2014年4月 日本への出張

2014年04月03日 | 随想
2014年4月2日、
上越新幹線で上野から長岡へ。
大きく蛇行する荒川の広い流れを今、渡ったところ。
何処にも緑のない都会人が利便性のみを求めて、整備をつくした河川敷。

春の霞、満開の桜。歌にも謳われたその姿。
過去の面影、今は跡形もなし。

迷子になった帰朝者のような僕のちぐはぐな心を乗せて
世界に誇る高速列車が大宮、高崎へと向かう。
関東平野が左右に広がる。
視界の届く限り、途切れることなく続く
高層ビル、マンション、プレハブ建築、コンクリートの海。
その中に時々、浮かび上がる満開の桜達。
僕の眼には、まるで過去からの亡霊のよう。

現代日本。この島国は戦後70年をかけて、
本当に世界に冠たる奇妙な社会を生み出したと思う。
高速列車は一直線のレールの上を前へ前へと走り続ける。

もう、高崎も過ぎた。
もうすぐ越後、雪国の春。
異端の心に映るその山並み、名残の雪。
日本、この国に生まれたことへの哀しいほどの懐かしさ。
今日の夜は山里の水に浸ろうと思う。

 
写真: 2014年4月2日。上越新幹線で上野から長岡へ。大きく蛇行する荒川の広い流れを今、渡ったところ。何処にも緑のない都会人が利便性のみを求めて、整備をつくしたその河川敷。  春の霞、満開の桜。歌にも謳われたその姿。過去の面影、今は跡形もなし。  迷子になった帰朝者のような僕のちぐはぐな心を乗せて、世界に誇る高速列車が大宮、高崎へと向かう。  関東平野が左右に広がる。視界の届く限り、途切れることなく続く高層ビル、マンション、プレハブ建築、コンクリートの海。その中に時々、浮かび上がる満開の桜達。僕の眼には、まるで過去からの亡霊のよう。  現代日本。この島国は戦後70年をかけて、本当に世界に冠たる奇妙な社会を生み出したと思う。  高速列車は一直線のレールの上を前へ前へと走り続ける。  もう、高崎も過ぎた。暫くして長いトンネルを抜けると、突然、越後、雪国の春。異端の心に映るその山並み、名残の雪。日本、この国に生まれたことへの哀しいほどの懐かしさ。今日の夜は山里の清らかな水に浸ろうと思う。