薄氷や隕石落下の音もなく
薄氷や彼此の切れ字に埒明くる
薄氷の風紋刻む夜明けかな
失せしもの見当たらずしてバレンタインデー
草青み絵筆の墨の水洗ひ
今月の二月の句会に出した句です。神戸は今日の昼からまた雪が降ってきました。今年は例年になく雪の多い年です。気候異常の関係でしょうか。
薄氷や彼此の切れ字に埒明くる
薄氷の風紋刻む夜明けかな
失せしもの見当たらずしてバレンタインデー
草青み絵筆の墨の水洗ひ
今月の二月の句会に出した句です。神戸は今日の昼からまた雪が降ってきました。今年は例年になく雪の多い年です。気候異常の関係でしょうか。
春の兆しが見え染めたので、絵筆も洗ってスケッチに備えようということでしょうか。絵心が感じられて好きな句です。
失せしもの見当たらずしてバレンタインデー
これは、まったく作者を勘違いしていました。一瞬は、相当な手練れの句と思いました。でもいろんな想像を巡らすことができ、楽しい句です。
☆薄氷や彼此の切れ字に埒明くる
薄氷が張るほどの戻り寒の中での、句会に於ける様子でしょうか?自作の句の切れ字の推敲に、思いのほか時間を取られてしまったとの自戒の句と推察しましたが、切れ字の大切さ、重要性は分かっていても本当に納得するものは難しいものですね。しかしこの御句の心情はとてもよく汲み取れ素敵な句です。
☆草青み絵筆の墨の水洗ひ
まだまだ戻り寒で寒さは厳しいものの、日毎に陽光の明るさを感じ、「さ~愈々絵筆を振るう時季が来たぞ」と意気込まれている様子がとても良く窺えて素敵な句です。暖かい春を待つ気持ちの表現は、色々あるものですね!「草青み」の語句に、その希望の膨らむ心情がとても好感を感じます。
好きな句と気になる句を挙げさせていただきます。
☆薄氷や隕石落下の音もなく
隕石落下というところが想像力不足の私にはよく分かりません。何かありそうなのでご説明いただけると幸いです。
☆薄氷の風紋刻む夜明けかな
これは好きな句です。薄氷の張った、池か湖に風が吹き、さっと岸辺の方にでも風紋を刻んで寄せていく、絵になる風景ですね。夜明けというところがまた、風情があっていいと思います。
余談ですが、藤田湘子の次の句を思い浮かべました。
”うすらいは深山へかへる花の如”
いずれにしても、薄氷を”うすらい”と
読ませるところから、そのはかなさと美しさが感じられ、詩が始まっていると思います。
☆失せしもの見当たらずしてバレンタインデー
これには笑ってしまいました。 いつも探し物をして膨大な時間を過ごしている我が身を思いました。 失せしものとバレンタインデーの絶妙な組み合わせに拍手です。
色々、楽しい句を有難うございまhした。
そうなんです。そろそろ家の中で静物を描いたり、写真を見て絵を描くのをやめて、外でスケッチをしながら本来のお絵かきをせねばならないと自戒しております。コメント有難うございます。
切れ字」の難解な句にまことに適切な解釈を頂きありがございました。切れ字なるもの、まことにその分け隔ては微妙なもので、付いて離れず相手を透かし見ているところは、薄氷のごときものと思っております。時間がたって改めて我が句を見直すと、全然切れ字の役が立っておらず、薄氷の如く溶けてなくなっていることが多いです。
草青む」の句もご指摘のとおりの心境です。コメントをありがとうございました。
「隕石」の句のことですが、句会でも宗匠にその意味するところを問い直されました。句会では「薄氷や隕石滑りて音もなく」でしたが、このような句はたまにはいいが、句座においてやりすぎると奇人の類に属するようになるとのご注意を頂きました。
発想はごく単純なもので、薄氷を当然にして粉々にしてしまう最も強烈な隕石が、薄氷に落ちてきても音もせずに、消えてなくなるというだけの話なのです。
こうしたありもしない幻想をちょいちょい思いつくのが好きなのです。
「薄氷の風紋刻む夜明けかな」の句についてですが、句会で宗匠自身が出した句が、「薄氷や風の言葉を刻みゆく」の似たような句だったのですが、やはり師匠の方が一枚上だと感心した経由があります。
「バレンタインデー」は必須兼題だったのですが、大変難しものでした。このところ、とんとチョコレート何ぞ頂かなくなりましたが、ふとさみしくなってきますね!