草若葉

シニアの俳句日記
 ~日々の俳句あり俳句談義あり、そして
折々の句会も

今日の俳句 / 寒牡丹 九分九厘

2017-01-27 | Weblog
   
 初5日に鳥羽に初旅を試みた。目的は寒牡丹を見るために染寺(石光寺)と長谷寺に行くことであった。そして、鳥羽で一泊して旨い魚と地酒で正月を祝い、松坂経由で帰神した。松坂は牛肉で有名だが、本居宣長の生誕の地で活躍した町である。そして三井家などの豪商が発祥した所でもある。松坂城は蒲生氏郷が築城したものだが、氏郷はその後、会津に移封され会津発展の基礎を築いた。染寺の訪問は二回目である。7年前の記録を調べると牡丹など目もくれずに、中将姫を巡る当麻時の曼荼羅の探索旅行であった。奈良国立博物館の「大遣唐使展」の翌日のことである。その時の記録は次の通りで懐かしいものである。今も全く変わらぬ景であった。
 
 「二日目、歩きながらの社寺参詣は、金剛山系最北に位置する二上山山麓を南下するもので、近鉄二上神社口駅が出発点となる。素晴らしい天気で、南東方向に畝傍山と耳成山がうっすらと見えた。近景の建物を除くと、古代の風景も全く同じものだろうと思いながらの散策であった。石光寺、高尾寺、中将姫墓碑、当麻寺と順次廻り、前日の展覧会の文化が展開された現地の雰囲気を身でもって体験した。特に仏像の製作年代の特徴を読むことの勉強のきっかけを得ることが出来た。時代の推移と共に人間の美意識の変化が、実に細かい細工が仏像造形にも現れてくる事に感心した。当麻寺の中将姫伝説は、恐らく作り話ではないかと事前の勉強では疑っていたが、一連の見学が終わったあとでは本当の話であると信じたことだ。染寺で、中将姫が蓮の繊維を五色に染め曼荼羅を織ったいう。当麻寺の曼荼羅を見たあと、本堂の屋根に落ちる西日を背に帰途につきながら、いつか家内と一緒に練供養に来てみようと思った。帰りの近鉄は二上山の北側を通り、奈良盆地から河内平野に抜けて大阪に向かう。途中古市で乗り換えたが、この辺りは古墳の多い所で、古代時代には大阪湾が遮るものがなく遥か彼方に見られた所である。堺湾近くにある仁徳、履中天皇陵がその威容を誇って西日に浮かんでいるのが見えた違いないと思った。」

 今回の初旅は練供養見物ならぬ寒牡丹の吟行と相成った。


    初旅や夫の運転危なげに      
    初旅や伊勢路に入り日は背に
    初旅や当麻の古刹暮れむとす    
    

    寒牡丹藁蓑あらた我傘寿         
     長谷寺に三度訪ねし冬牡丹     
     階の段を重ねつ冬牡丹       
    寒牡丹縁起つなげし真言かな  

 「寒牡丹」と「冬牡丹」の呼称に区別があるという解説を読んだ。寒牡丹は自然に冬に咲く品種で花の咲くときは葉を付けない、冬牡丹は品種改良や開花時期を冬に合わせる人工的なもので開花時に葉をつける。しかし、ホトトギス歳時記には両者の区別はない。染寺はすべて寒牡丹で品種により花を咲かせる時期がずれ一斉に咲くことはない。しかし、長谷寺は一斉に花を咲かせた見事なもので、よく見ると葉が立派に付いていた。   
 
コメント (8)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 今日の俳句 初明かり(ゆらぎ) | トップ | 今日の俳句/初旅(龍峰) »
最新の画像もっと見る

8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ロングドライブに喝采! (ゆらぎ)
2017-01-28 09:12:19
九分九厘様
 寒牡丹を訪ねるという、まことにユニークな初旅をされましたね。全行程、最後のドライブですか? そのエネルギッシュな行動に敬意を表します。ただ、それと鳥羽との結びつきが、いささか怪しげですが・・・(笑)

それから寒牡丹と冬牡丹の違いですが、区別はないとい見方が一般的のようです。角川の大歳時記もその立場をとっています。ただ、長谷寺では二種あると言っています。冬牡丹は咲く時期を人為的に調整したもの寒牡丹は自然に咲くものと。九分九厘さんが行かれた時のは、冬牡丹のようです。
句は三句を頂戴します。

      
初旅や伊勢路に入り日は背に~実感ですね。ロングドライブの末、ようやく伊勢路に入っ た安堵感のようなものを感じ、味わいを感じます。
初旅や当麻の古刹暮れむとす           
長谷寺に三度訪ねし冬牡丹~三度も訪ねられたのはよほどのご縁でしょうか?その思いが 強く現れているように思いました。     
           
御礼 (九分九厘)
2017-01-28 10:05:29
このドライブが最後になろうかと思います。今回もヒヤリハットが2回ありました。3月以降は汽車に乗って昔スタイルで旅をしたいと思っています。まだまだ日本で行っていない所が多くあります。途中で買う駅弁も楽しみにしています。
 句のコメント有難うございました。
好きな句 (龍峰)
2017-01-29 18:01:54
九分九厘 様

