税理士 倉垣豊明 ブログ

東京武蔵野市(三鷹)の税理士 相続税、贈与税等資産税対策、法人・個人向け税務・会計・会社法のブログ

外国税額控除2(控除限度額の計算)

2008-10-17 08:31:52 | 法人税
おはようございます。税理士の倉垣です。

外国税額控除(控除限度額の計算)
内国法人が納付した外国税額は税額控除されますが、それは控除限度額の範囲内においてです。

1.控除限度額の計算
法人税額×(国外所得金額/全世界所得金額)
(1)法人税額
その事業年度の法人税額(特定同族会社の特別税率や税額控除適用前のもの)
(2)全世界所得金額
その事業年度の所得金額(繰越欠損金、災害損失金控除前のもの)
(3)国外所得金額
国内源泉所得以外の所得ですが次に掲げる金額のうちいずれか多い金額を限度とする。
イ、全世界所得金額×90%
ロ、全世界所得金額×国外使用人割合
ハ、外国法人税額が全世界所得金額の50%を超える場合 全世界所得金額-(全世界所得金額-外国法人税額) ×((全世界所得金額×0.1)/外国法人税額)

2.計算例
A社の全世界所得95,000千円(繰越欠損金5,000千円控除後)
国外所得金額20,000千円
法人税額33,000千円(所得税額2,000千円控除後)

[控除限度額の計算]
法人税額の計算 33,000千円+2,000千円=35,000千円
全世界所得の計算 95,000千円+5,000千円=100,000千円
控除限度額の計算 35,000千円×(20,000千円/100,000千円)=7,000千円

倉垣税理士事務所の公式WEB http://kuragaki.jp

外国税額控除1

2008-10-16 08:24:01 | 法人税
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は外国税額控除です。

1.国際的2重課税排除
内国法人は全世界所得に対して日本の法人税等が課税されます。したがって、国外所得に対して外国税額が課税 されると国外所得に対しては日本と外国の法人税が2重に課税されることとなります。これを排除するため外国税額控除の制度が設けられています。

2.直接税額控除と間接税額控除
(1)直接税額控除
内国法人が外国所得について課税された外国税額は法人税額から税額控除されます。
(2)間接税額控除
内国法人が外国子会社から配当等を受けた場合は、その外国子会社の所得に対して課された外国税額のうちその配当等に対応する部分は内国法人が納付した外国税額とみなして税額控除を受けることができます。
外国孫会社からの配当についてもこの間接税額控除は認められています。

3.繰越制度
外国税額のうち控除限度額を超えた額や控除限度額に満たなかった場合の外国税額控除余裕額は3年間の繰越制度 があります。

4.外国所得の合算課税
タックスヘイブン対策税制やコーポレート・インバージョン対策税制により内国法人に合算された外国所得につ き課税された外国税額についても税額控除が認められています。

倉垣税理士事務所の公式WEB http://kuragaki.jp

コーポレート・インバージョン対策税制1

2008-10-15 08:28:11 | 法人税
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日はコーポレート・インバージョン対策税制について書いてみました。

これは、平成19年度税制改正で設けられた制度ですが、内国法人の株主が、合併等の組織再編により、軽課税国にある外国法人を通じて内国法人を間接的に所有することになった場合には、その外国法人の留保した所得を、持分割合に応じて、その外国法人の株主である内国法人の所得に合算して課税する制度です。

制度としては、タックス・ヘイブン対策税制の特定外国子会社等の留保所得の益金算入と似ています。

会社法により、国際的な組織再編が可能となったことにより、租税回避行為も国際的になることが考えられるため、この税制が設けられたとのことです。

詳しい内容は、内容がまとまり次第投稿を予定しています。

倉垣税理士事務所の公式WEB http://kuragaki.jp

税務判決(ガンジー島所在の外国子会社が特定外国子会社等とされた事例)

2008-10-14 08:23:04 | 法人税
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は外国子会社合算税制(タックス・ヘイブン対策税制)に関連する税務裁判例を1つご紹介します。

東京地裁 2006年9月5日(平成16年第271号、同17年69号)

