそれが裏切られたときにがっかりするので、少し冷静に見守りましょうか。

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会社分割の法的手続き

2007-07-23 08:10:18 | 新会社法
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、会社分割の法的手続きの概要をまとめてみました。

企業組織再編の一つの方法である会社分割により、分割企業の事業部門などを切り出して、他の承継企業に承継させることなどができます。そして、対価として分割会社は分割承継会社の株式等を受け取ります。

会社分割(吸収分割)の手続きは次の順序で行われます。
[分割契約の締結]
[事前開示事項の備置き]
[効力発生日までの諸手続き]
  • 独占禁止法上の手続き
  • 株主総会の承認決議
  • 債権者保護手続き
  • 反対株主の株式買取請求

[分割の効力発生]
[分割の効力発生後の諸手続き]
  • 公正取引委員会への報告
  • 事後開示事項の備置き
  • 分割登記
手続きの流れの図は公式WEBに掲載中です。

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