ライン川の冬の風景ー「キュッパースのお婆ちゃんとの想い出」

2018年01月20日 | ドイツの暮らし

全長1233㎞、スイスに源を発し、ドイツ・フランスの国境を北に流れ、
ケルン、デュッセルドルフを経て、オランダ・ロッテルダムで北海に
流れ込むヨーロッパの大河、ライン川の冬の風景。

第二次世界大戦後、地球温暖化が始まる前、この大きな川が凍り付き、
「スケートで渡れたこともあったのよ!」
と、ビー玉を引き伸ばしたような、丸くて大きな近眼鏡のキュッパース
のお婆ちゃんが、日本から初めて来た若い学生、下宿人の僕にゆっくり
ゆっくりと話しかけてくれたのは、もう35年程前のこと、、、。
そうそう、話に夢中になると、必ずその大きな眼鏡を丸い鼻の先から
右指でひょいと持ち上げていたっけ。

今日は、雨の日の土曜日。

キュッパースのお婆ちゃんも若い娘さんの頃には春に咲く花のような
姿で、後のご主人と座っていたのだろう、デュッセルドルフの旧市街の
古いカフェ。耳をそばだてれば、ライン川の流れが聞こえてきそう。

久しぶりに座った木の机。壁紙代わりのヨーロッパの美術館の
プラカード。マティスやピカソ、そして、まだそこそこ若かった
ヨゼフ・ボイスも皆、今は故人となり、歴史の墓場の向かうから
ひょっこりと顔を覗かせている。

でも、うちのエファさんは昔も今も僕の前に座っている。
30年前には僕らも手を取り合っていたのだろうか?
今日はだいぶ退屈そう。
キュッパースのお婆ちゃんに初めて紹介した日のことも、
もう覚えていないのかもしれない。

僕は少し離れた席で、二人の「春の日に咲く花」の
昔を想い出している。
秋桜の咲く時はあるのだろうか。。。 


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