天童 荒太 著 「悼む人」を読みました。
「この方は生前、誰を愛し、誰に愛されたでしょうか? どんなことで感謝されたことがあったでしょうか?」
不慮の死を遂げた人々を“悼む”ため、全国を放浪する坂築静人。
静人の行為に疑問を抱き、彼の身辺を調べ始める雑誌記者・蒔野。
末期がんに冒された静人の母・巡子。
そして、自らが手にかけた夫の亡霊に取りつかれた女・倖世。
静人の問いかけは彼を巡る人々を徐々に変えていく。
そして死の枕辺で、新たな命が…。
第140回直木賞受賞作。
昔たまたま観ていた「王様のブランチ」でも紹介されていて、いつか読みたいと思っていたら文庫本が出ていたので早速購入して読みました。
事件、事故、病気などで亡くなった人々のことを記憶に留めるために日本中を旅する一人の男。
彼は亡くなった人が「愛した人や愛された人、そして人に感謝されたこと」を聞き、自分の胸に刻み、その人のことを悼む。
なぜ彼は無関係な人々の死を悼むのか。
なぜ彼は悼む旅をするようになったのか。
彼に関わる周囲の人物によって、その謎が少しずつ明かされていきます。
家族愛とは、命とは、死とは、そして生きている意味とは・・・
重いテーマに真正面から取り組んだ重厚な作品です。