1.事件の概要
ガンジー島に本店を有し、再保険を業とするA社の発行済株式総数のすべてを保有するする原告会社に対して、そのA社は特定外国子会社等に該当するものとして、その外国子会社の課税対象留保金額を原告会社に合算課税した原処分庁に対して、原告会社がその取り消しを求めた。

2.判事事項
A社は原告会社の特定外国子会社等に該当するので原処分庁の処分は適当であるとされました。
その理由として、A社はガンジー当局に対し適用税率26パーセントの税を課せられている(以下「本件外国税」という)が、ガンジー島における法人税制は、我が国の法人税制とはおよそかけ離れており、一般的な租税概念に照らしてみても不自然なものである。ガンジー島において徴収される「税」なるものは、その名称にもかかわらず、その実質は、タックスヘイブン税制の適用を回避させるというサービスの提供の対価であるということも可能なのであって…。本件外国税は、外国法人税に当たらない。
したがって、外国法人税がゼロであるので、A社は特定外国子会社等に該当する。

ガンジー島で課せられる「税」が税金なのか、サービスの対価なのかが争点のようでしたね。
対価が特定のサービスと結びつくとこれはもはや「税」ではないと判断されました。

倉垣税理士事務所の公式WEB http://kuraagaki.jp

金融危機

2008-10-11 10:15:06 | OFF
アメリカ発の金融危機の影響が世界的に広がりつつありますね。
大手金融機関の破たんや株価の下落率などを見ていると、かっての世界恐慌を連想しそうで怖くなります。

その世界恐慌を分析・克服するためにケインズの経済学理論が登場しました。
ケインズによると、恐慌はそれまでの古典派の理論による価格の変動を通じて調整が行われるのではなく、価格は下方硬直的であり、有効需要の減少から来るので、その減少した需要の補填を政府がやるべきであるとしました。そして、そのためには赤字国債の発行もやむをえない。でも、単年度の財政赤字も景気回復後の黒字に転換したときに埋め合わせができると考えていたようです。

現在の経済は規模も内容も当時と異なっていて、そう簡単に解決策が見つかるとは思われませんが、人類の英知を振り絞って乗り切ってもらいたいですね。

外国子会社合算税制(タックス・ヘイブン対策税制)5

2008-10-10 08:23:46 | 法人税
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は外国子会社合算税制(タックス・ヘイブン対策税制)の第5回目として、前回までとりあげなかった問題を見ていきます。

1.合算の時期
特定外国子会社等の各事業年度終了の日の翌日から2月を経過する日を含むその内国法人の事業年度の所得に合算します。

2.外国税額控除
特定外国子会社等の所得に対して課される外国法人税の額のうち合算された所得に対応する部分は外国税額控除の適用を受けることができます。

3.合算課税後の配当等
特定外国子会社等の留保所得のうち合算課税の適用を受けたのち、内国法人に配当等が行われた場合には、その配当等は損金の額に算入されます。ただし、その配当は合算課税の所得の発生から10年以内のものに限られます。

4.合算所得の円換算
合算する課税対象留保金額の円換算は、その特定外国子会社等のの事業年度終了の日の翌日から2月経過日の電信売買相場の仲値(TTM)によるのが原則です。
ただし、継続適用を条件に、その内国法人のその日を含む事業年度終了の日の電信売買相場の仲値(TTM)によることもできます。

5.移転価格税制との関係
課税対象留保金額の計算において、特定外国子会社等とその内国法人との取引につき移転価格税制の適用がある場合には、その取引が独立企業間価格で行われたものとして所得金額の計算を行わなければならない。

倉垣税理士事務所の公式WEB http://kuragaki.jp

外国子会社合算税制(タックス・ヘイブン対策税制)4

2008-10-09 08:17:20 | 法人税
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は外国子会社合算税制(タックス・ヘイブン対策税制)の第4回目として、合算課税の適用が除外される場合をみていきます。