見事な寒牡丹ですね。愛用のカメラがしっかり捉えています。初五日に自らの腕のドライブあっぱれです。
厳選して次の句を頂きました。

    初旅や夫の運転危なげに      
車の横に乗られている奥様の気持ちを詠んだとか、お二人の良き旅の雰囲気が伝わってきます。

    初旅や当麻の古刹暮れむとす 
初旅に當麻寺とはなかなか落ち着いていいですね。暮れなずむ中、この古刹の両塔や伽藍の影に飛鳥時代創建の長い時の流れを感じられたのでしょうか。読み手にも気持ちが伝わってきます。

    階の段を重ねつ冬牡丹    
長谷寺の回廊の段を上りつつ横に順に咲いている冬牡丹を眺められたのでしょうか。張りつめた寒さの中にひっそり咲いている花が目に浮かびます。
この寺は全体によく管理されている印象を受けていましたが、冬牡丹が咲いていたと聞き、さもありなんと思う次第です。
好きな句 (四捨五入)
2017-01-29 23:03:03
九分九厘 様

正月早々の遠距離ドライブとは、貴兄のエネルギーに感服しています。小生は暖かくなってから出かけようと考えています。年寄りじみていますが。
石光寺の寒牡丹は見事ですね。寒いのによく咲くものと感心します。春の牡丹に比べると可憐ですが、根性があるように感じられます。
次の2句を頂きました。

   寒牡丹藁蓑あらた我傘寿
牡丹も新しい藁の傘をさしていますから傘傘でおめでたい記念句になっています。傘を差しかけることにより育てる人の温かみが感じられます。

   初旅や当麻の古刹暮れむとす
暮色の迫る古刹の雰囲気が伝わってきます。西塔、東
塔もいいですね。2塔揃っているところは珍しいようです。 
    
    
    

御礼 (九分九厘)
2017-01-31 10:50:42
龍峰様
 三句選んで頂きコメント有難うございます。もっと早く投稿しようと思っていたのですが遅くなりました。染寺の方は実に質素な雰囲気で、寒牡丹も芽を出しているもの、何もない枯れ木のようなものまであって、咲いている牡丹の数はそれほど多くありません。長谷寺の方は一斉に咲かせていました。こうした旅行もたまには風情がありいいものでした。染寺の庭には古くて葉の長い蛇の髭がたくさんあって、掻き分けると見事な青色をした「龍の玉」が沢山見られました。家内はこれを季題に句を作っていました。
御礼 (九分九厘)
2017-01-31 11:01:11
四捨五入様
 2句をお選びいただき有難うございます。貴方もかつて石光寺を訪れたことを記憶しております。おっしゃる通り寒牡丹が寒い中花だけを咲かしている様子は独特の風情を感じます。このことを句に詠みたかったのですが、なかなかうまく行きません。結局傘寿なる言葉を付けて取り合わせにしてしましました。
好きな句他コメント (桑本栄太郎)
2017-01-31 11:55:38
九分九厘様

お早う御座います!!。
この冬は例年より暖かいと言われながら何々、飛んでもありません。
かなり酷寒となり、夏のゲリラ豪雨ならぬ
ゲリラ豪雪も降り、田舎の鳥取では大変な
事になりました。
そのような中、正月早々より精力的に出掛
けられ、寒牡丹、冬牡丹の見学とは恐れ入り
ました。
大変遅くなりましたが、以下の御句を取り
上げさせて頂きました。

☆初旅や伊勢路に入り日は西に
ご自宅より出掛けられ、伊勢路に入れば
夕刻となったのですね?鳥羽に於いて
ご夫婦二人の豪華な夕餉を楽しまれ、何より
でした!!。
☆初旅や大麻の古刹暮れむとす
大麻の古刹とは、かの有名な大麻寺のよう
ですが、半島より伝来の仏像は新羅系と
百済系があり、それぞれ文化の違いから
その後の仏像作成へも違いがあり、又後日
お話をお伺いする楽しみが出来ました。

☆長谷寺に三度訪ねし冬牡丹
☆階の段を重ねつ冬牡丹
長谷寺の牡丹は、夏季の花の盛りでも有名
ですが、寒牡丹、冬牡丹も設えられていれば
何度も訪ねる価値はありそうですね?。
大変有意義な初旅となりました!!。
御礼 (九分九厘)
2017-02-01 17:12:11
たろう様
 多くの句とそれについてのコメント有難うございました。車で旅行しますと運転手は周りの風景をみつことが出来ません。上手に行き先の地理を知って、車を置いて周辺を歩くことが必要です。当麻寺辺りは観光客も少なく、古代文化の集積を楽しむことが出来ます。旅は点から点への観光型でなく、面をうまく捉える滞在型のものがいいですね。法隆寺、当麻寺、明日香辺りは天気の良い日に自転車で回るのがいいと思います。

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事