ニューヨーク・タイムズにスリップストリームの記事。一般紙なのでデイヴのこれまでのあらすじなども。
New York Times: Disgraced Rider and New US Team Take the Lead Against Doping
香港で育ったスコットランド人は、2000年のツール・ド・フランスのプロローグでアームストロングを倒し勝利したことで一躍スターダムに。才能ある若者は、かつては理想主義の持ち主だった。チームメイトがコルチゾンを打ったり、冷蔵保存で宅配されたEPOの瓶を受け取っても、クスリの助けはいらないと拒絶した。しかし転落は簡単だった。2001年TdFの山岳ステージでリタイアした夜「準備はできている」とチームに言われた。それが何を意味しているかも理解した。一線を越えたらもう怖くはなかった。検査システムには抜け穴がある。
最後にEPOを使用したのは2003年の世界選TT。汚れた勝利の記念に、2本のEPOの空瓶を本棚に飾った。心のどこかではもう捕まって終わらせたかったのかもしれない。
警察の留置場で過ごした48時間、打ちひしがれつつも冷静だったが、看守の言葉に涙が溢れた。「デイヴィッド、君は本当はいい奴なんだろ。ここは君には相応しくない」。
ドーピングを認め、世界チャンピオンのメダルを返上、2年の出場停止処分を受ける。
+++
かつての自分がそうだったように、プレッシャーや薬物の誘惑に苦しむ選手を助けたい。
「もうモンスターとはレースをしたくない。僕は良き人達と一緒にレースをしたいんだ。自分もそんな良き人でありたい」
+++
ジョナサン・ヴォータース監督は、“捕まった、何をやったのか、何故そうさせたのか”を知っているミラーがチームにも自転車競技の世界にも必要だと言う。
+++
先月、ヴォータース監督はパリで行われたアンチドーピング会議に出席し、各チームに派遣された2名の薬事監視指導官が、選手の部屋・荷物・Eメール、その他ドーピングを示すものがないかをチェックするシステムを提案した。
半数からは拍手が送られたが、半数はプライバシーや人権の侵害だと不満を口にしたそうだ。
(photo: New York Timesより)