Kuni Takahashi Photo Blog

フォトグラファー高橋邦典
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大統領選挙の熱い夜

2008-11-06 13:47:39 | シカゴ
松山千春の歌ではないけれど、昨夜は「長い夜」だった。勿論、大統領選挙の話だ。

知っての通り、民主党候補のオバマが地元のシカゴで大集会を開いたため、僕らトリビューンのスタッフもほぼ総出で忙しい一日をおくることになった。

一般客のセクションを担当した僕は、一体何時頃にどのくらい人が集まるのか検討がつかなかったため、余裕を持って午後3時に会場入りしたのだが、結局すべて仕事を終えたときには午前1時をまわっていた。

ほとんど座る事もできず、さすがに長い夜ではあったが、僕自身、選挙速報が広場に備え付けられた大画面に映るたびに興奮してアドレナリンがビンビンでていたし、なにより集まった人々の凄まじいエネルギーを分けてもらったようで、寝床に就くまでほとんど疲れなど感じなかったほどだ。

オバマの勝利が確定した瞬間には、感無量で涙を拭う年配の黒人女性たちの姿も眼についたが、人種差別を受け公民権運動を闘ってきた世代の黒人たちにとって、待ちこがれていた一瞬だったに違いない。そんな彼女たちの姿をファインダー越しに見つめながら、僕の胸もこの歴史的瞬間に居合わせる事ができたという高揚感で一杯になっていた。

こういうイベントに接するたびに、アメリカの底力、というものを見せつけられるような思いがする。老若男女、肌の色を問わず何十万もの人間が一同に集まり、自分たちの将来を託した新大統領の誕生を祝う。これはすなわち、それだけ彼らが真剣に自分たちの生活、それを取り巻く社会、そしてアメリカという国の将来を考えている、ということだ。

日本では、スポーツや芸能イベントならともかく、政治集会でこれだけの人が集まるなど、ありえないだろう。

「誰が総理になったところで生活は変わらない。。。」

確かに、現在必要とされている経済や外交政策の本筋から全くはずれたとんちんかんな日本の多くの政治家の面々をみれば、日本国民の冷めた態度ばかりを責める事もできないだろうとは思う。

しかし、無関心を決め込んで、自らの権利のための声をはりあげなければ、それこそ政府の思うつぼ。国民は犠牲になるばかりだ。そういうことに僕らはもっと敏感になるべきだと思う。これは権力と対峙し、市民の側にたって本質をついた報道しないメディアの責任も大きいだろう。

僕は特にアメリカ贔屓というわけでもないが、やはり昨夜のようなイベントに体験すると、この国の国民性が心から羨ましくなってしまう。と同時に、この先落ちていくばかりの日本の将来を憂慮せずにいられなくなるのだ。


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1 コメント

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Unknown (miura)
2008-11-06 14:29:23
高橋さんのこういうブレをいかした写真って初めて見ました。場の高揚が伝わってきます。

昨日は私もどきどきしました。ニュースによると、ケニアのひとたちも感動しているみたいですね。これから実際にどうなるのかは分からないけれど、この日ばかりは…っていう歴史の一コマですね。
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