「ラオフの村にて」- 南ドイツの風土と郷土料理

2015年09月08日 | ドイツの暮らし

ヨーロッパアルプスを形作る山々の国、オーストリアやスイスに近接する
南ドイツは、政治的には今でもかなり保守的な地域ですが、緑の多い山々や
高原、大小の湖、森林に恵まれた、とりわけ、初夏の輝かしい陽光と
透き通った空気がそれはそれは印象的な風光明媚な地方です。

この南ドイツの歴史的文化的中心地の一つ、ミュンヘンから特急列車で
約一時間程走ると、中世からの街、ニュールンベルグに着きます。
南独の丘陵地帯「フランケン地方」の入口となる歴史的な都です。

ニュールンベルグは第二次世界大戦末期には連合軍の徹底的な爆撃にあい、
街は壊滅的な打撃を受けました。しかし、かってはドイツの「水の都」と
呼ばれ、16世紀には北方ネサンスの旗手、アルブレヒト・デュラーが
ドイツの絵画史上に残る足跡を残した街です。

さて、随分前置きが長くなりましたが、このニュールンベルグから
近郊列車でさらに20分ほどのところに、まさにドイツの中世の城壁に囲まれた、
小さな村「ラオフ」(Lauf)があります。来年は750年記念祭もあるようです。







この村の近くでひょんなことから定期的に仕事するようになってから25年、
今でも2年に一回程は足を運びます。子供達が小さい時は農家民宿で
一週間程の夏の休暇を過ごし、カヌーをしたり、岩登りをしたところです。
今日はそんな昔の頃の知り合いの村の料理屋のご主人を夜中の11時過ぎに
不意に訪ね、突然の再会を地ビールで乾杯、二人で祝いました。







ドイツは30年住んでも僕には未だに近くて遠い異邦の土地ですが、
それでも気の合う人、一緒の時間を過ごした人とのつながりがあります。
風土とそこに暮らす人々、郷土の料理や地酒、旅人へのホスビタリティー、
その裏返しのような異邦人に対する距離感、僕はそんな異国の様々な音色を、
その響きを聴きながら、歴史的な時間の中の僕達一人一人の個々の時間を
思うことがよくあります。
楽しくもあり、少し哀しくもありの特別な時間です。





さて、このフランケン地方では、とても美味しい地元の鯉料理があります。
鯉のコクも十分にに残しつつ、野菜の出汁の中で軽く炊き上げ、
ホースラディッシュ、レモン、溶かしバターなどを好き好きに組み合わせて食します。
秋から冬の名物料理、美味しいですよ。





その他にも初秋の旬のジロール茸の色々なレシピや伝統的な豚肉の料理、
食に興味がある人なら、とても面白いことが相当あります。





日本でドイツ料理を何も知らない人たちが、「ドイツは料理が美味しくないから」
などというのは、随分、頭が高く、僕には、滑稽かつこちらが
気恥ずかしくるような変な話です。
とはいえ、「我を知らず、彼をも知らず」みたいなことは世の中にも、
自分の生活の中にもよくあることです。


 


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