1.合算課税制度の不適用
特定外国子会社等が実態を備えているなど一定の要件をみたせば、この合算課税の制度は適用されません。

2.適用除外の要件

以下のすべての要件を満たすこと。

(1)事業基準
次の事業以外の事業を行っていること。
株式等の保有、工業所有権などの提供、船舶や航空機にの貸付業

(2)実体基準
特定外国子会社等がその所在地国において事業遂行上必要な固定施設を有していること。

(3)管理支配基準
特定外国子会社等がその所在地国において、事業の管理、支配及び運営を自ら行っていること。

(4)非関連者基準及び所在地基準
イ、卸売業、銀行業などを行っている場合
非関連者との取引が50%超であること。
ロ、その他の業種
その事業を主として所在地国において行っていること。

倉垣税理士事務所の公式WEB http://kuragaki.jp

外国子会社合算税制(タックス・ヘイブン対策税制)3

2008-10-08 08:25:15 | 法人税
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は外国子会社合算税制(タックス・ヘイブン対策税制)の第3回目として、合算課税される益金の額の計算をみていきます。

1.課税対象留保金額の計算順序
内国法人に合算される「課税対象留保金額」は、以下の2から5の順序により計算して求めます。

2.調整所得金額の算定
特定外国子会社等について、日本の法人税法などに基づく計算又はその特定外国子会社等の所在地国の税法のいずれかから選択した方法により、調整所得金額を計算する。
この選択した法令は継続適用しなければならず、これを変更するには事前に税務署長の承認が必要である。

3.未処分所得金額の算定
未処分所得金額=調整所得金額-繰越欠損金(前7年間)

4.適用対象留保金額の算定
適用対象留保金額=未処分所得金額-(納付法人税額+当期の配当等)

5.課税対象留保金額の算定
課税対象留保金額=適用対象留保金額×内国法人の持分割合

倉垣税理士事務所の公式WEB http://kuragaki.jp

外国子会社合算税制(タックス・ヘイブン対策税制)2

2008-10-07 08:20:14 | 法人税
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は外国子会社合算税制(タックス・ヘイブン対策税制)の第2回で、外国子会社の定義規定などを見ていきます。

1.外国子会社の定義

(1)特定外国子会社等
「特定外国子会社等」の留保所得が合算課税の適用を受けますが、この「特定外国子会社等」とは、「外国関係会社」のうち、所得に対して課される税がない国に所在するもの又は所得に対する税負担が25%以下のものをいいます。

(2)外国関係会社
外国法人のうち、居住者及び内国法人並びに特殊関係非居住者がその株式等の50%超を直接及び間接に保有するもの。

(3)外国会社
内国法人以外の法人。

2.適用対象となる日本の法人
外国子会社合算課税の適用を受けるのは、外国法人の発行済株式又は出資(自己株式等を除く)の総数又は総額のうちに内国法人又は内国法人の属する同族グループが有する直接及び間接保有の株式等の数の占める割合が5%超であるその内国法人です。

倉垣税理士事務所の公式WEB http://kuragaki.jp

外国子会社合算制度(タックスヘイブン対策税制)1

2008-10-06 08:30:34 | 法人税
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は外国子会社合算制度(タックスヘイブン対策税制)を取り上げてみました。

さて、次のようなケースを考えてみましょう。
A社(本社が日本にある。)は、毎年利益を計上し法人税等の納付をしています。そこで、A社は、法人税等の節税のため次のように考えました。外国で法人税等がゼロか又は日本より著しく低い税率であるところに外国子会社(ペーパーカンパニー)を設立してその会社に利益を獲得させる。そしてその外国法人で獲得した利益は、株主であるA社には配当をせず、自社に留保しておく。もし、日本のA社に配当をすると、その配当に対して日本の税金が課せられるからです。

上のケースのような租税回避行為に対して、租税特別措置法で次のような取扱を設けています。
所得に対する税率が、日本の法人税等より著しく低い税率である国等に外国子会社などを設立した場合で、その会社の留保利益のうちその親会社たる日本の会社の持分に対応する部分の金額を、その親会社の益金の額に加算して、日本の法人税等を課税する。
ただし、これは外国子会社がその外国で事業の実体がある場合等には適用が除外されています。

この制度についてのもう少し詳しい内容(外国子会社の定義、合算所得の計算、適用除外規定など)は今後、投稿を予定しています。

倉垣税理士事務所の公式WEB http://kuragaki.jp