「白アスパラガスと庭のブロッコリーの花と蕾の炊き込みご飯」

2014年04月23日 | ドイツの暮らし

昨日はイースター休みの最終日、長男がブリュッセルの実習先に戻るので、
妻が、今から旬を迎える白アスパラガスでドイツの昔からの家庭料理を作りました。

アスパラガスは厚めに皮をむいて、大きな鍋でたっぷりのお湯にバターと塩を
少し溶かし入れ、丸のまま湯がきます。白い大皿の上にそのまま4、5本横に
置いて、ロースハムと茹でポテトを添えて、溶かしバターないしソース•オラン
デーズをかけます。
バターの香りと共に白アスパラガスの味わいが口いっぱいに広がるシンプルで
美味しい料理です。まさに春たけなわ、この時を多くのドイツの食いしん坊達が、
一年間待ち望んでいます。





さて今日のお昼、いつものように冷蔵庫を開けて昆布水を取り出し、
昼食用の出汁をとろうとすると、どうも様子が違いました。
2Lボトルの中には、
昨日のアスパラガスの茹で汁がたっぷり。妻の方が今日の夜、アスパラガスの
クリームスープでも作るつもりだったのでしょう。どうも、そのストックとして
取り分けていたようです。一口、スプーンで口に含むと、しっかりした
奥行きのある味、ほんの少し塩気もあって旨味も十分に感じられます。

そこで思い出したのが先週の筍ご飯。
「このアスパラブイヨンで、炊き込みご飯を作ったらどうだろう。」
早速、出先の妻に電話をかけ、転用の許可をもらいました。
朝から青空が広がり、緑の薫る良い天気。さて炊き込みご飯の具は何にしよう。 




冷蔵庫に何本か残っていた白アスパラガスを小口の輪切りにしつつ、
思いついたのが、庭の畑に咲いているブロッコリーの小さな花々と
ところどころに残る緑の蕾
アスパラの茹で汁にほんの少し白醤油を足らし、
緑の蕾の浸し地替わりとし、炊き込み御飯と一緒に蒸らし薄黄色の花々は最後の
盛り付けに使おう。
 約一時間後、出来上がったのはドイツの春らしい炊き込みご飯。
 

 
 

事務所のスタッフ二人と一緒に洋皿と日本の漆塗りの飯椀の二通りに
盛りつけてみる。
なかなかの見栄えだ。三人揃って、ドイツで初めてのレシピなどと
軽口を叩きながら、いよいよ口に運ぶと「これは美味しい!!!」。
本当に美味しい、春らしい。妻の分は別によけておこう。 

料理をしていて本当に良かったと思う。福島の東電原発事故の後、現在の日本との
関わりの中で自分に出来る一番大切なことは何だろうと、「ドイツで作る日本のご飯」を
本気で追いかけ始めて
約2年。試行錯誤と模索の中、少しずつ見えてきたものがある。
今日の炊き込みご飯は、そこにある可能性に少し光りを与えてくれたようだ。

アスパラガスと庭のブロッコリー、偶然の機会を与えてくれた妻の家庭料理に
手を合わせ、その有り難さを胸にしっかりしまっておこう。