「ミュンヘンの日曜日、30年間忘れていたこと」

2016年04月17日 | ドイツ・ヨーロッパの「旅」




2016年4月17日 ①  

今日は春の雨、ミュンヘンの日曜日です。







バイエル王国の興隆の歴史、
19世紀の南ドイツの中心拠点、文化、芸術の街ミュンヘンの姿は
なかなか魅力があります。



仕事の方々と一緒にミュンヘン市内一周のバス巡りをしています。
約3時間のコース、とてもお勧めです。
一方で、毎日、夜中に目が覚めてはFBで日本の地震の状況を確かめて
います。海外にいても後発の地震が本当に心配です。
こんな中、川内原発を止めずにいること、まさに狂気の沙汰、
それ以外の言葉がないように思います。
 

2016年4月17日 ②



春の雨の南ドイツ、ミュンヘン、ニンフェンブルク城に着いたところです。
若い頃、自分の心の中でひそかに想いを寄せていた日本の若いピアニスト
の女性と、初夏の夕方、そのオレンジ色の空がやがて蒼く透き通った
闇に移り変わる頃、二人でこの王宮公園を長く散歩をしたことを
数十年経って、不意に思い出しました。もう三十年以上も前のことです。
ドイツでの僕の人生は、家族との日常と自営業者としての仕事の時間ばかり
のように思い込んでいましたが、自分にもその前の時代があったのだ、
そして、ずいぶん長くこの地で生きてきたのだと虚を突かれた気持ちです。

2016年4月17日 ③

雨のミュンヘン。まるで印象派の絵のようなバスの車窓からの風景。



上の写真は、20世紀前半のドイツを風靡した芸術家とボヘミアンの街、
シュヴァービングからレオポルド通りへの風景です。
シュヴァービングと言えば、トーマス・マンやハインリッヒ・マン、
カンディンスキー、あるいはナチスへの抵抗運動を目論み殺された
ショル兄妹の名前が浮かんできます。
一方、ミュンヘンの歴史を刻んだレオポルド通りも今日ではむしろ、
ドイツサッカーの強豪バイエルン・ミュンヘンの優勝パレードの通り
として有名です。 

2016年4月17日 ④



ミュンヘンの美術館「ノイエピナコテーク」の斜め向かいにある、
昔からのブラッセリー&カフェ。









たまたま通りがかりの初めてでしたが、それは実に良い雰囲気でした。



20世紀初頭から前半までの街の伝統を漂わせつつ、大人から子供連れ
まで、人と集う愉しさ、自由でくつろいだ空気、次回は妻や家族と一緒に、
もっとゆっくりと過ごそうと思いました。

ドイツはビールとソーセージの国などとよく言われますが、そんな勘違い
をしていると、ちょっと照れ臭いだけでなく、ドイツ旅行も一回限りの

人生もあまり楽しくなりません!

「百聞は一見にしかず!」
いつも自分の目で確かめよう、想像しよう。


2016年4月17日 ⑤

多分、30何年振りかに訪ねたミュンヘンのノイエピナコテーク。
実に素晴らしかった。沢山のことが僕の心を掴んできた。













石造の堅固なデザインの巨大な建物の中、一つ一つの展示室が広々と
していて、天井からの自然光が柔らかく程良く明るく、見る者の気持ち
がほどけ出す、解け出していく。





一つの絵に集中し、何度も近づいたり離れたり。

或いは知らず知らず一人物思いにふけって自分の過去を彷徨い、
立ち返っては、目の前の絵画の中にとどめられたドイツ・ヨーロッパ近代
の精神に物事の理を尋ねてみたり。

あっという間の閉館の後、外に出れば春の夕方、そこはかとなく降り続く
春の雨。ああ、人生のこんな時間は、何と静かで豊かなことだろう。











ずいぶんと長く、何十年と自分の本来の関心をおろそかにしてきたと思う。
それは別に絵画鑑賞のことではない。
自分にとって本当に大切なこと、その一つ一つに集中し、一日一日が愉しい
ということ。
一つの大きな転機、自らへの回帰の時が来ていると思う。


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